グレート・アトラクター(英: Great Attractor)は、近傍宇宙の大規模構造の一つであり、いくつかの銀河および銀河団の特異運動からその存在が予測されている銀河間空間内の重力異常である。うみへび座・ケンタウルス座超銀河団の範囲内に位置し銀河系の数万倍の質量集中を持つと考えられている。これは、グレート・アトラクターが数億光年に渡る宇宙の領域内にある銀河とそれが属する銀河団の運動に及ぼす影響の観測から推定されたものである。
2005年に天文学者達は、「銀河面吸収帯内の銀河団 (Clusters in the Zone of Avoidance ; CIZA) プロジェクト」として知られるX線によるサーベイを実施した。この調査による結果は、グレート・アトラクターの質量は、実際には当初科学者が予測した値の 1/10 でしかないというものであった。
このサーベイはまた、銀河系が実際にはグレート・アトラクターのさらに向こうにあるシャプレー超銀河団の近くに存在する、さらに大質量の銀河団に引きつけられているという、初期の理論を確認するものであった[10]。
SF小説家のアラン・ディーン・フォスターによる"Pip and Flinx"シリーズの中の ”Flinx's Folly”にグレート・アトラクターに関する言及がある。この中でグレート・アトラクターは、銀河系を他の銀河の中から重力的に引っ張り出すのに十分な質量を持つ何かを作り出すために、古代の異星種族が行った試みであると述べられている。
^Rubin, Vera C., W. Kent Ford, Jr., & C. Krishna Kumar, “Stellar Motions Near the Nucleus of M31,” Ap.J. 181, 61-78 (1973).
^Rubin, Vera C., W. Kent Ford, Jr., Norbert Thonnard, Morton S. Roberts, & John A. Graham, “Motion of the Galaxy and the Local Group Determined from the Velocity Anisotropy of Distant Sc I Galaxies. I. The Data Ap.J. 81, 687-718 (1976).
^Rubin, Vera C., Norbert Thonnard, W. Kent Ford, Jr., & Morton S. Roberts, “Motion of the Galaxy and the Local Group Determined from the Velocity Anisotropy of Distant Sc I Galaxies. II. The Analysis for the Motion,” Astronomical Journal 81, 719-37 (1976).