『シャーロック・ホームズ最後の挨拶 』(シャーロック・ホームズさいごのあいさつ、His Last Bow )は、イギリスの小説家、アーサー・コナン・ドイル による短編集。シャーロック・ホームズシリーズ の一つで、五つの短編集のうち4番目に発行された作品である。1917年の発行で、イギリスの『ストランド・マガジン 』1908年9月号から1917年9月号にかけて発表された7の短編、あるいは1893年1月号に発表された短編も含む8編を収録している[ 1] 。
イギリスでの初版はジョン・マレイ社から1917年10月22日に、アメリカでの初版はジョージ・H・ドーラン社から10月に出版された。短編の配列は発表順と異なり、「ウィスタリア荘」「ボール箱」「赤い輪」「ブルースパーティントン設計書」「瀕死の探偵」「フランシス・カーファックス姫の失踪」「悪魔の足」「最後の挨拶」の順番で、全8編となっていた。初版以降では、「ボール箱 」の扱いが出版社によって異なる。「ボール箱」は第2短編集『シャーロック・ホームズの思い出 』へ収録されることがあり、その場合はこの短編集に含まれず、全7編となる[ 2] 。また、発表順(執筆順)に配列し直した版も発行されている。
日本語版での「ボール箱」は、翻訳の底本に使用した版により、『シャーロック・ホームズの思い出』と『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』のどちらに収録されるかが異なっている。
短編集の冒頭にはジョン・H・ワトスン の署名が入った短い前書きがあり[ 3] 、シャーロック・ホームズ が探偵業を引退し、サセックス の農場で晴耕雨読の生活をしていることが記されている。これは、「ワトスンが物語の世界から出て、読者に直接語りかけた唯一の例」である[ 2] 。
収録作品
日本語版では訳者により様々な訳題が使用されている。括弧内は『ストランド・マガジン』掲載号。
The Cardboard Box - ボール箱 (1893年1月号)
The Adventure of Wisteria Lodge - ウィスタリア荘 [ 4]
The Singular Experience of Mr. John Scott Eccles - ジョン・スコット・エクルズ氏の奇妙な体験(1908年9月号)
The Tiger of San Pedro - サン・ペドロの虎(1908年10月号)
The Adventure of the Bruce-Partington Plans - ブルースパーティントン設計書 (1908年12月号)
The Adventure of the Devil's Foot - 悪魔の足 (1910年12月号)
The Adventure of the Red Circle - 赤い輪 (1911年3・4月号)
The Disappearance of Lady Frances Carfax - フランシス・カーファックス姫の失踪 (1911年12月号)
The Adventure of the Dying Detective - 瀕死の探偵 (1913年12月号)
His Last Bow - 最後の挨拶 (1917年9月号)
脚注
^ ジャック・トレイシー『シャーロック・ホームズ大百科事典』日暮雅通訳、河出書房新社、2002年、151頁
^ a b コナン・ドイル著、オーウェン・ダドリー・エドワーズ注・解説『シャーロック・ホームズ全集 第8巻 シャーロック・ホームズ最後の挨拶』小林司・東山あかね、高田寛訳、河出書房新社、2000年、307-308頁
^ 日本語版では出版社により収録されていないことがある。
^ この題は単行本へ収録される際、新たに付けられた。