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この項目では、2018年のドラマ作品について説明しています。原作となった1994年の小説については「エイリアニスト―精神科医(英語版)」をご覧ください。 |
『エイリアニスト』(英: "The Alienist")は、ケイレブ・カー(英語版)の小説『エイリアニスト―精神科医(英語版)』を原作とする、アメリカ合衆国制作の歴史ドラマである。全10話の限定シリーズとして制作され[3][4]、ターナー・ネットワーク・テレビジョン (TNT) で2018年1月21日に先行上映された後、2018年1月22日から同年3月26日にかけて放送された[5]。
シリーズの主演は、ダニエル・ブリュール、ルーク・エヴァンズ、ダコタ・ファニングが務め、1896年のニューヨーク市で、犯罪心理学と法科学を使いながら、男娼として働くストリート・チルドレンを手に掛けるシリアルキラーを追う特別チームを組むという筋書きである[6]。脚本は歴史上の人物を登場させて事実と虚構を入り混ぜたものとなっており、1895年から1897年にかけてニューヨーク市の警察本部長を務めていた、セオドア・ルーズベルトなどが登場する[7]。
2018年8月16日、TNTは続編小説の『ジ・エンジェル・オブ・ダークネス(英語版)』(原題)を原作として、新シリーズを制作することを決定した[8][9]。『エイリアニスト:暗闇の天使』として2020年10月22日より配信[10]。
日本ではNetflixが『エイリアニスト』との題名で配信を行っているが[1]、2019年4月24日に『エイリアニスト NY殺人ファイル』(エイリアニスト NYさつじんファイル)との題名でDVDが発売されている[11]。
設定
サイコロジカル・スリラーでもあるこの作品の舞台は1896年に設定されており、ニューヨーク市で起こる少年男娼の連続殺人事件が描かれる[6]。新任の警察本部長セオドア・ルーズベルトは、ハーバード大学の学友だった、犯罪心理学者のドクター・ラズロー・クライズラー、『ニューヨーク・タイムズ』紙の挿絵画家を務めるジョン・ムーアのふたりに、極秘捜査の指揮を依頼する。ニューヨーク市警察からは、本部長の気が強い秘書サラ・ハワードと、法科学を専門にしながら組織内では疎まれているユダヤ人双子の部長刑事、マーカスとルシアス・アイザックソン兄弟が参加する。
第1シリーズでは、チームはニューヨーク市警察内部の反感を買うが、その中心となるのはコナー警部と最近引退したばかりのバーンズ長官で、どちらも犯罪者を見つけることより、ニューヨークの上流階級の人々を汚名から守ることに意義を感じている。また、アウトサイダーであることから、貧困層や下層階級の人々も彼らを信用しようとはしない。オープニングタイトルでは、次のように表示される。
「
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In the 19th century, persons suffering from mental illness were thought to be alienated from their own true natures. Experts who studied them were therefore known as alienists. 19世紀 精神病患者は人間の本質を失っていると考えられた / 精神病の研究者を "エイリアニスト" と呼んだ[1]
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」
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キャスト
主要人物
- ドクター・ラズロー・クライズラー (Dr. Laszlo Kreizler)
- 演 - ダニエル・ブリュール[12]、声 - 内田夕夜[1]
- 「エイリアニスト」と呼ばれる心理学者で、最近では精神疾患に苦しむ子どもたちを専門としている。ハーバード大学の同級生だったルーズベルトから、子どもたちが殺められた凄絶な事件を心理学的に追ってほしいと頼まれる。元はドイツ系移民の裕福な家庭出身だが、現在はメイドのメアリー、従者のサイラス、厩番の少年スティーヴィーを雇ってひっそりと暮らしている。少年時代はピアノの名手だったが、事故で骨折して片腕が不自由である。調査・捜査のヒントを求め、しばしば過去の患者や犯罪者の自己洞察をあぶり出しに行く。
