ビュイック
ビュイック(英: Buick)はアメリカ合衆国の自動車メーカー、ゼネラルモーターズ(GM)が製造・販売する乗用車のブランドのひとつである。 概要2019年現在、現役の自動車ブランドとしてはメルセデス・ベンツ、プジョー、ルノー、フィアット等に次いで世界でも古参に数えられるブランドである。現在はアメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、中国、イスラエル、台湾で販売されている。 GMのブランド群の中では大衆車ブランドのシボレーより上級の中級車ブランドに位置づけられ、主に中大型の乗用車を扱う。ライトトラック(ピックアップトラック・SUV)中心のGMCや、比較的安価な乗用車を中心とするポンティアックやオールズモビル(2つとともにブランド廃止)とは販売網が統合されており、それによってラインアップの相互補完がなされている。 ビュイックは2020年代にSUVのみを扱うブランドとなる予定である[1]。 歴史設立ビュイックの起源は1903年まで遡る。イギリス系アメリカ人、デイヴィッド・ダンバー・ビュイックによってミシガン州フリントに設立された「ビュイック・モーター社」がその前身となっており、同社はOHVエンジンの開発によって売上を順当に伸ばしていたが、翌1904年にジェームズ・ホワイティングによって買収される。 ジェームズは同社の管理を新たに招聘したウィリアム・C・デュラントに委ね、デイヴィッド・ビュイック自身は保持していた同社の株を破格の値で譲渡して同社の経営より離れる。ウイリアム・デュラントは優れた経営手腕を持っており、販売網とサービスを強化したためビュイックは数年のうちにたちまち全米でも有名な自動車メーカーとなった。 GM傘下に同社は後にオールズモビル、キャデラックと共にゼネラル・モーターズ・カンパニーを組織し、ウィリアム・デュラントによってビュイックはGM内においてキャディラックに次ぐハイ-ミドルレンジの自動車を供給する位置付けと定められた。 1929年には、前年にキャデラックが廉価版の「ラ・サール」ブランドを展開したことを受けて、ビュイックの販売部門はビュイック・ブランドとGM内でミドルレンジを担っていたオールズ・モビルとの間に存在した価格帯を埋める位置付けで「マルケット」ブランドを開始する。しかしその目論見は失敗し、単年度の展開を以て終了する。 高い人気この頃より日本などへその販路を広げ、アメリカを代表する大型高級車として親しまれた。また、その後は第二次世界大戦と戦後の好景気を経て、アメリカの保守的なアッパーミドル層向けの上品なハイ-ミドルレンジ高級車としての位置を保ち、フォードのマーキュリーなどを主なライバルに、「ルセーバー」や「リビエラ」、「センチュリー」や「パークアベニュー」などの主要車種がアメリカ内外で高い人気を維持し続けていた。 2000年以降その後はGMのブランド展開の方針変更により日本や欧州・オセアニア市場から撤退し、それ以外の国々では現在に至るまで堅調な販売を続けている。調査会社による顧客満足度調査ではいつも上位にいる。しかし、保守的なマーケティング手法が飽きられ、オーナーの平均年齢層が高くなってきたことや、日本車やドイツ車、韓国車などの輸入車に人気を奪われたためにアメリカ本国での販売は芳しくなくなっている。 そのためしばしばブランド展開の終了がささやかれることもあり、2004年にGMがオールズモビルを終了した時にはその話題は現実味を帯びた。しかしゼータプラットフォーム搭載モデルを継続してリリースしていることもあり、今後暫くは継続していくものと思われる。 一方でビュイックは拡大を続ける中国市場で大きく成長を続けており、2006年には304,000台を販売し、本国アメリカの241,000台を大きく上回って、同ブランド最大の市場となった。[2] 2010年には13年ぶりにメキシコ市場への再参入を果たし、廃止が決まったポンティアックに代わって既存のポンティアック-GMCディーラー網で販売が行われる。 ラインナップの変遷オールズモビルを吸収した2004年以降、ビュイックはラインナップの整理を進め、センチュリーとリーガルをラクロスに、ルセーバーとパークアベニューをルサーンにそれぞれ統合した。また、ミニバンのテラーザ、およびSUVのランデヴー、レイニアは打ち切られ、3列シートのクロスオーバーSUVであるアンクレイブに置き換えられた。これにより北米ではポンティアックとディーラー網が共通とはいえ、ラインナップが大型のモデルに偏ることになった。 しかしポンティアックのブランド廃止によって、ビュイックに中小型車を投入する方針に転換され、まず2010年にはリーガルがオペル・インシグニアベースの中型セダンとして復活した(中華人民共和国では2008年から投入済)。また、小型セダンのベラーノが2012年モデルとして投入される予定である[3]。 現行車種一覧北米市場中国市場
旧来車種一覧
コンセプトカー
日本におけるビュイック第一次世界大戦後の1920年代頃より梁瀨商會(ヤナセ)により「ビウイク」のブランド名で日本市場に導入され[5]、GMにおけるキャデラックに次ぐ高級車として華族などの上流階級を中心に親しまれたほか、1930年代には官公庁における公用車としても盛んに用いられた。 第二次世界大戦後の吉田茂の自由民主党総裁専用車もビュイックであった他、連合国軍の将兵の多くも公用車や自家用車として使用していた。 かつて日本ではヤナセなどが正規輸入販売していたが[1]、GMのブランド展開の方針変更により1996年に日本市場から撤退した。現在は一部の輸入販売業者が並行輸入している。なお、ヤナセが創業時に販売を始めたのはビュイックとキャデラックからだった。 画像
関連項目参照
外部リンクInformation related to ビュイック |