カーズ/クロスロード
『カーズ/クロスロード』(原題:Cars 3)は、ピクサー・アニメーション・スタジオによるアメリカ合衆国のコンピュータアニメーション・アドベンチャー映画。全米で2017年6月16日、日本で2017年7月15日公開。ブライアン・フィーの初監督作品。短編アニメーション『LOU』が同時上映された[3]。 概要本作は、2006年公開の『カーズ』、2011年公開の『カーズ2』に続くシリーズ3作目であり、ピクサーの長編映画としては『ファインディング・ドリー』に次ぎ『トイ・ストーリー』から数えて18作目となる。 前作は世界各国が主な舞台だったのに対し、本作では舞台をアメリカに戻し、ベテランレーサーとなったライトニング・マックィーンが新世代ルーキーの登場やクラッシュ事故により「人生の岐路(クロスロード)」に立たされ、これまでの仲間や新たな相棒に支えられながら運命の決断を迫られるという、前2作とは打って変わり大人向けの内容となっている。 なお、本作の原題は『Cars 3』とナンバリングされており、これに合わせる形で、本作の関連商品(ゲーム・トミカ等)は『カーズ3』の名称で取り扱われることが多数ある。 キャッチコピー
あらすじカーレース「ピストン・カップ」で7回の優勝歴を誇る大人気ベテランレーサーとなったライトニング・マックィーン。しかし2016年度シーズンのあるレースにて、最新テクノロジーを駆使した新世代ルーキージャクソン・ストームがマックィーンを追い抜いて逆転優勝し、彼の生意気な態度を忌々しく思ったマックィーンはストームをライバル視するようになる。シーズン中のストームの連戦連勝によるマックィーンの連戦連敗、ストームに続く新世代レーサーの登場、マックィーンの友人、キャル・ウェザーズや、ボビー・スウィフト、ブリック・ヤードレィなどを含む旧世代レーサーの引退や解雇など、マックィーンは世代交代に焦り始める。シーズン最終戦、残り40周をきったところでマックィーンは2位につき、ストームを追いかけピットイン、グイドのタイヤ交換の時間を省きトップに着くが、そこをピットアウトしたストームに追い越されてしまう。焦ったマックィーンは、いきなり速度をあげたせいで右後輪のタイヤがバーストしたことで制御不能状態になり、壁に衝突、そのまま激烈で衝撃的なクラッシュを起こしてしまう。 事故から4か月後、修理を終えたマックィーンは馴染みの町「ラジエーター・スプリングス」で、今後のことについて考えていた。自身の師匠であり今は亡き住民ドック・ハドソンがレーサーを引退する一因となったクラッシュ事故の映像を見て、ガールフレンドのサリーに気持ちを語り、レーサーとして別の形でレースの仕方を見つけることを決意する。同日に自身のスポンサー「ラスティーズ」がレーサー育成施設「ラスティーズ・レーシング・センター」を新設したことをラスティーとダスティーに、知らされた。マックィーンはルイジ、グイドと共にそこを訪れるが、スターリングという車にラスティーズが売却されたことが判明する。マックィーンは彼の任命で、そこで働くクルーズ・ラミレスをトレーナーにつけた「再生プロジェクト」なる特訓を開始することとなる。しかし、マックィーンは特訓に退屈して、シミュレーターを勝手に使って壊してしまい、その様子を見ていたスターリングは彼の成果が上がらないことに難色を示し、マックィーンにレーサー引退を忠告してブランド商品の販売を提案する。2017年シーズン初戦「フロリダ500」で優勝出来ればレーサー引退を撤回・引退するときは自分が決めることを条件にマックィーンはそれを了承し、クルーズ、ルイジ、グイドと共にフロリダ500まで特訓をしながらの旅に出る。 マックィーンはかつてレースが行われていた施設近くの砂浜「ファイヤー・ボール・ビーチ」で特訓を開始するが、砂地を走ったことのないクルーズが足を引っ張ってしまう。そこでは砂地の走り方をクルーズに教えることに終始し、自身の練習にならなかった。移動中、レース場「サンダーホロウ・スピードウェイ」の看板を見つけたマックィーンは特訓のため、マスコミから逃れるために素性を隠してそこを訪れるが、マックィーンとクルーズは行われていたデモリション・ダービー「クレイジー8」に強制参加させられる。