ハイノサウルス(学名:Hainosaurus)は後期白亜紀のウミトカゲの属のひとつ。最大級のウミトカゲのひとつだが、その推定全長は何度か計算がやり直されてきた。最初は約17メートルと推定され史上最大のウミトカゲであると言われたが[1]、1990年代には15メートル[2]、2005年には Johan Lindgren による推定で12.2メートル以上とされた[3]。当時の海の頂点捕食者であり、他の大型ウミトカゲと同様にウミガメ、首長竜、翼竜、頭足類、サメ、硬骨魚類、より小さなウミトカゲなどを捕食していた。化石はヨーロッパから産出しているが、アジアからもそれらしきものが報告されている。属名は最初に化石が見つかったベルギーのエノー州にちなむ。
H. pembinensis の化石はカナダマニトバ州の後期白亜紀 Pierre 頁岩で1988年に発見された。本種は尾の前方に夥しい数の椎骨を持つこと、上腕骨に対する大腿骨の比率が大きいこと、外鼻孔が大きいことからティロサウルスと区別された。しかし、2008年の研究で本種には問題があると結論付けられ、T. pembinensis としてティロサウルス属に再分類された[4]。同様に、2007年にマーティンが記載した Hainosaurus neumilleri はティロサウルス属の疑問名とされた[5]。
分類
ハイノサウルスはティロサウルス亜科の属であり、当時の北アメリカに分布していたティロサウルスに近縁である。しかし脊椎骨はティロサウルスの35個に対してハイノサウルスは53個存在しており、ティロサウルスよりも18個多い。腰椎はティロサウルスのそれよりも短い。模式種はハイノサウルス・ベルナルディ H. bernardiで、ベルギーの石灰燐の権威で本種の発見者であるレオポルド・ベルナルド Léopold Bernard への献名である[6]。
^Russell, D. A. 1967. Systematics and morphology of American mosasaurs (Reptilia, Sauria). Yale Univ. Bull 23:241. pp.
^Lingham-Soliar, T. 1998. Unusual death of a Cretaceous giant. Lethaia 31:308–310.
^Johan Lindgren (2005) The first record of Hainosaurus (Reptilia: Mosasauridae) from Sweden. Journal of Paleontology: Vol. 79, No. 6, pp. 1157–1165
^Bullard, T. S.; Caldwell, M. W. (2008). “Redescription and rediagnosis of the tylosaurine mosasaur Hainosaurus pembinensis Nicholls, 1988, as Tylosaurus pembinensis (Nicholls, 1988)”. Journal of Vertebrate Paleontology (2): 416–426. doi:10.1080/02724631003621870.
^PA Jiménez-Huidobro, 2016. Phylogenetic and Palaeobiogeographical Analysis of Tylosaurinae (Squamata: Mosasauroidea). University of Alberta, Ph.D dissertation.
^Dollo, L., 1891. La vie au sein des mers. Paris, Librairie J.B. Baillière et Fil
^Paulina Jimenez-huidobro and Michael W. Caldwell (2016). "Reassessment and reassignment of the early Maastrichtian mosasaur Hainosaurus bernardi Dollo, 1885, to Tylosaurus Marsh, 1872". Journal of Vertebrate Paleontology. Online edition: e1096275. doi:10.1080/02724634.2016.1096275.