アストゥリアス地方でのインゲン豆の消費の歴史は16世紀にさかのぼり、その地で栽培がおこなわれ、食されてきたことが知られている。ファバーダに使用される種類はde la Granja(デ・ラ・グランハ)と呼ばれ、表面が滑らかで、脂肪分も多く、この料理に適しており、アストゥリアスではおよそ2,500ヘクタールの土地でこのファバ・デ・ラ・グランハ(faba de la granja)が栽培されている。調理法はもともとはシンプルなものであった。研究家によると、記録には残されてはいないが、ファバーダは18世紀には誕生していたという。また、食材であるインゲンマメは農村部でよくみられるものであるが、ファバーダの誕生は都市部においてでだとされる。ただし、このことについて言及したものはない。たとえば、アストゥリアス地方の風俗習慣について網羅的に記しているレオポルド・アラス”クラリン”(Leopoldo Alas «Clarín»)の小説"La Regenta"でも一切触れられていない。また、ファバーダがフランスのラングドック地方のカスレによく似ていることから、中世にサンティアゴ巡礼路によって伝えられたのではと考える作家たちもいる。