この項目では、SI接頭語について説明しています。メガ(Megger)と称する測定器具 については「絶縁抵抗計 」を、その他の用法については「Mega 」をご覧ください。
メガ (mega, 記号:M )は国際単位系 (SI) におけるSI接頭語 の一つで、以下のように、基礎となる単位の106 (=百万 )倍の量であることを示す。
例:
1メガワット (MW) = 1,000,000ワット (W)
1メガヘルツ (MHz) = 1,000,000ヘルツ (Hz)
概要
本来は「巨大な」を意味する接頭語で、ギリシャ語 で「大きい」(great) という意味の μέγας (megas ) に由来する。本来の意味での用例は、古典的な語ではメガホン 、メガリス 、また、大きな都市を表すメガポリス、メガシティ 、メガロポリス 、近年の例ではメガフロート 、メガマック などがある。
1874年 、英国科学振興協会 (BA) がCGS単位系 の電磁気の単位の標準化を行う際に、その一部としてマイクロ とともに新たに導入された。CGS単位系で電磁気の単位を組み立てると、その示す値が非常に小さくまたは大きくなるため、それまであった接頭語だけでは足りず、新たな接頭語を導入する必要があった。1960年 の第11回国際度量衡総会 (CGPM) でSIが制定される際、正式に承認された。
核兵器 の威力を示すのに使われる単位であるメガトン は、メガTNTトン 、つまり百万トン のTNT火薬 の爆発力に相当するエネルギーを表す。
SI接頭語
SI接頭語
接頭語
記号
10n
十進数表記
漢数字表記
short scale
メートル法 への導入年
国際単位系 における制定年
クエタ (quetta )
Q
10 30
1000 000 000 000 000 000 000 000 000 000
百穣
nonillion
-
2022年
ロナ (ronna )
R
10 27
1000 000 000 000 000 000 000 000 000
千𥝱
octillion
ヨタ (yotta )
Y
10 24
1000 000 000 000 000 000 000 000
一𥝱
septillion
1991年
ゼタ (zetta )
Z
10 21
1000 000 000 000 000 000 000
十垓
sextillion
エクサ (exa )
E
10 18
1000 000 000 000 000 000
百京
quintillion
1975年
ペタ (peta )
P
10 15
1000 000 000 000 000
千兆
quadrillion
テラ (tera )
T
10 12
1000 000 000 000
一兆
trillion
1960年
ギガ (giga )
G
10 9
1000 000 000
十億
billion
メガ (mega )
M
10 6
1000 000
百万
million
1874年
キロ (kilo )
k
10 3
1000
千
thousand
1795年
ヘクト (hecto )
h
10 2
100
百
hundred
デカ (deca )
da
10 1
10
十
ten
10 0
1
一
one
デシ (deci )
d
10 −1
0.1
一分
tenth
1795年
1960年
センチ (centi )
c
10 −2
0.01
一厘
hundredth
ミリ (milli )
m
10 −3
0.001
一毛
thousandth
マイクロ (micro )
μ
10 −6
0.000001
一微
millionth
1874年
ナノ (nano )
n
10 −9
0.000000 001
一塵
billionth
-
ピコ (pico )
p
10 −12
0.000000 000 001
一漠
trillionth
フェムト (femto )
f
10 −15
0.000000 000 000 001
一須臾
quadrillionth
1964年
アト (atto )
a
10 −18
0.000000 000 000 000 001
一刹那
quintillionth
ゼプト (zepto )
z
10 −21
0.000000 000 000 000 000 001
一清浄
sextillionth
1991年
ヨクト (yocto )
y
10 −24
0.000000 000 000 000 000 000 001
septillionth
ロント (ronto )
r
10 −27
0.000000 000 000 000 000 000 000 001
octillionth
2022年
クエクト (quecto )
q
10 −30
0.000000 000 000 000 000 000 000 000 001
nonillionth
情報工学の分野における使用法
情報工学の分野において、SI接頭語「メガ」は、国際単位系 (SI) の定めに従い1,000,000 (= 106 )倍 (= 1000(103 )キロ)を示す場合と、国際規格 などで定められていない俗習[ 1] として1,048,576 (= 220 )倍 (= 1024(210 )キビ)を表す場合[ 2] [ 3] [ 4] がある。