出場車達の容赦ない攻撃に恐れていた2人だが、偶然にもクルーズが優勝してしまう。しかし、彼女が給水タンクローリーのドリッピーを勢いよくすり抜け、その影響でドリッピーは体勢を崩して転倒。中の水が漏れ出してしまい、その水がマックィーンに直撃し、彼の正体を隠していた泥が吹き飛び、正体が会場内で丸見えになり、マックィーンの存在がマスコミにバレる結果になってしまった。 その後、サンダーホロウ・スピードウェイから逃げる途中、マックィーンは焦燥感から「君はレーサーじゃなくトレーナーだから自分の気持ちが分からない」と、思わずクルーズに怒りをぶつける。するとクルーズは、自身の過去をマックィーンに打ち明ける。幼少期にテレビで見たマックィーンに憧れレーサーを夢見ていたが、レース場に自分は場違いだと考え、その夢を断念したのだと。クルーズはマックィーンのトレーナーを辞め一人でラスティーズ・レーシング・センターに戻り、マックィーンはフロリダ500で自分が優勝する確率は1.2%だというナタリー・サートゥンからの報道を見て落ち込み、親友のメーターとテレビ電話を通して会話する。メーターの提案で、ドックのかつての師匠スモーキーに会うこととなり、マックィーンは彼が住むという「トーマスビル・スピードウェイ」にクルーズを呼び戻して共に向かう。 クルーズ達と共にトーマスビル・スピードウェイに到着したマックィーンは、そこでスモーキーら1950年代に活躍したピストン・カップのレジェンド達と出会い、彼らの話によりドックの過去と彼の真相を知る。1950年代、レーサーとして活躍していたが、1954年シーズンのあるレースでクラッシュ事故を起こし世間から見捨てられたドックは、止むを得ずレーサーを引退した後、トーマスビル・スピードウェイからラジエーター・スプリングスに移住する。その50年後、ドックはスモーキーに手紙を送るようになった。その手紙をスモーキーに見せてもらい、マックィーンは、ドックの1番の幸せはレーサーとして活躍することではなく、弟子である自分の成長を見守ることだということを知る。そしてスモーキー達は、マックィーンにレースはスピードが全てではないことを教え、彼とスパーリングパートナーとしてクルーズも一緒に、トラクターの群れの中から抜け出す特訓や、暗闇をヘッドライトなしで走る特訓など、テクニック重視の様々な技を伝授しながら、フロリダ500に向けて特訓を始める。 フロリダ500開催当日、スモーキー達に教わった新たな技を熟達したマックィーンは、レース会場である「フロリダ・インターナショナル・スピードウェイ」に到着する。クルーズやスモーキー達、ラジエーター・スプリングスの住民達の応援を受けながらレースに励むマックィーンだが、レース中にスターリングの命令でクルーズがラスティーズ・レーシング・センターに戻るよう指示される。そんな彼女を見たマックィーンは、これまでの特訓でレーサーではなくトレーナーとして扱われてきたクルーズを思い出し、気の毒に感じ、第2ターンでの接触事故によりレースが一時中断している時間を利用して、自分の代わりに彼女をレースに出場させる[4]。初めは躊躇していたクルーズも、自分の夢を後押ししてくれるマックィーンに感謝しながらレースに出場し、彼の的確なアドバイスのおかげでストームに続く2位までに漕ぎ着く。最終ラップではクルーズがストームに壁に押し付けられて妨害されてしまうが、かつてドックも使っていた宙返りの技を使ってかわし、ストームを追い抜いてゴールを通過する。 マックィーンとクルーズは、フロリダ500で見事優勝を果たした。「言葉が出ない」と、ダレル・カートリップ、ボブ・カトラス、ナタリー、そして観客は感動した。クルーズはスターリングとの契約を解除、大石油会社「ダイナコ」のテックス・ダイナコとスポンサー契約し、レーサーとして活躍していくことを決意する。マックィーンはレーサーを続けながら、彼女のクルーチーフ兼トレーナーとして活躍していく新たな道を切り開くことを決意。その車体は、ドックと同じ青色に塗り替えられていた。 エンドロール後、マックィーンからの電話に驚いたメーターが電話機を壊してしまうところで映画は幕を閉じる。 登場キャラクター主要キャラクター