- ジョン・スカイラー・ムーア (John Schuyler Moore)
- 演 - ルーク・エヴァンズ[12]、声 - 東地宏樹[1]
- 『ニューヨーク・タイムズ』紙の漫画家・挿絵画家で、クライズラー・ルーズベルトと共にハーバード大学へ通った上流社会人でもある。祖母と同居しているが、兄の溺死事故後、父とは疎遠になっている。魅力的な美男子だが、アルコール依存症かつ売春宿の常連という側面もあり、フィアンセが別の男性に獲られてからは独身を貫いている。ルーズベルト同様、サラとは彼女が幼い時からの知り合いで、第1シリーズ中に彼女への愛を告白する。
- セオドア・ルーズベルト (Theodore Roosevelt)
- 演 - ブライアン・ジェラティ[13]、声 - 前田一世[1]
- ニューヨーク市警察の新任警察本部長。部下にしっかり指示を出す人間と思われてはいるが、実際には社交界の大物や、市警察のベテラン捜査員には流されてしまう一面を持つ。ハーバード大学で同期だったクライズラーとムーアに、相次ぐ男娼殺人事件について警察の捜査と並行して極秘捜査を行わせる。父親と知り合いだったサラ・ハワードを秘書として雇い入れ、彼女のことを高く買っている。
- サイラス・モントローズ (Cyrus Montrose)
- 演 - ロバート・レイ・ウィズダム[14]
- クライズラーの従者。殺人事件の公判で、クライズラーが証言者として法廷に立ち、その後彼の家に迎え入れられた。
- マーカス・アイザックソン (Marcus Isaacson)
- 演 - ダグラス・スミス[15]、声 - 海老名翔太[1]
- ニューヨーク市警察の若いユダヤ人部長刑事で、ルーズベルトからクライズラーのチームで働く人間として推薦される。ルシアスは二卵性双生児の兄に当たり、兄弟で法科学・法医学を専門とし、チームによる現場捜査で力を発揮する。同じくユダヤ人のエスターに一目惚れしたことから、彼女が参加する社会主義者集会へ参加した
- ルシアス・アイザックソン (Lucius Isaacson)
- 演 - マシュー・シアー(英語版)[16]、声 - 堀総士郎[1]
- マーカスの二卵性双生児の兄で、同じく ニューヨーク市警察の部長刑事を務める。弟よりは用心深く、抑制的な人物で、弟と共に最新の科学技術を捜査に導入するのに熱心である。
- メアリー・パーマー (Mary Palmer)
- 演 - クオリアンカ・キルヒャー[14]
- クライズラーのメイド。父親に火を点けて殺そうとした後、サイラス同様の経緯でクライズラーに引き取られる。失語症のため、手話を用いて意思疎通している。クライズラーに恋心を寄せており、シリーズ中盤でクライズラーもこの想いに応えるが、彼の留守中に家へ押し入ったコナー警部のせいで命を落とす。
- スティーヴィー・タガート (Stevie Taggert)
- 演 - マット・リンツ(英語版)[17]
- クライズラーの厩番として働き、よくサイラスを補佐する少年。女装しておとり捜査に協力するなど、捜査の一員としても働く。
- サラ・ハワード (Sara Howard)
- 演 - ダコタ・ファニング[18]、声 - うえだ星子[1]
- ニューヨーク市警察初の女性職員で、ルーズベルトの秘書として働く。ルーズベルト、ムーアとは、父を通じて幼少期からの付き合いがある。冷静沈着で、男性の同僚に見くびられることを許さない。チームの中では、ルーズベルトとクライズラー・ムーアの連絡係として働く。彼女の造型には、ニューヨークで女性初の刑事となったイザベラ・グッドウィン(英語版)の逸話も影響を与えている[19]。
リカーリング
- ポール・ケリー (Paul Kelly)
- 演 - アントニオ・マグロー (Antonio Magro)[20]
- 上流階級の男性たちが集う売春宿を経営するギャングの一員。
- コナー警部 (Captain Connor)
- 演 - デイヴィッド・ウィルモット(英語版)[21]、声 - 杉野田ぬき[1]
