ウェルドン・レオ・"ジャック"・ティーガーデン (Weldon Leo "Jack" Teagarden、1905年 8月20日 – 1964年 1月15日 [ 1] )は、アメリカ合衆国 のジャズ ・トロンボーン 奏者、歌手 [ 2] 。オールミュージック の批評家であるスコット・ヤナウ によれば、ティーガーデンは、1940年代 以降のビバップ 時代に先んじた時期における、卓越したジャズ・トロンボーン奏者であり、また同時に「最高のジャズ歌手の一人でもあった (one of the best jazz singers too)」という[ 3] 。ティーガーデンの初期のキャリアは、ポール・ホワイトマン (英語版 ) や、生涯の友となるルイ・アームストロング などのサイドマン (英語版 ) を務めることであった。
生い立ち
ティーガーデンは、アメリカ合衆国テキサス州 バーノン (英語版 ) に生まれた[ 2] 。兄弟であるチャーリー (英語版 ) とクロイス・"カブ" (Clois "Cub")、また妹のノーマ (英語版 ) は、いずれもプロのミュージシャンになった。彼らの父親は、アマチュアのブラスバンド のトランペット 奏者で、最初はジャックにサクソルン の一種であるバリトンホルン (英語版 ) を与えたが、彼は7歳のときに楽器をトロンボーンに持ち替えた。彼が最初に公の場で演奏したのは、母親がピアニストとして演奏していた映画館での伴奏であった[ 4] 。
音楽のキャリア
1951年 3月17日 、カナダ ・ブリティッシュコロンビア州 バンクーバー のパロマー・サパー・クラブ (Palomar Supper Club) で撮影された集合写真。左から、ジャック・ティーガーデン、サンディ・デサンティス (Sandy DeSantis)、ヴェルマ・ミドルトン (英語版 ) 、フレイザー・マクファーソン (英語版 ) 、コージー・コール (英語版 ) 、アーヴェル・ショウ 、アール・ハインズ 、バーニー・ビガード 。
ティーガーデンのトロンボーンの演奏法は、ほとんどが独学で得られたものであり、彼はこの楽器について、数多くの通常とは異なるポジションでの演奏や、新たな特殊効果を編み出した。彼は、ビバップ に先んじた時代における最も革新的なジャズ・トロンボーンのスタイルを生み出し、ピー・ウィー・ラッセル はかつて彼のことを、「世界最高のトロンボーン奏者 (the best trombone player in the world)」と評した[ 5] 。
1920年 の時点で、ティーガーデンはサンアントニオ でプロのミュージシャンとして演奏しており、その過程でピアニストのペック・ケリー (英語版 ) のバンドでも演奏した[ 2] 。1920年代 半ば、彼は広く合衆国内を演奏旅行して回るようになり、様々なバンドにおける演奏でたちまち成功を収めるようになっていった。1927年 にはニューヨーク へ向かい、いくつかのバンドで働いた。1928年 の時点では、ベン・ポラック (英語版 ) のバンドに参加していた[ 2] 。
1920年代 後半、彼は様々なバンドリーダー たちの下で、あるいはサイドマンとして、アームストロングやベニー・グッドマン 、ビックス・バイダーベック 、レッド・ニコルズ (英語版 ) 、ジミー・マクパートランド (英語版 ) 、メズ・メズロウ (英語版 ) 、グレン・ミラー 、エディ・コンドン 、ファッツ・ウォーラー らの録音に参加した。1931年 には、初期の彼自身の楽団が「Chances Are」という楽曲をファッツ・ウォーラーのピアノ、ジャック・ティーガーデンの歌とトロンボーンで吹き込んだ。ミラーとティーガーデンは協力して、スペンサー・ウィリアムズ が作曲した「ベイズン・ストリート・ブルース 」に歌詞を付け、ヴァース を書き足したが、ティーガーデンは、この修正を加えた形態を、生涯にわたり演奏する楽曲のひとつとした[ 2] 。
世界恐慌 の時期、経済的安定を求めたティーガーデンは、1933年 から1938年 まで、ポール・ホワイトマン 楽団と専属契約を結んだ[ 2] 。1946年 に、ティーガーデンは、ルイ・アームストロングのオール・スターズ (Louis Armstrong's All Stars) に加わった[ 2] 。1951年 後半には、ティーガーデンは再びバンドを離れ、自身のバンドを結成した[ 2] 。
ティーガーデンは、肺炎 のため、ニューオーリンズ において58歳で死去した[ 1] 。
ディスコグラフィ
Big Jazz with Rex Stewart (Atlantic, 1953)
Holiday in Trombone (EmArcy, 1954)
Jack Teagarden Plays and Sings (Urania, 1954)
Meet the New Jack Teagarden Volume I (Urania, 1954)
Jazz Great (Bethlehem, 1955)
Accent On Trombone (Urania, 1955)
Big T's Jazz (Decca, 1956)
This Is Teagarden! (Capitol, 1956)
Swing Low, Sweet Spiritual (Capitol, 1957)
Jazz Ultimate with Bobby Hackett (Capitol, 1958)
Jack Teagarden at the Roundtable (Roulette, 1959)
Shades of Night (Capitol, 1959)
Mis'ry and the Blues (Verve, 1961)
Think Well of Me (Verve, 1962)
The Dixie Sound of Jack Teagarden (Roulette, 1962)
Jack Teagarden (Verve, 1962)
The Blues and Dixie (Rondo-lette, 1963)
A Portrait of Mr. T (Roulette, 1963)
Swinging Down in Dixie (Golden Tone, 1963)
King of the Blues Trombone (Epic, 1963)
Big T's Dixieland Band (Capitol, 1977)
Big T & the Condon Gang (Pumpkin, 1978)
Original Dixieland (Everest Archive, 1978)
Big Band Jazz (Everest Archive, 1979)
Mighty Like a Rose (Koala, 1979)
The Swingin' Gate (Jasmine, 1981)
The Big Band Sound of Bunny Berigan & Jack Teagarden (Folkways, 1982)
Tribute to Teagarden (Pausa, 1983)
Birth of a Band (Giants of Jazz, 1985)
100 Years from Today (Grudge, 1990)
The Complete Capitol Fifties Jack Teagarden Sessions (Mosaic, 1996)
It's Time for T (Naxos, 2006)
Father of Jazz Trombone (Avid Entertainment, 2004)
客演
脚注
^ a b “Jack Teagarden Is Dead at 58; Jazz Trombonist and Vocalist; Some Critics Considered Him a Genius — His Technique Was Largely Self‐Taught ”. The New York Times (January 16, 1964). August 2, 2021 閲覧。
^ a b c d e f g h Colin Larkin , ed (1997). The Virgin Encyclopedia of Popular Music (Concise ed.). Virgin Books . p. 1165. ISBN 1-85227-745-9
^ “Jack Teagarden - Biography & History ”. AllMusic . 21 April 2019 閲覧。
^ "Teagarden, Jack (Weldon Leo)" Archived 2012-09-30 at the Wayback Machine ., Encyclopedia of Jazz Musicians.
^ "The Best Trombone Player in the World", by Gary Giddins , originally published in The Village Voice , March 1977; reprinted in Riding on a Blue Note: Jazz & American Pop , Oxford University Press , 1981.
関連項目
外部リンク