『ポートレイツ・オブ・ボブ・ディラン』(Portraits of Bob Dylan)は、イギリスのギタリスト、スティーヴ・ハウが1999年に発表したアルバム。ボブ・ディランの作品を取り上げたトリビュート・アルバムである[2]。
背景
ハウ自身は、アルバム『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』をリアルタイムで聴いて以来、長年にわたりディランのファンであった[3]。本作の制作は、自分の楽しみとして「ハッティ・キャロルの寂しい死(英語版)」のカヴァーを録音したことがきっかけで、当初は仰々しいアレンジだったが、ハウはマーティン・シンプソン(英語版)のコンサートで同曲がカヴァーされていたのを聴いて感銘を受け、それに比べると自分のアレンジは今一つだと考え、スパニッシュ・ギターを中心としたアレンジに変えたという[3]。
P.P.アーノルドがゲスト参加した「ウェル・ウェル・ウェル」は、ディラン側から提供された新曲で[3]、ディランが1985年に作った未完成の曲を原型として、12年後にダニー・オキーフ(英語版)が歌詞を提供し完成に至った曲である[4]。なお、作詞者のオキーフは、2000年のアルバム『Running from the Devil』で同曲を取り上げている[4]。
評価
Stewart Masonはオールミュージックにおいて5点満点中2点を付け「ハウ自身は才能豊かで、時に大仰な演奏もするギタリストだが、ディランのシンプルなメロディは、仰々しいギターの練習曲に向いていない」「十分に楽しく、ハウが明らかに敬愛しているヒーローの手真似としては面白いが、ディランとハウのいずれのファンにとっても必聴とは言えない」と評している[2]。また、『CDジャーナル』のミニ・レビューでは「実に伸び伸びとディランの作品をプレイしている。彼の新しい一面を発見」と評されている[1]。
収録曲
特記なき楽曲はボブ・ディラン作。
- ローランドの悲しい目の乙女(英語版) - "Sad Eyed Lady of the Lowlands" - 12:02
- ママ、ユーヴ・ビーン・オン・マイ・マインド - "Mama, You've Been on My Mind" - 2:36
- イッツ・オール・オーヴァー・ナウ、ベイビー・ブルー - "It's All Over Now, Baby Blue" - 4:35
- ゴーイング・ゴーイング・ゴーン - "Going, Going, Gone" - 3:55
- 女の如く - "Just Like a Woman" - 4:38
- ウェル・ウェル・ウェル - "Well, Well, Well" (Bob Dylan, Danny O'Keefe) - 4:08
- ハッティ・キャロルの寂しい死(英語版) - "The Lonesome Death of Hattie Carroll" - 6:11
- レイ・レディ・レイ - "Lay Lady Lay" - 3:46
- いつもの朝 - "One Too Many Mornings" - 3:33
- アイ・ドント・ビリーヴ・ユー - "I Don't Believe You" - 4:18
- くよくよするなよ - "Don't Think Twice, It's All Right" - 4:04
- 雨のバケツ(英語版) - "Buckets of Rain" - 3:52
参加ミュージシャン
脚注