|
この項目では、ビートルズの楽曲について説明しています。伊坂幸太郎の小説作品については「ゴールデンスランバー」をご覧ください。 |
「ゴールデン・スランバー[注 1]」(原題 : Golden Slumbers)は、ビートルズの楽曲である。1969年9月に発売された11作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『アビイ・ロード』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、ポール・マッカートニーによって書かれた楽曲。アルバム『アビイ・ロード』のB面の特徴であるメドレー「ザ・ロング・ワン」(The Long One)の6曲目で、メドレー後半のオープニングにあたる楽曲。1969年7月に「キャリー・ザット・ウェイト」と繋げてレコーディングされた。
背景
マッカートニーが実父ジム(ジェームス・マッカートニー)の家で、ピアノを演奏しているときに、義妹ルース[注 2]のピアノ教本の中からトマス・デッカー(英語版)の「ゴールデン・スランバー」[注 3]という子守唄を発見した。この時のことをマッカートニーは「リヴァプールの父の家でピアノを弾いていた。譜面台にはピアノの練習をしていた妹のルースの教本がスタンドに立てかけてあって、それをパラパラとめくっていったら、『ゴールデン・スランバー』に行き当たったんだ。僕は楽譜が読めないし、この古い曲に覚えがなかった。だから自分で旋律を作ったんだ」「とにかく歌詞が気に入った。すごく安らげる、すごく美しい子守唄だと思ったからキープしておいたら、手持ちの別の曲の断片とうまく合わさった」と語っている。
1969年1月9日にトゥイッケナム・スタジオ(英語版)でマッカートニーはピアノの弾き語りで、リンゴ・スターとマル・エヴァンズに本作を聴かせた。1956年にフランク・シナトラが発売したLPを引き合いに「そろそろ『ソングス・フォー・スウィンギン・ラヴァーズ(英語版)』のための新曲を用意しなくちゃ」という冗談を言ったマッカートニーは、本作のヴァース用に即興で複数のアイデアを出した。そこからお伽話っぽくしたいということから、「Once there was way to get back homeward...(昔、道があった、故郷へと帰る道)」という冒頭のフレーズが形づくられた。
レコーディング
「ゴールデン・スランバー」のレコーディングは1969年7月2日に開始され、「キャリー・ザット・ウェイト」と繋げてレコーディングされた。なお、この日のセッションでは、スコットランドでの自動車事故で負傷していたジョン・レノンは参加していない。8トラック・レコーダーのトラック1にスターのドラム、トラック2にジョージ・ハリスンのベース、トラック3にマッカートニーのピアノ、トラック8にマッカートニーのガイド・ボーカルが録音された。同日に15回録音が行われたが、大半のテイクは途中で終わっている。バッキング・トラックを作り出すにあたり、テイク13とテイク15の要素が編集でまとめられた。翌日、トラック4に追加のドラムとマッカートニーのボーカルが録音され、追加のドラムはトラック1に録音されたオリジナルのドラムとミックスするために、2本目のテープで2種類のリダクション・ミックスが作成され、よりよい出来と判断されたテイク17がオーバー・ダビング用に使用されることとなった。
7月31日にドラムやティンパニ、もう1つのリード・ボーカル、8月15日にオーケストラがトラック8にオーバーダビングされた。オーケストラのパートは、最後のミキシング作業時にADTで増強されており、オリジナルのアンサンブルと少し遅れて聴こえるADT版は、ステレオ音像の両サイドに配置された。
クレジット
※出典
- ビートルズ
-
- 外部ミュージシャン
-
カバー・バージョン
脚注
注釈
- ^ 正確な題名は「ゴールデン・スランバーズ」だが、日本版LP発売の際に付けられた「ゴールデン・スランバー」という邦題がそのまま使用されている。
- ^ 実母メアリーは、マッカートニーが14歳の時に乳癌で死亡しているが、このアルバムの製作中に実父ジムが再婚した、女性の連れ子
- ^ 歌詞の初出は、デッカーとヘンリー・チェトル(英語版)、ウィリアム・ホートン(英語版)が書いた1599年の戯曲『忍耐強いグリシルの楽しい喜劇(英語版)』。その後、W.J.ヘンダーソンが曲をつけて、1885年に発売された『セント・ニコラス曲集』に「ゴールデン・スランバーズ・キス・ユア・アイズ(Golden Slumbers Kiss Your Eyes)」というタイトルで収録された。ピーター・ウォーロックも1918年にこの詩に曲を付けており、他にチャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードやアルフレード・カゼッラによる作曲もある[3]。デッカーによる原詩は以下の通り。
Golden slumbers kiss your eyes,
Smiles awake you when you rise.
Sleep, pretty wantons; do not cry,
And I will sing a lullaby:
Rock them, rock them, lullaby.
Care is heavy, therefore sleep you;
You are care, and care must keep you;
Sleep, pretty wantons; do not cry,
And I will sing a lullaby:
Rock them, rock them, lullaby.[4]
- ^ 「キャリー・ザット・ウェイト」とのメドレー形式
出典
参考文献
外部リンク