ディプロドクス (学名 :genus Diplodocus )は、約1億5,400万- 約1億5,200万年前(キンメリッジアン 後期)の北アメリカ大陸 に生息していた大型草食性 恐竜 の一種(1属 )。竜盤目 - 竜脚形亜目 - 竜脚下目 - ディプロドクス科 - ディプロドクス亜科 (Diplodocinae) に分類される、同科の模式属 である。ほぼ完全な骨格が見つかっているものの中では最長[ 1] 。
呼称
D. carnegii の全身骨格標本 (ドイツ、ベルリンのフンボルト博物館 )
D. carnegii の全身骨格標本 (イギリスのロンドン自然史博物館 ・中央ホールにて展示)
属名 (ラテン語 )は「二重の梁 を持つもの」を意味し、脊椎骨 の形状に由来する。
これを受けて漢字 では、日本語 で「梁竜 (りょうりゅう)」、中国語 で「梁龍(リャンロン)」と記す。
古生物学
形態・生態
全長約20 - 33m 。アパトサウルス など他の竜脚類 と比べると華奢で、体重は比較的軽く、10 - 20t 程度と見られる。
最大の特徴は、細めの体と長大な尾である。この尾は、強靭な筋肉によって鞭 のように振るなど主に自衛のために使われたと考えられる(全力で打ち振るわれた尾の先端部は、鞭がそうであるように、音速 を超えたという説もある[ 2] )。巨大な植物食動物 で、足跡の化石などから他の竜脚類と同様に群れを成して生活していたと考えられている。水源に行きやすく、植物が豊富な沼地の近くに生息していた。成体になると天敵はいなかったが、幼体の間はケラトサウルス やアロサウルス の狩りの標的になっていた可能性がある[ 3] [信頼性要検証 ] 。
頭蓋骨 は高さが比較的無く、前後に長い。口の前半に鉛筆 のようなまっすぐな歯 が生えていた。他の竜脚類ではスプーン 状の歯を持つものが多く、この形は本属も含むディプロドクス科 に固有の特徴である。より進化したティタノサウルス科 (cf. en ) もこの形に近い頭蓋骨と歯を持つため、一時期ディプロドクス科と近縁と考えられたが、初期の種の特徴からむしろブラキオサウルス に近いことが分かり、収斂進化 の結果と見なされることとなった。この独特の歯で樹木の葉を櫛 (くし)で漉(す)き取るように食べていたと推測される。ちなみにディプロドクスは鼻孔の形状などから、現生のゾウ やバク のような筋肉質な鼻 を持っていた可能性が指摘されており、そうであれば歯と合わせて採食に用いられたかもしれないが、推定される顔面神経 の小ささからこれを疑う研究もある[ 4] 。他の竜脚類と同様、噛まずに呑み込まれた葉は筋肉質の胃袋の中で胃石 とともにすり潰されて消化 されたようで、化石の腹部から磨耗して丸くなった石が多数発見されている。
分類
下位分類
下位分類は、現在(2010年代 初頭)4種 が有効種として知られている。最初に発見された種は Diplodocus longus (ディプロドクス・ロングス)であるが、最も有名なのは、アメリカ の実業家アンドリュー・カーネギー の援助下で発見された Diplodocus carnegii (ディプロドクス・カルネギイイ)である。また、2004年 、Seismosaurus hallorum (セイスモサウルス ・ハロルム)と呼ばれてきた標本がディプロドクス属の1種であることが判明し、Diplodocus hallorum (ディプロドクス・ハロルム)の名でもって再分類された。
下記の内容は左から順に、学名 、仮名 転写 (ラテン語読み準拠と言語的揺らぎによる別の読み)、特記事項。
略号の意味は、la=ラテン語による別音、en=英語に見られる発音。jc=日本語による別言語風の混合読み。
ディプロドクス・カルネギイイ(jc: カルネギイ / en: ダイプロダカス・カーネギーアイ、ディプロゥドゥーカス・カーネギーアイ) :ときに Diplodocus carnegiei と記されることがある(ディプロドクス・カルネギエイと読まれる)。
ディプロドクス・ハッロルム(la: ハルロルム、アッロルム、アルロルム / jc: ハロルム) :シノニム に Seismosaurus hallorum Gillette , 1994 (セイスモサウルス ・ハロルム)あり。
ディプロドクス・ハュイ(la: アュイ / jc: ハイ / en: ダイプロダカス・ヘイアイ、ディプロゥドゥーカス・ヘイアイ)
ディプロドクス・ロングス(en: ダイプロダカス・ロンガズ、ディプロゥドゥーカス・ロンガス) :模式種 。
D. longus の生態復元想像図
D. carnegii の生態復元想像図
D. hallorum (ディプロドクス・ハロルム[
シノニム :セイスモサウルス・ハロルム])の生態復元想像図
上位分類
ディプロドクス属 は、バロサウルス 属とともにディプロドクス亜科 (subfamilia Diplodocinae ) を形成する。これにスーパーサウルス 属を加える説もあるが、アパトサウルス亜科分類説と並立している。ディプロドクス亜科は、アパトサウルス 属に代表されるアパトサウルス亜科、および、亜科未定の属とともにディプロドクス科 (familia Diplodocidae ) を形成する。ディプロドクス科は、ディクラエオサウルス科 (familia Dicraeosauridae ) などとともに "whip-tails" として束ねる概念があり、"whip-tails" は、レバッキサウルス類などとともにディプロドクス上科 (superfamilia Diplodocoidea ) を形成する。以上、2010年代 初頭の知見。なお、? は異説あって不特定の意。
† 新竜脚類 Neosauropoda
脚注
注釈
出典
関連項目
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