フロンテナック郡裁判所
キングストン市街
キングストン (英 : Kingston )は、カナダ のオンタリオ州 南東部の都市。オンタリオ湖 の北岸、セントローレンス川 とリドー運河 の起点に位置する。サウザンドアイランズ が始まる起点でもあり、周遊クルーズ の起点としても知られる。ライムストーン(石灰岩) を使った建物が多くあることから「ライムストーン・シティ」(Limestone City)とも呼ばれる。
歴史
この地域には古くから、先住民族 のミシサガ族 の一派である、カタラクィ族 (Katerokwi、Cataraqui)が居住していた。1673年 にフランス 人総督フロンテナック によって、毛皮交易 所及び要塞(「フォート・フロンテナック(Fort Frontenac)」)が開かれた。その後、七年戦争 (フレンチ・インディアン戦争 )の終盤の1758年 、フォート・フロンテナックの戦いでこの砦はイギリス軍 に滅ぼされた。
アメリカ独立戦争 の余波を受け、イギリス 側に忠誠を表明した人々がアメリカから難民 として解放されてきた受け入れ地として、18世紀 末までにキングストンは成長した。1812年 の米英戦争 では、キングストンはイギリス海軍 五大湖 艦隊オンタリオ湖 分艦隊の基地となり、オンタリオ湖の制海権 を巡ってアメリカ海軍と争った。戦後はリドー運河の起点を守るため、特徴のある円形砲台を含む「フォートヘンリー(Fort henry)」を建造。これは現在でも観光で訪問できる。
1832年 、リドー運河の完成後は運河のオンタリオ湖側起点として、軍事上、経済上の重要地点となる。1838年 に町制施行され、アッパー・カナダ では最大の町となる。1846年 には市制施行された。
キングストンはカナダ の首都候補の一つであった。1841年 から1844年 の間、短期間であったが、実際にカナダ の首都 であった。1841年6月13日 には最初のカナダ議会 が開催された。初代首相 のジョン・A・マクドナルド の出身地でもあった。その後カナダにとっての当時の仮想敵国であったアメリカに近すぎるという理由のため、首都機能はオタワ に移された。
19世紀 後半から20世紀 初期には、キングストンは造船 及び機関車 製造の拠点として発展。それらの重工業はその後次第に消滅し、現在ではクイーンズ大学 を初めとする教育機関、軍事関係、その他のサービス業がこの町の中心的産業となった。
経済
キングストンの経済は公共部門と産業部門に大きく依存している。主な産業部門はヘルスケア 、教育 、政府関連(軍事施設及び刑務所 を含む)、観光 ・文化 である。製造業 と研究開発 は過去に比べて縮小している。現在では民間企業が雇用全体の約半数を占めている[ 2] 。キングストンの20世紀 における主な雇用主であったカナダ蒸気機関車会社 は1969年に閉鎖し、元アルキャン と元デュポン の工場についても大幅に縮小している。トロント、オタワ、モントリオール、アメリカ・ニューヨーク州シラキュースからの中間地点である立地から、トラック輸送の物流基地や倉庫が建設されている。
概要
現在の大規模な雇用主は下記の通り[ 3] 。
クイーンズ大学 9,352
カナダ軍 キングストン基地 8,500
キングストン健康科学センター 5,953
ライムストーン教育委員会(Limestone District School Board) 3,400
カナダ更生サービス(Correctional Services of Canada) 2,500
プロビデンス・ケア(Providence Care) 1,700
キングストン市 1,550
セントローレンス・カレッジ 875
インヴィスタ・カナダ(Invista Canada、元デュポン ) 700
エンパイヤ生命 674
オンタリオ州健康省(Ontario Ministry of Health) 530
J.E.アニュー・フードサービス 450
ケイリアン・テクノロジーズ 363
ノヴェリス(Novelis)(元アルキャン )285
ティム・ホートンズ物流センター 280
コミッショナリーズ・カナダ 255
キャンコイル・サーマル 200
アシュラント(Assurant) 180
カナダ・ロイヤル・ミルク 165
ハーコン・インダストリーズ 160
デュポン ・カナダR&Dセンター 150
観光業
カナダ統計局によると、キングストンの観光産業は市の経済にとってきわめて重要な地位にある。2004年には約3,500の雇用を生み出し健康的に成長している分野である。
カナダ軍キングストン基地
