シサプリド
IUPAC命名法 による物質名
(±)-cis -4-amino-5-chloro-N -(1-[3-(4-fluorophenoxy)propyl]-3-methoxypiperidin-4-yl)-2-methoxybenzamide
臨床データ 販売名
Prepulsid, Propulsid Drugs.com
専門家向け情報(英語) FDA Professional Drug Information MedlinePlus
a694006 胎児危険度分類
法的規制
薬物動態 データ生物学的利用能 30-40% 血漿タンパク結合 97.5% 代謝 liver CYP3A4 , intestinal 半減期 10 hours 排泄 kidney, bile duct データベースID CAS番号
81098-60-4 ATCコード
A03FA02 (WHO ) PubChem
CID: 2769 IUPHAR/BPS (英語版 )
240 DrugBank
DB00604 ChemSpider
2667 UNII
UVL329170W KEGG
D00274 ChEMBL
CHEMBL1729 化学的データ 化学式 C 23 H 29 Cl F N 3 O 4 分子量 465.95 g·mol−1
Clc1cc(c(OC)cc1N)C(=O)NC3CCN(CCCOc2ccc(F)cc2)CC3OC
InChI=1S/C23H29ClFN3O4/c1-30-21-13-19(26)18(24)12-17(21)23(29)27-20-8-10-28(14-22(20)31-2)9-3-11-32-16-6-4-15(25)5-7-16/h4-7,12-13,20,22H,3,8-11,14,26H2,1-2H3,(H,27,29) Key:DCSUBABJRXZOMT-UHFFFAOYSA-N
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シサプリド (Cisapride)は消化管運動促進薬 であり、上部消化管の運動性 を高める薬剤である。直接的にはセロトニン5-HT4 受容体 作動薬 として、間接的には副交感神経刺激薬 として作用する。セロトニン受容体を刺激することで、腸管神経系におけるアセチルコリン の放出を増加させる。重篤な心臓の副作用 が発生したため、多くの国で販売中止または適応症が制限されている。
分子内にキラル中心 を1つ有しているが、市販されている本剤は、両エナンチオマー のラセミ混合物 である。主要な薬理作用を有するのは (+) エナンチオマーであり、混合物による有害な副作用の多くを誘発しない[ 1] 。
効能・効果
慢性胃炎、胃切除後症候群に伴う消化器症状(胸やけ、食欲不振、悪心・嘔吐、上腹部痛、腹部膨満感)、逆流性食道炎偽性腸閉塞(特発性)[ 2] [ 3]
シサプリドは、胃食道逆流症 (GERD)の治療に使用されていたが、小児に対する有効性を示す証拠はない[ 4] 。また、糖尿病性胃不全麻痺 患者の胃排出量を増加させる。便秘 への使用に関するエビデンスは不明確である[ 5] 。
多くの国で、不整脈 を引き起こす可能性のある副作用QT延長症候群 が報告されているため、発売中止または適応が制限されている。日本では1989年に承認されたが[ 3] 、2000年に販売中止となった[ 6] 。米国市場からも2000年に自主的に撤去された。欧州での使用も制限されている[ 4] 。インドとフィリピンでは2011年に使用が禁止された[ 7] 。
副作用
シサプリドの主要な副作用は、心血管系障害(QT延長、心室性不整脈)、錐体外路症状、喘息発作である[ 3] 。
動物用医薬品
シサプリドは、米国およびカナダでは動物用に使用することができ、一般的に猫の巨大結腸 の治療のために獣医師が処方している。
シサプリドはウサギの消化管通過停滞の治療にもよく使用され、メトクロプラミド と併用されることもある。
薬物動態
シサプリドの経口投与 時の生物学的利用能 は約33%である。肝臓のCYP3A4 で代謝不活性化され、半減期 は約10時間である。肝障害を持つ患者では投与量を減じる必要がある[ 8] 。
作用機序
シサプリドは、消化管運動を亢進させる消化管機能改善薬 であり、5-HT4 受容体サブタイプの選択的セロトニン受容体作動薬 として作用する。また、ムスカリン受容体 に作用するアセチルコリン の遊離を間接的に促進することにより、便秘様症状を改善する。
関連項目
参考資料
^ US patent 5955478 , Gray NM, Young JW, "Methods for treating gastrointestinal motility dysfunction using optically pre (+) cisapride", issued 1999-Sep-21
^ “シサプリドとQT延長 ”. www.umin.ac.jp . 大学病院医療情報ネットワーク. 2021年9月26日 閲覧。
^ a b c 北村正樹, 景山茂「シサプリドの主な副作用と薬物相互作用 」『耳鼻咽喉科展望』第42巻第6号、耳鼻咽喉科展望会、1999年、634-637頁、doi :10.11453/orltokyo1958.42.6_634 、ISSN 0386-9687 、NAID 130003975103 。
^ a b Maclennan S, Augood C, Cash-Gibson L, Logan S, Gilbert RE (April 2010). "Cisapride treatment for gastro-oesophageal reflux in children" (PDF) . The Cochrane Database of Systematic Reviews (4): CD002300. doi :10.1002/14651858.CD002300.pub2 . PMC 7138252 . PMID 20393933 。
^ Aboumarzouk OM, Agarwal T, Antakia R, Shariff U, Nelson RL (January 2011). "Cisapride for intestinal constipation". The Cochrane Database of Systematic Reviews (1): CD007780. doi :10.1002/14651858.CD007780.pub2 . PMID 21249695 。
^ 津谷喜一郎「市販後に分かる薬の安全性と最近の撤退薬 2.市場撤退薬の諸相 」『臨床薬理』第40巻第1号、日本臨床薬理学会、2009年、7-16頁、doi :10.3999/jscpt.40.7 、ISSN 0388-1601 、NAID 130004541283 。
^ “Drugs banned in India ”. Central Drugs Standard Control Organization, Dte.GHS, Ministry of Health and Family Welfare, Government of India. 2015年2月21日時点のオリジナル よりアーカイブ。2013年9月17日 閲覧。
^ Hedner T, Hedner J, Gelin-Friberg A, Huang ML, Van de Poel S, Woestenborghs R, Van Peer A, Heykants J (1990). "Comparative bioavailability of a cisapride suppository and tablet formulation in healthy volunteers". European Journal of Clinical Pharmacology . 38 (6): 629–31. doi :10.1007/bf00278595 . PMID 2373139 . S2CID 33641651 。
関連文献
Brenner GM (2000). Pharmacology . Philadelphia, PA: W.B. Saunders Company. ISBN 0-7216-7757-6 。
Canadian Pharmacists Association (2000). Compendium of Pharmaceuticals and Specialties (25th ed.). Toronto, ON: Webcom. ISBN 0-919115-76-4
“Cisapride ”. Medline Plus . U.S. National Library of Medicine. 2021年9月25日 閲覧。
外部リンク