- アイルランド系の警察官でルーズベルトを嫌っている。チームの捜査を可能な限り転覆させようと試みるが、その中で先走り、無実の人物やメアリーを死に追いやることになる。売春宿から賄賂を巻き上げているほか、バーンズと繋がっている。シーズン中盤でルーズベルトの逆鱗に触れて解雇される。
- ジョゼフ (Joseph)
- 演 - ジャクソン・ガン (Jackson Gann)[22]
- 売春宿で女装して男娼として働く少年。ムーアに慕われ、何かと気に掛けられる。
- トーマス・F・バーンズ(英語版) (Thomas F. Byrnes)
- 演 - テッド・レヴィン[15]
- 最近引退した警察長官で、コナーを操る親玉。コナーに指示し、富裕層が自分たちの犯罪や軽率な行為によって迫害されるのを未然に防いでいる。
- フローラ (Flora)
- 演 - エマニュエラ・ポスタチーニ (Emanuela Postacchini)[23]
- ムーアを客に持つ高級娼婦。
- J・P・モルガン(J.P. Morgan、J・P・モーガン)
- 演 - マイケル・アイアンサイド[24]
- 資本家・銀行家。コナーとバーンズを使い、上流階級の仲間たちを守らせている。
- ヴァン・バーゲン夫人 (Mrs. Van Bergen)
- 演 - ショーン・ヤング
- ヴァン・バーゲン家の女家長。息子の振る舞いに関する噂にはいつも毅然としているが、バーンズには息子を守るよう行動を起こせと強要されている。
- ウィレム・ヴァン・バーゲン (Willem Van Bergen)
- 演 - ジョゼフ・アルティン(英語版)
- ヴァン・バーゲン家の息子で、思春期前の少年たちと性行為を重ねている。梅毒に感染して水銀塩を口にしていることから、歯が銀色になっている。
- ウィリアム・ラファイエット・ストロング市長 (Mayor William Lafayette Strong)
- 演 - ピーター・マクロビー(英語版)
- 1985年から1987年にかけてニューヨーク市の市長を務めた人物。モルガンとバーンズが街の上流階級に対して抱く心配に共鳴している。
- ジェシー・ポメロイ(英語版) (Jesse Pomeroy)
- 演 - スティーヴン・ルイス・グラッシュ (Stephen Louis Grush)
- ボストン出身の、小児殺人鬼として実在する人物。ドラマの中では、クライズラーが彼の元を訪れて彼の心の中を研究しようと試みる。
- アダム・デューリー (Adam Dury)
- 演 - デビッド・ムニエ
- 田舎で農家として暮らす人物。ニュー・パルツ(英語版)に住んでいた頃、牧師の父・母を先住民に惨殺され、弟ジェイフェスが行方不明になった過去を持つ。
- ジョン・ビーチャム (John Beechum)
- 演 - ビル・ヘック (Bill Heck)
- 本名はジェイフェス・デューリーでアダムの弟。幼少期に母から虐待を受けたほか、顔面にチックを持つ。従軍後精神を病んだとして除隊され、その後は国勢調査員や賭け金の取り立て屋として働いた。一連の殺人事件の真犯人だったことが明らかになる。
制作
発展
2015年4月、パラマウント・テレヴィジョン(英語版)がアノニマス・コンテント(英語版)と共同で、『エイリアニスト―精神科医(英語版)』"The Alienist" を翻案することが報じられた[25]。パラマウントからは同時に、『フォレスト・ガンプ/一期一会』でアカデミー脚色賞を獲得したエリック・ロスをこの企画の製作総指揮として迎え入れたこと、またホセイン・アミニが脚本と製作総指揮を兼任することも発表された[25]。また、『TRUE DETECTIVE』を手掛けた監督キャリー・ジョージ・フクナガが全話を監督し、製作総指揮も務めると報じられた[25]。
2015年5月には、ターナー・ネットワーク・テレビジョン (TNT) が1話当たり500万ドルの製作費で作品を制作する契約を結んだと報じられた[26]。2015年7月、脚本家・監督のジョン・セイルズは自身のブログで、脚本家としてシリーズに参加することを明かした[27]。2015年7月21日、原作者のケイレブ・カー(英語版)は、シリーズのコンサルティング・プロデューサーに就任すると発表した[28]。
