クララ細胞 (くららさいぼう、英語 : Clara cell )とは終末細気管支 と呼吸細気管支 の移行部に存在する無線毛細胞。細胞表面に短い微絨毛 を有する。細胞質には分泌顆粒が存在し、開口分泌 により放出される。1937年 にオーストリアの解剖学者であるマックス・クララ により発見された[ 1] [ 2] 。英語圏などでは後述の理由により現在ではクラブ細胞 (英語 : club cell )と呼ばれる。
クララ細胞は繊毛単純上皮に分布し、細気管支保護の為にしばしばグリコサミノグリカン を分泌する。細気管支細胞は杯細胞 の減少に伴い増加する。
クララ細胞の主要な機能の一つに細気管支上皮細胞 の保護が挙げられる。ウテログロビン (英語版 ) タンパク質や、肺サーファクタント と似た成分の溶液など多様な分泌物を分泌する。また、滑面小胞体 に位置するシトクロムP450 酵素を用いて、胚に侵入した有害物質の無毒化も行う。クララ細胞は幹細胞 としても振る舞い、増殖後に線毛細胞へと分化して細気管支上皮を再生する。
歴史
クララ細胞の名称は1937年に初報告したマックス・クララ (1899年-1966年)に由来する。クララはナチ党 の熱心な党員であり、ナチス・ドイツ によって処刑された被害者の組織を用いて研究(クララ細胞の発見を含む)を行っていた[ 1] 。2012年5月、主要な呼吸器専門誌(アメリカ胸部学会 (英語版 ) 、ヨーロッパ呼吸器学会 (英語版 ) 、アメリカ胸部医学会 (英語版 ) の雑誌を含む)の編集委員会はクララのエポニム 使用継続は彼を称えるのと等しいと結論付け、2013年1月1日以降有効となる改名方針を発表した[ 3] 。2年間「クララ」の語は「クラブ細胞」の後にかっこ書きで記され、その後は「クララ細胞」および「クララ細胞分泌タンパク質」はそれぞれ「クラブ細胞」および「クラブ細胞分泌タンパク質」へと完全に置き換わるというものである[ 4] 。
脚注
^ a b Winkelmann, Andreas; Noack, Thorsten (2010). “The Clara cell - a "Third Reich eponym"?” . European Respiratory Journal Express 36 (4): 722–727. doi :10.1183/09031936.00146609 . PMID 20223917 . http://erj.ersjournals.com/cgi/content/abstract/09031936.00146609v1 .
^ Woywodt, A.; S. Lefrak, E. Matteson (October 1, 2010). “Tainted Eponyms in Medicine: the "Clara" Cell Joins the List” . European Respiratory Journal 36 (4): 704–706. doi :10.1183/09031936.00046110 . http://erj.ersjournals.com/content/36/4/706.full 2010年11月2日 閲覧。 .
^
Irwin, RS; Augustyn N; French CT; Rice J; Tedeschi V; Welch SJ (2013). “Spread the word about the journal in 2013: from citation manipulation to invalidation of patient-reported outcomes measures to renaming the Clara cell to new journal features” . Chest 143 (1): 1–5. doi :10.1378/chest.12-2762 . PMID 23276834 . https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(13)60001-X/fulltext .
^ Akram, KM; Lomas NJ; Spiteri MA; Forsyth NR (2013). “Club cells inhibit alveolar epithelial wound repair via TRAIL-dependent apoptosis”. Eur Respir J 41 (3): 683–694. doi :10.1183/09031936.00213411 . PMID 22790912 .
参考文献
関連項目