カナダ軍キングストン基地(CFB Kingston)には、カナダ軍通信電子学院(CFSCE、Canadian Forces School of Communications and Electronics)、軍事通信訓練センターが設置されている。市内中心地の東部に位置し、居住地域(ヴァイミー、Vimy)及び業務地域(マクノートン、MacNaughton)で構成されている。アメリカ合衆国 との国境 近く、セントローレンス川 の五大湖 からの流源という戦略的な場所にある。フォート・フロンテナック (フロンテナック砦)として1673年 に設置されて以来、大変重要な軍事拠点とされている。1876年 にカナダ王立軍事大学 (Royal Military College of Canada)が設置され、キングストンの戦略的な位置づけがさらに強化された。マクノートン地域には広い森が広がっており、その一部に基地随一の余暇施設、ギャリソン・ゴルフ&カーリング・クラブもある。
カナダ更生局
キングストンにはカナダ最大の連邦更生施設が集中している。キングストン周辺の9施設のうち、7施設が市内に位置する。
キングストン刑務所 (Kingston Penitentiary):最重警備施設
地域更生センター(Regional Treatment Centre):キングストン刑務所と隣接する多重警備施設
ジョイスヴィル矯正施設(Joyceville Institution):中度警備施設
ピッツバーグ矯正施設(Pittsburgh Institution):ジョイスヴィル矯正施設と隣接する最低警備施設
コリンズ・ベイ矯正施設(Collins Bay Institution):中度警備施設
フロンテナック矯正施設(Frontenac Institution):コリンズ・ベイ矯正施設と隣接する最低警備施設
イザベル・マクニール施設(Isabel McNeil House):最低警備施設。女子受刑者用の移行施設
ミルヘイヴン矯正施設(Millhaven Institution、最重警備)とバス矯正施設(Bath Institution、最低警備)は近隣のバス村(Bath)に位置する。
2000年 まではカナダ唯一の女子刑務所 「P4W(Prison for Women)」もキングストンにあった。1995年 にルイーズ・アーバー (Louise Arbour)が「キングストン女子刑務所での事件調査委員会」(Commission of Inquiry into Certain Events at the Prison for Women in Kingston)の委員長に任命され、発表された報告書の結果、2000年に閉鎖となった。
観光
米英戦争やカナダの連邦政府創設などの、カナダ草創期の歴史をしのぶさまざまな史跡及び観光名所が点在する。
キングストン市庁舎(Kingston City Hall):特徴のあるドーム型屋根の建物。夏期には朝市が行われる。国定史跡 。
フォート・ヘンリー (Fort Henry):衛兵の交代や、様々な衛兵の訓練風景が見られる。国定史跡 。
サウザンドアイランド・クルーズの起点
ベルビュー・ハウス:国定史跡 。
教育
大学
クイーンズ大学 (Queen's University at Kingston)
カナダ王立軍事大学 (Royal Military College of Canada)
セント・ローレンス・カレッジ(St. Lawrence College)
交通
市内交通
高速道路
運河
空港
フェリー
ウルフ島フェリー:オンタリオ湖に浮かぶウルフ島 (Wolfe Island)までの無料のフェリー が出ている。
ホーンズ・フェリー:ウルフ島から対岸のアメリカ合衆国側を結ぶホーンズ・フェリー(Horne's Ferry)が出ている(有料)[ 6] 。
鉄道
都市間交通
脚注
^ “Statistics Canada Census2021 ”. 11 September 2023 閲覧。
^ Kingston Major Employers Archived March 4, 2015, at the Wayback Machine . Retrieved: March 15, 2015
^ “Major Employers ”. Kingston Economic Development Commission. November 8, 2023 閲覧。
^ “Air Canada cancels 30 domestic routes, closes 8 stations at regional airports ”. The Globe and Mail (2020年6月30日). 2020年6月30日 閲覧。
^ “Airline pauses service to Kingston amid customer service issues – Kingston ”. Global News . 2022年12月19日 閲覧。
^ [1]
外部リンク