キャメロット(Camelot)はイギリスで生産され、アイルランドで調教された競走馬・種牡馬である。主な勝ち鞍は、2011年レーシングポストトロフィー、2012年2000ギニー、2012年ダービーステークス、2012年アイリッシュダービー。
なお、「キャメロット」という馬名は非常にありふれた馬名であり、サラブレッドだけでも本馬以前に20頭以上存在している。日本でも1974年の京成杯で3着となったキャメロット(父:パーソロン)がいる。
経歴
デビュー前
バーレーン国王の子息であるシェイク・アブドゥッラー・ビン・ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファのイギリスでの生産馬で、母Tarfahはダリアステークス(イギリスG3)の勝馬。2010年のタタソールズ・オクトーバー・イヤリングセールで、現馬主(デリック・スミス、ジョン・マグナー夫人、マイケル・テイバー)の代理人であるデミ・オブライエンが販売申込者のハイクレア・スタッドから525,000ギニーで購入し[1]、アイルランドのバリードイル調教場のエイダン・オブライエン調教師の管理下に入った。
2歳 - 3歳
アイルランドの未勝利戦を勝利するとそのままレーシングポストトロフィーに直行。5頭立てとなったレースで圧倒的な1番人気に支持されると、最後方から4頭をまとめて交わして勝利し、翌年のクラシック戦線の有力候補と目され2012年の2000ギニーとダービーのウインターフェヴァリット(冬季前売り1番人気)となる。
翌年2000ギニーに直行。ここでも1番人気に支持されると、前年のクリテリウムインターナショナルの覇者フレンチフィフティーンとの叩き合いをクビ差制して勝利。
続いて距離が伸びるダービーへ。ここは1907年以来105年ぶりの9頭立てという少頭数となり、圧倒的な1番人気に支持された。続く2番人気はダンテステークスの覇者ボンファイア。ほかにもダービートライアルの覇者メインシーケンスやディーステークスを11馬身差で勝った同厩舎のアストロロジーが名を連ねていた。レースでは後方2番手に控えると、最後の直線で逃げるアストロロジーを交わすとそのまま後続に5馬身差をつけて勝利し、2009年のシーザスターズ以来の二冠を達成した。キャメロットの賭け率8対13(約1.62倍)は過去60年で最も低い配当となり[2]、デビュー以来全レースで騎手を務めている(エイダン・オブライエン調教師の子息である)ジョセフ・オブライエンは19歳でダービージョッキーとなった。
アイリッシュダービーでは馬場不良を理由に直前に2頭が出走回避し、これまた5頭立ての少頭数戦になったが、スタート直後から後方2番手に控え、最後の直線手前で進出を開始。残り2ハロンあたりで外にふくれながら先頭に立ち、大外から上がってきたシーザスターズの弟ボーントゥシーがやや不利を受けた形になったが、なおも食い下がるボーントゥシーを押さえて勝利。ヨーロッパクラシック3勝目を挙げた。
アイリッシュダービーから直行したセントレジャーステークスは、イギリスクラシック三冠をかけての出走となった。レースは9頭立てで行われ圧倒的な支持を受けたがエンケの2着に敗れた。
その後凱旋門賞の回避が噂されたが陣営は参戦を決定。斤量の関係もあり、ランフランコ・デットーリに乗り替わった。しかし、結果は不良馬場が祟って、キャメロットは7着に終わった。レース後、疝痛を発症したため、手術を受けた[3]。
4歳
2013年はムーアズブリッジステークス(G3)から始動しここは快勝するものの、次走タタソールズゴールドカップ(G1)は1番人気に推されながらアルカジームの2着に敗れた。さらにプリンスオブウェールズステークスにおいてもアルカジームの4着となり、引退か現役続行かその去就が注目されたが、引退はせず一旦休養に入った。
秋は凱旋門賞の前哨戦であるフォワ賞から復帰する予定だったが、レース当日が不良馬場になったため、出走を取り消した。その後、凱旋門賞を回避して、ブリーダーズCターフに出走する予定だったが、調教中に故障したため、引退することになった。引退後はクールモアスタッドにて種牡馬になる[4]。