ピストン・カップに登場するキャラクター旧世代レーサー2016年度シーズン中盤から新世代レーサーの出現により、引退や解雇に追い込まれてしまう。ボディの両側に、上から「ピストン・カップ」「バイトリーン」「リボルティング」「RPM」「ニトロエイド」「オクタン・ゲイン」「クラッチ・エイド」のステッカーが貼ってあるのが特徴。
新世代レーサー「空気力学」を元に作られた最新型のレースカー。タイヤ圧、ダウンフォース、全てがずば抜けており、どのレースコースも最適なラインを走れるため、マックィーンたち旧世代レーサーよりも速く走れる。ボディの両側に上から、「ピストン・カップ」「コンバスター」「カーボン・サイバー」「サイナーG」のステッカーが貼ってある。
ピットクルー
スポンサーとその関係者
マスコミ
ファン
スタッフ
ラジエーター・スプリングスの住民
トーマスヴィル・スピードウェイのキャラクターピストン・カップのレジェンドドック・ハドソン(ハドソン・ホーネット)と共に1950年代に活躍したピストン・カップの元レーサー及び関係者たち。ドックのことを「ハド」と呼ぶ。レーサーを引退した現在は、山奥にあるトーマスビル・スピードウェイ付近に住んでいる。
住民
サンダーホロウ・スピードウェイのキャラクタークレイジー8の出場車マックィーンとクルーズが特訓のため訪れたサンダーホロウ・スピードウェイで、週に一度行われるデモリション・ダービークレイジー8の出場車たち。いずれも車体がボロボロで歪み、汚れている。
スタッフ
クレイジー8のファン
ラスティーズ・レーシング・センターのキャラクター訓練生
スタッフ
1950年代のピストン・カップのレーサー
50年代のピストン・カップのマスコミ
その他
キャスト
登場する舞台ラジエーター・スプリングス
モーターシティ
アイオワ
ジョージア
アリゾナ
カリフォルニア・ロサンゼルス
フロリダムーンメーターでも登場し、「ナスカ」という宇宙センターがあった(「ナサ」と「ナスカー」を組み合わせている)。
アラバマトッド・マーカスは、アラバマのディーゼルトン出身。
ヴァージニア
ファイアボール・ビーチ
サンダー・ホロウ
トーマス・ヴィル
その他
製作2014年3月、ディズニーによって本作の制作が明かされた。 2015年8月に行われた「D23 EXPO 2015」では公開日未定と発表されていたが[10]、2017年6月16日公開予定だった『トイ・ストーリー4』の公開が1年後倒しされることが決定し[11]、本作の公開日に差し替わった。 観客が応援したくなる主人公を描くため、シンデレラをマックィーンのモデルにしたという[12]。 1作目でドック・ハドソンの声優を務めたポール・ニューマンが2008年に他界したため、2作目ではドックも他界したという設定で写真のみの登場となっていた。しかし本作では回想シーンなどでドックを再登場させるにあたり、1作目の音声収録時に録音されていたニューマンの未公開音声を使用した[13]。 ピクサーは長編映画を製作する度に新技術を開発してきたが、本作ではクレイジー8のシーンに登場する泥のCG化に挑戦。映画スタッフは、オートミールを参考に試行錯誤を繰り返すことで、泥をCGでリアルに表現することに成功した[14]。 マーケティング2016年11月21日にアメリカ版のティザー予告編が公開され[15]、翌年1月5日にはクルーズ・ラミレスとジャクソン・ストームの新キャラクターが公開されたと同時にこの2台のキャスト、オーウェン・ウィルソンの続投も公表された[16]。 日本では、2017年2月7日に邦題の『カーズ/クロスロード』と日本公開日が公表され[17]、3月6日には片山右京と福澤朗の実況が入った日本版の特報映像が公開された[18]。