2016年9月、フクナガのスケジュール上の問題から監督はヤーコプ・フェルブルッヘン(英語版)に変更されたが、フクナガは引き続き製作総指揮の座に残った[29]。
キャスティング
2016年11月28日、ダニエル・ブリュールとルーク・エヴァンズが、それぞれドクター・ラズロー・クライズラー、ジョン・ムーア役で出演すると報じられた[12]。サラ・ハワード役のダコタ・ファニング参加は、遅れて2017年1月14日に明らかになった[18]。2017年2月8日、ロバート・ウィズダムがサイラス・モントローズ役、またクオリアンカ・キルヒャーがメアリー・パーマー役で出演すると報じられた[14]。2017年2月15日には、スティーヴィー・タガート役のマット・リンツ(英語版)出演が報じられた[17]。2017年2月17日には、ルシアス・アイザックソン役でマシュー・シアー(英語版)が出演すること[16]、また同年2月28日にはマーカス・アイザックソン役でダグラス・スミス、トーマス・F・バーンズ(英語版)役でテッド・レヴィンが出演することが明らかになった[15]。エマニュエラ・ポスタチーニがフローラ役で出演することは、2017年3月17日に報じられた[23]。2017年4月19日には、セオドア・ルーズベルト役にブライアン・ジェラティが決まったことが明らかになった[13]。
エピソード
放送
国際配給権はNetflixが獲得した[43]。配信は2018年4月19日にスタートした[44]。
批評
批評家の反応
批評蓄積サイトRotten Tomatoesでは、72件のレビューに基づき65%支持、また平均で10点満点中6.92点が付けられている[45]。Metacriticでは26件のレビューに基づき、100点満点中61点という評価で、「概ね好意的な評価」"generally favorable reviews" である[46]。
視聴率
シーズン総合視聴率
受賞とノミネート
関連項目
脚注
注釈
- ^ Rosalie Swedlin, Chris Symes
- ^ PJ Dillon, Gavin Struthers, Chris Seager
- ^ a b このエピソードは2018年1月21日にプレビュー放送され、2018年1月22日にシリーズプレミアとして公式に放送された。2018年1月22日の公式プレミアでは、209万人が視聴したとのデータがある[31]。
- ^ ムクドリの一種チャバラテリムク(英語版)は、英語で "Hildebrandt's starling" と呼ばれる。
- ^ ムーアはこのシーンでタイプライターを買って作家志望だったことを明かすが、原作の『エイリアニスト—精神科医』はムーアの一人称で執筆されている[37]。
- ^ 母からの精神的虐待、農場作業員ジョージ・ビーチャムによる性的虐待。後者は牧師の惨殺事件と同時期に、シャワンガンク・リッジ(英語版)で一連の事件と同じような手口で殺害されていたことが分かる。これによりジョン・ビーチャムの正体はジェイフェスだと推測される。
- ^ Jamie Payne
- ^ Chase Palmer
- ^ Angus Wall, Lisa Bolan, Yongsub Song, Charles Khoury, Heidi Berg, Felix Soletic
- ^ Michael Kaplan, Rudy Mance, Beáta Merkovits, Andrew Hunt
- ^ Mara LePere-Schloop, Bill Crutcher, Karl Probert, Alice Baker
- ^ Kent Houston, Wendy Garfinkle, Tim Barter, Rasik Gorecha, Martin Lake, Doug Larmour, Alison Griffiths, Steve Murgatroyd, Harin Hirani
- ^ Kent Houston, Wendy Garfinkle, Steve Murgatroyd, Drew Jones, Paul Stephenson
出典
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外部リンク
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