種牡馬として
2017年に初年度産駒がデビューし、その中の1頭でかつての主戦騎手ジョセフ・オブライエン調教師が管理するラトローブ(Latrobe)が2018年のアイリッシュダービーを優勝。自身との父子制覇を成し遂げるとともに、産駒初のクラシック競走制覇を果たした[5]。また同年アメリカのベルモントオークスでも産駒のアテナが制し、異国でのG1制覇も成し遂げた。
主な産駒
競走成績
出走日[6] |
競馬場 |
競走名 |
格 |
頭数 |
人気 |
着順 |
騎手 |
斤量 |
距離(馬場) |
タイム |
着差 |
1着(2着)馬
|
2011.7.14 |
レパーズタウン |
2歳未勝利 |
|
5 |
1人 |
1着 |
J.P.O'Brien |
127lb |
芝8f(Gd) |
1:42.31 |
2身 |
(All Approved)
|
2011.10.22 |
ドンカスター |
レーシングポストT |
G1 |
5 |
1人 |
1着 |
J.P.O'Brien |
126lb |
芝8f(Gd) |
1:38.58 |
2 1/4馬身 |
(Zip Top)
|
2012.5.5 |
ニューマーケット |
2000ギニー |
G1 |
18 |
1人 |
1着 |
J.P.O'Brien |
126lb |
芝8f(GS) |
1:42.46 |
首 |
(French Fifteen)
|
2012.6.2 |
エプソム |
ダービー |
G1 |
9 |
1人 |
1着 |
J.P.O'Brien |
126lb |
芝12f10y(GF) |
2.33.90 |
5馬身 |
(Main Sequence)
|
2012.6.30 |
カラ |
愛ダービー |
G1 |
5 |
1人 |
1着 |
J.P.O'Brien |
126lb |
芝12f(Sft) |
2:43.96 |
2馬身 |
(Born To Sea)
|
2012.9.15 |
ドンカスター |
セントレジャー |
G1 |
9 |
1人 |
2着 |
J.P.O'Brien |
126lb |
芝14f132y(Gd) |
|
3/4馬身 |
Encke
|
2012.10.7 |
ロンシャン |
凱旋門賞 |
G1 |
18 |
2人 |
7着 |
L.Dettori |
123lb |
芝2400m(Hy) |
|
12 1/2馬身 |
Solemia
|
2013.5.6 |
カラ |
ムーアズブリッジS |
G3 |
5 |
1人 |
1着 |
J.P.O'Brien |
134lb |
芝10f(GY) |
2.16.27 |
1 3/4馬身 |
(Triumphant)
|
2013.5.26 |
カラ |
タタソールズゴールドカップ |
G1 |
4 |
1人 |
2着 |
J.P.O'Brien |
129lb |
芝10f110y(GF) |
|
1 1/2馬身 |
Al Kazeem
|
2013.6.19 |
アスコット |
プリンスオブウェールズS |
G1 |
11 |
1人 |
4着 |
J.P.O'Brien |
126lb |
芝10f(GS) |
|
3 3/4馬身 |
Al Kazeem
|
血統表
- 父モンジューについては同馬の項を参照。本馬はモンジューの8世代目の産駒で、父が出した4頭目のイギリスダービー馬となった。
- 母ターファーはダリアステークス(イギリスG3)の勝ち馬。4代母ワンオーバーパーの全姉にイギリスオークス優勝馬ポリガミー。16代母に生涯54戦54勝、ハンガリーの歴史的名牝キンチェム。
- サドラーズウェルズ、ヌレイエフ、ダンジグとノーザンダンサー系の名種牡馬3頭の血を受け継いでおり、ノーザンダンサーの母ナタルマはデインヒルの牝系をも通して計4回のクロス、その父ネイティヴダンサーは、ほかにミスタープロスペクターを通して計5回のクロスとなっている。
出典
外部リンク