トリミング (映画映像の用語)映画におけるトリミングとは、ワイドスクリーン等で製作された映画の画面アスペクト比やフレーミングを変更加工する事の総称。 解説テレビ創成期に画面比率が、当時主流の映画のアスペクト比 (スタンダード。比率が1.33:1(4:3)又は1.375:1(4.135:3))に合わせた比率で企画され、これがテレビの世界標準サイズとなった。その後映画がテレビに対抗するため画面比率の大きなシネマスコープやビスタビジョン、シネラマなどのワイドスクリーンを次々に開発、テレビとの差異をつけていった。 しかしこれらのワイドスクリーンの映画をテレビ放映する際には画面比率が合致しないため、テレビ画面に収まるように全体を縮小しレターボックスを付加して放送するか、或いは左右を切り取り(トリミング)して4:3になるように加工したものを放送するようになった。 近年、シネマスコープサイズ映画・スタンダードサイズ映画をテレビ放映する際には画面比率が合致しないため、テレビ画面に収まるように左右・上下を切り取り(トリミング)して16:9になるように加工したものを放送する場合がある。 ヒッチコック作品はビスタビジョン上映された作品も、本来はスタンダードサイズで撮影されており、4:3画角テレビ時代には撮影サイズで放送されていたが、16:9画角テレビ時代になってからは劇場公開サイズの放送となっている。 ビデオソフトの黎明期に入ると作品をテレビ放送に準拠し、画面サイズを4:3に加工したものが発売されるようになる。1990年代後半になるとレーザーディスクの普及に伴い、トリミングをせずに全体を縮小し元のサイズに近い形で発売することが徐々に主流となっていった。更にDVDが登場するとスクイーズ収録で発売される作品も続出し、ワイドスクリーンの映画をトリミングして発売するソフトは減少傾向にある。 映像ソフトの主流といえるBD/DVDはほぼ元のサイズに近い形で収録されているが、アナログ時代の地上波放送に関してはトリミングを行い、画面サイズをスタンダードに加工して放送することが主流であった。当時はシネマスコープの作品をスタンダードにまでトリミングすると情報が大きく欠落してしまう事から、トリミング量を最小限に留めた16:9で放送/ビデオソフトを発売する方法も採られた。 逆に「当初スタンダードで製作された作品がビスタで発売される」というトリミング加工が見られる。上下を切るため「上下トリミング」と呼ばれる手法である。このように加工された場合を貧乏ビスタと呼称する場合もある。 トリミングの功罪ワイドスクリーンサイズの映画はトリミングすることで、スタンダードやビスタの画面に収まるようになるが、映画は基本的に監督の意図や意向によってスクリーンサイズが定められ、それに見合った構図で設計されている。TV放送やソフト化時にトリミングを行うと、監督の意図した構図が崩れてしまうため、古くから批判の声が挙がっていた。後年になると監督がTV放送/ソフト化用のトリミング作業も手がける作品も登場した。 映像編集ソフトでのトリミング映像編集ソフトにおけるトリミングは、範囲指定した映像の抽出機能を指す為この記事での意味とは異なる。この記事でのトリミング (範囲指定した画面の部分消去によるサイズの調整)に相当する機能は「クロップ」と呼称されている。 上下トリミングされた作品の例公開当時の画面サイズで見る事が困難になっている作品もある。
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