5月12日〜23日、ディズニーアニメーション映画では定番となった日本語版キャストを当てるTwitterキャンペーンが実行され[19]、6月6日にはこの正解発表として松岡茉優と藤森慎吾が日本語版キャストを務めることと土田大、山口智充、戸田恵子の続投が同時に公表された[20]。また、ディズニー史上初の試みで本作を実写化したディズニー公認のミニドラマ『ランナーズ/クロスロード』が野村周平主演で製作され、特設サイトで7月14日より配信開始となった[21]。 興行成績全米2017年6月16日に4256劇場で封切られ、初日で1950万ドル、3日で5350万ドルを記録したが、これは前2作のオープニング記録を下回る結果である。ランキングでは、初登場1位(1週目・6月16日〜18日)[22]、3位(2週目・6月23日〜25日)[23]、5位(3週目・6月30日〜7月2日)[24]、6位(4週目・7月7〜9日)[25]、8位(5週目・7月14日〜16日)を記録した[26]。 日本2017年7月15日に全国公開され、初日2日間で動員数25万2000人、興行収入3億2000万円を記録した[27]。ランキングでは、初登場4位(1週目・7月15日〜16日)[28]、5位(2週目・7月22日〜23日)[29]、9位(3週目・7月29日〜30日)[30]を記録した。 音楽主題歌日本版エンドソング サウンドトラック
トラック9、10、11は日本版限定のボーナス・トラックである。 アメリカではスコアが収録された「Cars 3 (Original Score)」も発売されたが、日本では配信限定となった。 エンドロールでは冒頭で「ライド」が流れ終わった後、字幕版ではスコアのメドレーが、日本語吹き替え版では「エンジン」が流れる。 MovieNEX2017年11月15日に先行デジタル配信が開始、同月22日にMovieNEXが発売[32]。 ノーマルのMovieNEX、ピクサー初の4K UHD、トミカやレーシングキットなどのギフトをボックスに収納したギフトボックスの計3種類。MovieNEXとギフトボックスは3枚組、4K UHDは4枚組。ボーナス・コンテンツとして、劇場公開時に同時上映された『LOU』や製作の舞台裏、未公開シーンなどが収録されている。
ゲーム2017年4月6日にワーナー・ブラザース・インタラクティブ・エンターテイメントおよびディズニー・コンシューマー・プロダクツが「Cars 3: Driven to Win」を発表[33]。開発はディズニー インフィニティを手掛けたAvalanche Software。 海外ではPlayStation 3、PlayStation 4、Xbox 360、Xbox One、Nintendo Switch、Wii Uを対象に2017年6月13日に発売。日本では「カーズ3 勝利への道」のタイトルで、PlayStation 4版及びNintendo Switch版がワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントとして7月20日に発売[34]。なお、日本でのディズニー・ゲームで、ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントが発売元を担当するのは、1988年から1992年にかけてウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、タッチストーン・ピクチャーズ、ハリウッド・ピクチャーズ作品でワーナー・ブラザースが配給を担当していた以来となる[注 5]。 本編後のストーリーとなっており、様々な車たちが世界レベルのレースに参加する内容となっている。 プレイアブルキャラクター
ランナーズ/クロスロード映画公開記念の実写版ミニドラマで、本作を元にしたスピンオフ作品。日本公開前日の2017年7月14日、YouTubeや特設サイトにて配信開始。なお、ディズニー共同制作のドラマは2005年放送の「星に願いを〜七畳間で生まれた410万の星〜」以来12年ぶり。
トリビア
脚注注釈出典
関連項目外部リンク
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