『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ ザ・ムービー』(原題:The SpongeBob SquarePants Movie)は、2004年のアメリカ合衆国のアニメーション映画で『スポンジ・ボブ』の映画版。この映画によりスポンジボブは初めてフルHDで作成された(テレビ本編は「スポンジ・ボブの真実」で初めてフルHDになり、シーズン9以降の製作回で全ての回でHDに統一されている)。
日本での劇場公開時の邦題は『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』。
あらすじ
ある日、スポンジ・ボブはオリジナルのカニカーニの隣にカーニさんが「カネ」のために建築したカニカーニ2の開会式の準備をしており、上司のカーニが自身をマネージャーに昇進させてくれると信じる。しかしカーニはイカルドをマネージャーに昇進することを発表し、スポンジ・ボブにイカルドの方が大人で、その仕事をこなせない「ただの子供」と説明し、スポンジボブは失望する。一方でプランクトンは悪の計画を全て使い果たした時にカレンから「プランZ」が残っていることを指摘されたためそれを実行に移し、ビキニタウンの外にある宮殿に住む「ネプチューン王」の王冠を盗むことに成功する。さらに、その王冠を「シェルシティ」の「サイクロプス」に売却してしまう。
スポンジボブは、昇進記念で祝うためにパトリックと「グーフィー・グーバー」と呼ばれる子供向けアイスクリームバーで号泣していたが、パトリックとともに酔いつぶれするまでサンデーを大食いした末に朝に店から追い出される。そのころカニカー二2に王冠を盗んだことの証拠を偽装したプランクトンのせいでカー二が王冠を盗んだと勘違いしたネプチューン王とミンディが訪問するが、プランクトンがカニカー二に掛けた留守番電話が証拠になり、やって来たスポンジボブがカー二を侮辱したためネプチューン王はカー二を氷漬けにし、6日以内にスポンジボブとパトリックにシェルシティに向かって王冠を取り返すように要求する。スポンジボブとパトリックはカニカー二の地下にあるバーガーカーに乗ってビキニタウンを脱走する。しかし、最初にガソリンスタンドにいた二人組に煽られ、その後はバーガーカーを盗まれたためギャングの貯まり場からバーガーカーを起動するため、シャボン玉で遊びだしたことがギャングにばれたものの二人はフライ返しを取り返す。一方で、プランクトンはすでに入手した「カニカー二の秘密のレシピ」を悪用してエサバケツ亭で大量のカーニバーガーを販売し、訪れた客に洗脳用のヘルメットらしきものを配り始め、ビキニタウンごと支配しようとする。さらにスポンジボブとパトリックを追い詰めるためにギャングの「デニス」を雇う。
バーガーカーを取り返したスポンジボブ・パトリックは老婆がいるアイス売り場に向かうものの、囮であったためアンコウの怪物に追われ、最終的にバーガーカーを失ってしまったが、その先の進路は急激な高低差があり、危険な深海地帯を通らないといけないことが判明したため、二人は大人ではないことに気づいて、諦めて帰ろうとするが、そこでビキニタウンの危機を伝え、帰らせないようにするためミンディがやって来る。ミンディは二人が大人になったかのように勘違いさせるため、「魔法」と称して二人に海藻のひげを付けさせ、二人を深海に通行させる。深海を抜けるとシェルシティが目の前にあるほどの浅瀬に到達したが、そのタイミングでデニスが二人に追い付いてしまうものの、やってきた実写人間のサイクロプスに二人だけが攫われてしまう。二人が目が覚める時、シェルシティでは王冠と干からびた魚の実写が展示されている販売店であったことが判明し、照明でスポンジボブとパトリックは蒸発されて元のスポンジとヒトデに戻ってしまうが、残した涙の水滴がシェルシティの建物のスプリンクラーを作動させたことで干からびた魚が全て復活してしまい、サイクロプスは倒されてしまう。
この時点で6日が経過していたため、ネプチューン王はカー二を処刑しようとするが、ミンディが処刑を遅らせようとする。シェルシティから王冠を取り返してビキニタウンに帰ろうとする二人であったが、帰る時に必要な袋を不発させ、帰還する手段がなくなってしまうものの、突然やって来たデイビッド・ハッセルホフが二人を背中に乗せてビキニタウンの真上(オープニングの小島が存在する場所)まで泳ごうとするものの、ハッセルホフに追い付いたデニスが再び二人を追い詰めようとするが、別のボートに気づかず落下してしまう。二人がカニカー二に突入してカー二の処刑を回避するものの、プランクトンは最終手段としてネプチューン王の真上にヘルメットを落下させてミンディと二人以外をすべて敵に回すことに成功する。しかし、スポンジボブは自身が子供でも大人でもなく、グーフィー・グーバーになったと言い出して突然衣装が変わり、ロックを演奏し始め、ギターから発射した光線で全てのヘルメットを破壊する。最終的にプランクトンは群衆に踏みつぶされた末に逮捕され、カー二は元に戻され、イカルドがマネージャーのタグをスポンジボブに渡したことで完結する。
概要
