1824年、Selskabet for Naturlærens Udbredelse (SNU) すなわち自然科学普及協会を創設。Danish Meteorological Institute やデンマーク特許庁などの組織の前身となった団体の創設にも関わった。また、思考実験という観念を明確に述べた最初の近代人でもある。
ランゲラン島のルードコービングに生まれた。父は薬局を営んでおり、父の仕事を手伝いながら科学への興味を育んだ[2]。教育そのものはほとんど独学であり、1796年にコペンハーゲンに行きコペンハーゲン大学の入学試験をうけ、卓越した成績で入学した。1796年には美学と物理学の論文が賞を受賞している。1799年、イマヌエル・カントの哲学を扱った論文 "The Architectonicks of Natural Metaphysics" で博士号を取得した。
また、彼の肖像はデンマークの旧100クローネ紙幣に描かれていた(1950年から1970年まで)。コペンハーゲン大学にはエルステッドの名を冠した建物がある。1999年に打ち上げられたデンマーク初の人工衛星はエルステッドと名付けられた。エルステッドの名を冠した賞は2つある。1つはアメリカ合衆国の物理教師協会が物理教育に貢献した者を表彰するエルステッド・メダルで、もう1つはエルステッド自身が創設した Selskabet for Naturlærens Udbredelse(自然科学普及協会)がデンマークの科学者を表彰する H. C. Ørsted Medal である。
著作
エルステッドは詩人でもあり、詩集を出版している。Luftskibet ("The Airship") と題した詩集は、同僚の物理学者の気球実験とマジシャン エティエンヌ=ガスパール・ロベール に着想を得て書かれたものである[8]。死の直前、エルステッドは "The Soul of Nature" と題してそれまでの論文をまとめた本の出版を準備していた。この本はエルステッドの哲学や様々な問題についての見方を示したものとなっている[9]。
脚注・出典
^Brian, R.M. & Cohen, R.S. (2007). Hans Christian Ørsted and the Romantic Legacy in Science, Boston Studies in the Philosophy of Science, Vol. 241.
^Hans Christian Ørsted (1997). Karen Jelved, Andrew D. Jackson, and Ole Knudsen, translators from Danish to English. Selected Scientific Works of Hans Christian Ørsted, ISBN 0-691-04334-5, pp.421-445