ガソリンエンジンガソリンエンジン(英: gasoline engine)は、ガソリン機関ともいい、燃料であるガソリンと空気の混合気を圧縮したあと点火、燃焼(予混合燃焼)・膨張させるという行程を繰り返し、運動エネルギーを出力する内燃機関である。 概要ガソリンを燃焼させる外燃機関もあるため(外燃機関は基本的に熱源を選ばない)、より厳密に「ガソリンを使って火花により点火するエンジン」を表現したい時は、「ガソリン火花点火式内燃機関」と呼ぶ。 火花放電により点火することから火花点火内燃機関や火花点火エンジンと書かれることもあるが、火花点火は燃料ガスなどによるエンジンも同様であるため、より幅広い意味合いになる。模型用ガソリンエンジンの一部およびマグネトー開発以前のガソリンエンジン開発初期にはグロープラグ点火による「ガソリングローエンジン」もある。 ほとんどは、ピストンを往復運動させてコンロッドとクランクシャフトで回転軸に出力するレシプロエンジンであり、行程数により更に分類される。 吸気・圧縮・膨張・排気の4つの行程をとる4ストローク機関に主に使われるサイクルはオットーサイクルである。燃焼は混合気の体積が最小になる上死点付近の短時間に一気に行われるため、容積がほぼ一定で燃焼する。このため定積燃焼サイクル、または開発者の名前からオットーサイクルと呼ばれる。かつてマツダがスーパーチャージャー付きミラーサイクル機関を実用化した。トヨタのハイブリッドカーであるプリウスのエンジンはアトキンソンサイクル機関と称しているが、そのうちのミラーサイクル機関である。 吸気と圧縮、膨張と排気の2つの行程をとる2ストローク機関はクラークサイクルである。 ごく少数ではあるが、6つの行程を経る6ストローク機関も存在する。 他に、往復運動を伴わないロータリーエンジンも実用化されている。 気筒あたりの行程容積が600mL程度を超えると熱効率が悪くなるので、大出力(仕事率)エンジンは多気筒でなければならない[1]。 ディーゼルエンジン(圧縮着火エンジン)よりも、高速回転が可能で、排気量あたりの出力が大きく、振動や騒音が小さく静かであり、小出力に適している。乗用車をはじめ小型商用車、自動二輪車などに広く利用される。かつては航空機用に1,000馬力以上の多気筒エンジンが用いられたこともあったが、第二次世界大戦後ジェットエンジンの普及により姿を消し、今日では小型のものが軽飛行機などに用いられるにとどまる。また寒冷地にはディーゼルエンジンよりも適しているため、該当地域で運用される軍用車には優先的に用いられていた。 意図して圧縮着火を起こさせる一部のエンジンを例外として、圧縮中に霧状・気化ガソリンが自己着火しノッキングを起こすと、不完全燃焼やエンジンが傷むなど不都合なので、同排気量・同燃料消費量から出力を向上させるべく圧縮比を上げるには、自己着火し難い=オクタン価が高いガソリンを使用する事が必要となる。その為かつては四アルキル鉛など有機鉛化合物が添加されていたが、環境・安全性の観点から航空機用などを除いて殆どの国で禁止され、代わりのアンチノック剤が添加されるようになった。排気ガスには有毒な成分が多く含まれているが、制御と後処理で容易・安価に削減でき、排気ガス有毒成分規制開始直後には各種の方式が試されたが、その後三元触媒方式に収斂した。前述の四アルキル鉛など有機鉛化合物は、この触媒の機能を損なうので禁止された事情もある。 構造4ストローク機関の主要部分は、以下の各部品で構成される。
熱勘定燃料が燃焼する際の熱を100%とした場合、その熱がどのように使われるかを示す言葉に、熱勘定というものがある。 以下はカルノーサイクルに従うガソリンエンジンの熱勘定の一例である。実際にはエンジンの性能差や動作環境によりこの割合は異なる[2]。
すなわち、燃焼時のエネルギーの2割から3割程度しか仕事は取り出せない。 これはエンジン内のみの勘定であるため、実際には他の機構を伝達する際、さらに伝達時の損失が起こるが、排気からタービン等によりエネルギーを更に取り出す場合もある。 脚注
参考文献
関連項目外部リンク |