ファールス州
ファールス州(ファールスしゅう、ペルシア語: استان فارس Ostān-e Fārs)はイランの州(オスターン)。州都はシーラーズ。面積は122,400km²。ペルシア人の故地であり、2016年現在、人口は4,851,274人[1]。 名称ファールスという州名は、古代にはペルセポリスおよびその支配地域をパールサ(古代ペルシア語: 𐎱𐎠𐎼𐎿 Pârsa)と表していたものが、中世にはパールス(中世ペルシア語: پارس Pārs)となり、それがアラビア語形ではpの発音がfになってファールス(ペルシア語: فارس Fārs)となったことに由来している。 ペルシアという語は、古代のパールサ(古代ペルシア語: 𐎱𐎠𐎼𐎿 Pârsa)がギリシャ人・マケドニア人からペルスィス(古代ギリシア語: Πέρσις Persis)と呼ばれ、これを古代ローマ人からはペルシア(ラテン語: Persiae)と呼ばれたことに由来している。 この州はファルシスタンとしても知られる[2]。 歴史と文化前イスラーム期、キュロス2世がハカーマニシュ朝(アカイメネス朝)、アルダシール1世がサーサーン朝という大帝国を、この地から勃興して築いた。後にはアレクサンドロス3世(大王)が多くの都市を建設している。 ファールスの地は多くの王朝の興亡を見守り、数多くの歴史、ことに古代史をしのぶよすがをとどめることになった。すべてファールス州、イラン、そして西アジアの歴史の残映であり、ビーシャープール、ペルセポリス、フィールーザーバードなどは、高い歴史的価値を持つ。 このようにファールスはその地理的特性、ペルシア湾への近接により、古くから外来のテュルク系、セム系、アーリア系の諸民族が流入し、イラン文化の影響のもと、生活を送ることになった。しかし一方でファールス土着のカシュガーイーやママッサーニー、ハムゼ、コフギールーイェ(کهگیلویه、コフギールーイェ・ブーイェル=アフマド州を参照)などの諸部族も、伝統的文化・生活の独自性を維持しイラン文化遺産の一部をなしている。 地理ファールス州は、北西から南東に走るザーグロス山脈によって、北部および北西部と、南部および南東部に二分される。双方とも山がちの高地である。 気候ファールス州は、気候的には三地域に分類できる。第一は北部および北西部の山岳地帯で、夏の暑さ、冬の寒さともに比較的穏やかである。第二は中央部で降水のある穏やかな冬と、暑く乾燥した夏を過ごす。第三は南部および南東部で冬は穏やかだが、夏は厳しい暑さに見舞われる。シーラーズの年間平均気温は16.8度、最低気温は4.7度、最高気温は29.2度である。 行政区分現在ファールス州が管下に擁する郡(シャフレスターン)は37郡である。
今日のファールス州シーラーズ国際空港は州内唯一の国際空港である。ラールおよびラマルドにもシーラーズ、テフラーンと連絡する空港がある。シーラーズはテフラーンから南部イランへの入り口である。 農業はファールス州のもっとも重要な産業である。主な農産品は穀物(大麦、小麦)、柑橘類、ナツメヤシ、ビート、棉花である。 ファールスには主要石油化学コンビナート、精油所、タイヤ工場、電機工場、製糖工場がある。 シーラーズには熟練の手工業、延銀、マルケット、刺繍などがあり、アーバーデフにはギーベ織、エステフバーンの陶器、絨毯、ジャズィーム(ウールや綿の絨毯)、フィールーザーバードのゲリーム(山羊毛の絨毯)がある。またほかにも諸部族の絨毯や、フィールーザーバードのバラ水、ファサーの菓子、シーラーズのライム・ジュース、植物精油などいわゆる名産品も豊富。シーラーズはイランのアイスクリームの一つ、「ファルーデ」でも有名。 また観光も大きな産業の一つである。 ユネスコはアールジャーン(ダシュテ・アールジャーン)に生態保護区を設定している。 高等教育機関
脚注
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