この曖昧さを回避するため、1,048,576 (= 220 )倍 を示す接頭語として、国際規格(IEC 80000-13 )にてSI接頭語と区別できる2進接頭辞 「メビ 」(mebi,記号:Mi)が定められているが、「メビバイト 」(mebibyte,記号:MiB)や「メビビット 」(mebibit,記号:Mibit,Mib)などの単位は、あまり用いられていない[ 2] [ 3] [ 4] 。
また、国際単位系 (SI) 第8版(2006年)にて、メガやその他のSI接頭語を決して2のべき乗 を表すために用いてはならない と定めている[ 5] が、大手IT企業であるマイクロソフト などが、未だ国際単位系 (SI) の定めに完全には従っておらず[ 2] [ 3] [ 4] 、2のべき乗を表す用法も混在する状況は解決されていない [ 6] 。なお、macOS では、Mac OS X Leopard 以前は2のべき乗(1024倍)が用いられていたが、2009年公開のMac OS X Snow Leopard 以降は10の整数乗(1000倍)を用いたストレージ容量やファイルサイズ表示に変更された。[ 7]
脚注
^ 情報工学の分野において、接頭語「メガ」を、国際単位系 (SI) の定めに従わず、俗習として1,048,576(220 )倍(= 1024(210 )キビ)を示す場合があるのは、コンピュータ が内部ですべての数値を2進数 に置き換えて処理していることと、1,024(210 )が概ね1,000(103 )であること、及び、代表的なOS (Microsoft Windows や過去のmacOS など)にて記憶媒体 の容量やファイルサイズ の換算に用いていることが主な理由である。
^ a b c Microsoft Windows や過去のmacOS では、コンピュータの記憶容量やファイルサイズについて、俗習に従い、1,024バイト を1キロバイト 、1,024キロバイトを1メガバイト と表している。(これらは国際規格 (IEC 80000-13 )に従う場合、1,024バイトを1キビバイト 、1,024キビバイトを1メビバイト と表すことができる。)
^ a b c 国家試験 である情報処理技術者試験 にて、「1Mバイト=1,000kバイト」として計算させる問題(基本情報技術者 平成28年春期 午前 問12など)と、「1Mバイト=1,024kバイト」として計算させる問題(基本情報技術者 平成25年秋期 午前 問11など)が出題されている。
^ a b c 各教科書のキロバイト - 高等学校 の教育課程 「情報の科学 」の教科書では、「キビバイト 」や「メビバイト 」など2進接頭辞 を用いた単位の説明をせず、「キロ」を1,024倍、「メガ」を1,048,576倍(= 1,024キビ)と説明するものが多い。
^ 国際単位系 (SI) 第8版(2006)日本語版(原書:国際度量衡局 日本語訳:産業技術総合研究所 計量標準総合センター) 3.SI 単位の10進の倍量及び分量 3.1 SI接頭語 p.33サイドノート 「これらのSI接頭語は10の整数乗を表す。それらを決して2のべき乗を表すために用いてはならない(例えば,1キロビットは1000ビットであり,1024ビットではない)。IEC 規格 60027-2:2005,第3版,電気用文字記号―第2部:電気通信及びエレクトロニクス(IEC 60027-2: 2005, third edition, Letter symbols to be used in electrical technology –Part 2: Telecommunications and electronics)では210 ,220 ,230 ,240 ,250 ,及び260 に対する接頭語がそれぞれ以下のように定義されている。
名称 / 記号
キビ (kibi) / Ki
メビ (mebi) / Mi
ギビ (gibi) / Gi
テビ (tebi) / Ti
ペビ (pebi) / Pi
エクスビ (exbi) / Ei
例えば,1キビバイト は1KiB = 210 B = 1024Bと書き表される。ここで,Bはバイトを表す。これらの接頭語はSIに属さないが,SI接頭語の誤用を避けるために,情報工学の分野では既に用いられている。」
^ パソコン で記憶媒体の詳細な空き容量を調べてみると、カタログスペックとして記載されている容量より、表示される容量のほうが少なくなることが多い。これは記憶媒体の容量を、メーカーが国際単位系 (SI) に従い10の整数乗で計算することが多いのに対し、主なパソコンのオペレーティングシステム (Microsoft Windows ・過去のmacOS )が俗習に従い2のべき乗で計算することに起因する。
^ “iOS および macOS でのストレージ容量の表示方法 ”. Apple Inc (2018年3月14日). 2022年10月3日 閲覧。
関連項目