内容について、他にもサンディ、ラリー、パフ先生、パール、ゲイリーなどTVシリーズに登場した人物も出ているが、出番は少なめであり、おまけ出演として担当声優が一言だけ台詞を担当する程度である。この映画そのものはニコロデオンの長編劇場版で初めて2Dアニメーションに採用されたフルHDデジタルフォーマット(1080p)であるが、実写パートは全てフィルム撮影であり、DCPではない。
日本語版ではTVシリーズと一部声優が異なり、パトリック役は長嶝高士、プランクトン役はチョーが担当している。なお、TVシリーズでパトリック役とプランクトンを演じている谷育子と松浦チエも引き続き、谷はパール、パフ先生、カレンを松浦はサンディ役でこの作品に出演している。
登場人物
本作ではキーワードとして「グーフィー・グーバー」という単語が何度も登場し、その語源となる作中の店舗は後の本編のシーズン11以降にしばしば登場している。
主要人物
- スポンジ・ボブ
- 本作の主人公。
- パトリック
- スポンジ・ボブの親友。今作や次作の映画では、もう一人の主人公となっている。
- イカルド
- スポンジ・ボブとパトリックのお隣さん(またはスポンジ・ボブの仕事仲間)。
- カーニ
- カニカーニのオーナーのカニ。
- サンディ
- スポンジ・ボブの友達(または空手仲間)。今作では出番が少なめであるが、次作の映画ではヒロイン的なポジションである。
- プランクトン
- カーニとはライバルであり、今作ではネプチューン王の王冠を盗んでいる。
- ゲイリー
- スポンジ・ボブのおとなしいペット。今作ではプランクトンに操られている。
- パフ先生
- スポンジ・ボブが通うボート教習所の先生。今作では出番が少なく、時々プランクトンに操られているシーンが見られる。
仲間
- ネプチューン王
- TVシリーズの各エピソードにも彼と同じ名前も登場しているが、性格と容姿が全く異なる。今作では、プランクトンに王冠を盗まれ、それをカーニだと疑った。スポンジ・ボブに「6日以内に王冠を取り戻せ」と命じ、カーニを三叉槍のビームで冷凍にしてしまう。罪人にたいしてすぐに死刑を言い渡している。なお頭に毛がないのは、本人いわく「ハゲではなく艶やか」とのことである。今作では天狗のような鼻をしている王様である。髪型と眉毛と髭もTVシリーズと全く異なる。武器は10000度の炎や冷凍ビームを発射する大きな三叉槍である(TVシリーズでは小型の三叉槍で、今作と同じようにすることはなかった)。その三叉槍は特集攻撃のものであり、最後はカーニを擬人化した男の子の姿にするシーンがある。
- ミンディ姫
- ネプチューン王の娘で、本人いわく「未来の女王」。
敵
- フロイドとロイド
- ガソリンスタンドの店員である2人組。特にスポンジ・ボブとパトリックのことを子供扱いにする。
- 酒場の魚たち
- 獰猛なサメやエビなど。青い自体で眼帯をつけているのがリーダー。「シャボンで遊ぶガキ共は魚の大人たちにボコボコに打ちのめされるべし」という掟がある。声優は斉藤志郎、松野太紀、長嶝高士、納谷六朗、奥田啓人、辻親八などが担当している。
- 殺し屋デニス
- プランクトンに雇われた殺し屋。デヴィッド・ハッセルホフの背中の上でスポンジ・ボブと対戦するが、敗北した。
- フラッグフィッシュ
- シェルシティにあるアイスクリーム屋の女性。接触した後は化けてしまう。
- サイクロプス
- スポンジ・ボブとパトリックの敵である殺し屋デニスを踏み潰してくれる謎の巨人であるが、スポンジ・ボブとパトリックを焼き殺してしまう。
その他
- フィル
- スポンジ・ボブの夢の中に登場。チーズ・バーガーを頼んだとき、チーズが入っていなかった。彼の個人情報は、「二児の父」、「長男」など。シリーズでは彼に似た魚も登場しているが、別人である。
- グーフィー・グーバー・ウェイター
- 声:奥田啓人
- 落花生(ピーナッツ)の顔をした店員。
- シェルシティのモンスターたち
- スポンジ・ボブたちと一緒に「僕らは大人」という歌を歌うモンスター。
- 干物
- シェルシティの売り場にある水産物の照明器具。最初は即死した状態で干されているが、スポンジ・ボブとパトリックの涙でコンセントのプラグが感電し、感電した後は煙のような湯気が上昇し、無数のシャワーを浴びてスポンジ・ボブとパトリックが生き返り、即死した水産物もみんな生き返った。そして敵であるサイクロプスを叩きのめした(ラッパとギターとヴァイオリンを持った演奏係である魚は攻撃をせず、演奏を流しているだけだった)。パトリックに似た海星も登場している。
- デヴィッド・ハッセルホフ
- ドラマ式な実写の人間。
キャスト
括弧内は、日本語吹き替え。
スタッフ
- 原案 / 監督:ステファン・ヒーレンバーグ
- 脚本:ステファン・ヒーレンバーグ / デレク・ドライモン / ティム・ヒル / ケント・オズボーン / アーロン・スプリンガー / ポール・ティビット
- 音楽:グレゴール・ナーホルス
- 撮影:イェジー・ジェリンスキ
- 編集:リン・ホブソン
- 字幕翻訳:桑原あつし
- 吹替翻訳:石田淳子
- 吹替演出:三好慶一郎
- プロデューサー:ステファン・ヒーレンバーグ / ジュリア・ピスター / デレク・ドライモン / アルビー・ヘクト / ジーナ・フェイ
- アニメーション監督:アラン・スマート
- 製作:ニコロデオン・ムービーズ / ユナイテッド・プランクトン・ピクチャーズ / バイアコム・インターナショナル
脚注
出典
外部リンク