『シエラザード』(仏語:Shéhérazade)は、1962年製作、1963年公開、ピエール・ガスパール=ユイ監督によるフランス・イタリア・スペイン合作の長篇劇映画である。邦題は『シェラザード』とも表記される。
概要
70mmフィルム(スーパーパノラマ70)で製作された超大作映画である。『千夜一夜物語』の語り手として知られる伝説上の人物シェヘラザードに新進女優のアンナ・カリーナを起用し、『トリスタンとイゾルデ』の恋愛物語をブレンドしたスペクタクル映画である[1]。カリーナの当時の夫で、ヌーヴェルヴァーグの映画監督として知られるジャン=リュック・ゴダールがカメオ出演している。
1963年(昭和38年)5月、第16回カンヌ国際映画祭で上映され、フランス映画高等技術委員会大賞を受賞した[1]。
日本では、同年9月28日に、松竹映配の配給で「フランス映画界が総力をあげて世界に問う初の70ミリ超大作!」と銘打ち、東京・東銀座の東劇をフラッグシップに大々的に公開された[2]。キングレコードからは本作のサウンドトラックがEP盤(規格番号17M-71)で発売された。日本ではビデオグラム化はされていない。
ストーリー
西暦809年、ヨーロッパを統一したフランク王国のシャルルマーニュ大帝は、バグダッドに親善使節団を派遣した。ルノー(ジェラール・バレー)を大使としたその使節団は、砂漠のなかを進む途中で、シエラザード(アンナ・カリーナ)の妹を助ける。シエラザードはアラビアのハルアン王(アントニオ・ビラール)の王妃候補であったが、盗賊ベドアン族に囚われていたのだった。ルノーは、シエラザードを奪還すると同時に、恋におちてしまう。
シエラザードが囚われていたのは、ザカール将軍(ホルヘ・ミストラル)の陰謀であった。自らの情婦シーリーン(マリルー・トロ)を王妃として送り込み、王国の乗っ取りを企図していたのだ。かくしてシエラザードは王妃に選ばれた。
ルノーはトリスタンのごとく悲しみに暮れ、酒に溺れた。ザカール将軍とシーリーンは捲土重来のチャンスとばかりに策略を仕組み、ルノーとシエラザードを再会させた。再会の悦びに抱き合うふたりを発見したハルアン王は、シエラザードを賤民に落とし、ルノーをむち打ちの刑に処した。
フランク王国の騎士団はシエラザードを奪還、ルノーとともにバグダッドを去る。それでもシエラザードを愛していたハルアン王は激怒し、騎士団からシエラザードを再奪還した。そこへ、ザカール将軍の反乱軍が王宮を攻撃、ハルアン王とシエラザードはともに脱出した。逃れるハルアン王はルノーら騎士団と出会い、ルノーらは義憤を感じて、王軍と連合してザカール将軍の反乱軍を滅ぼした。重傷を負ったハルアン王は、病床にルノーとシエラザードを呼び、ふたりの結婚を祝福した。
キャスト
※日本語吹替:テレビ版・初回放送1970年5月3日『日曜洋画劇場』
関連事項
註
外部リンク