Bubo bubo bubo
ワシミミズク (鷲木菟、Bubo bubo ) は、鳥綱フクロウ目フクロウ科ワシミミズク属に分類される鳥類 。ユーラシアンワシミミズクとも。
分布
極地圏と熱帯を除くユーラシア大陸 の大部分。
日本では迷鳥 として北海道 、三宅島 、五島列島 、奄美大島 で数回の記録があるだけとされていたが、その後の調査で北海道北部で数つがいが繁殖しているのが確認された。北方領土 の国後島 、択捉島 でも少数が留鳥 として生息する。
形態
全長58 - 71センチメートル[ 2] 。体長約72センチメートル。翼開長152 - 180センチメートル[ 2] 。体重オス1,500 - 1,800グラム、メス1,750 - 4,200グラム。特にメスは大きく、翼の開張180センチメートル、体重4キログラムに達するものもいる。羽色は赤みのある黄褐色かクリーム色で、全体に不規則な縞や斑がある。体色 は褐色。目の虹彩 は橙色で、くちばし は黒い。足指まで羽毛 がある。
分類
以下の分類は IOC World Bird List (v 10.1) に、和名は日本鳥類目録 改訂第7版に従う[ 3] [ 4] 。
Bubo bubo bubo (Linnaeus, 1758)
スカンジナビア半島 ・ロシア 西部からフランス にかけて
Bubo bubo borissowi Hesse, 1915 ワシミミズク
サハリン 、千島列島
Bubo bubo hemachalanus Hume, 1873
チベット 西部、ヒマラヤ 西部
Bubo bubo hispanus Rothschild & Hartert, 1910
イベリア半島
Bubo bubo interpositus Rothschild & Hartert, 1910
ウクライナ 南部・ブルガリア ・ルーマニア からトルコ にかけて
Bubo bubo jakutensis Buturlin, 1908
シベリア 中北部からシベリア北東部
Bubo bubo kiautschensis Reichenow, 1903 タイリクワシミミズク
中華人民共和国 東部、朝鮮半島 。奄美大島 、三宅島 、五島列島 に飛来した例がある[ 4] 。
Bubo bubo nikolskii Zarudny, 1905
イラク 東部からパキスタン 西部にかけて
Bubo bubo omissus Dementiev, 1933
イラン北東部からトルクメニスタン ・中華人民共和国西部にかけて
Bubo bubo ruthenus Buturlin & Zhitkov, 1906
ヨーロッパロシア 中部・南部および東部
Bubo bubo sibiricus (Gloger, 1833)
ウラル山脈 からシベリア西部および南西部
Bubo bubo tarimensis Buturlin, 1928
中華人民共和国西部(タリム盆地 東部)、モンゴル 南部
Bubo bubo tibetanus Bianchi, 1906
チベット高原
B. b. hemachalanus のシノニム とする説もある。
Bubo bubo turcomanus (Eversmann, 1835)
カザフスタン から中華人民共和国西部・モンゴル西部
Bubo bubo ussuriensis Poliakov, 1915
モンゴル東部・シベリア南東部から中華人民共和国北東部・シベリア東部にかけて
Bubo bubo yenisseensis Buturlin, 1911
モンゴル北部、シベリア中部
生態
捕食のために飛翔するワシミミズク
人里離れた大森林、岩場、荒れ地に留鳥として住み、1年中テリトリーを持っている。
日中には樹木の枝や岸壁にとまって休んでいるが、夜になると猛禽類 の本領を発揮する。獲物が通るのをじっと待ち、見つけるやいなや、幅の広い翼をゆっくりと音も立てずに羽ばたかせて襲いかかる。齧歯類 やノウサギ類 などの哺乳類 、サギ 類やノスリ 類・他のフクロウ類などの鳥類、爬虫類 、カエル 、昆虫 などを食べる[ 1] 。体が大きく力が強いので、もっとも強力な「夜の猛禽 」と呼ばれる [誰によって? ] 。
巣についてはテリトリーの中の岩棚、大木のうろ、カラス の古巣などから条件の良いものを選んで巣にするというもので、巣材をほとんど使わない。3 - 5月頃、1腹につき2 - 3個の卵を産む。
人間との関係
人間の登山やスキーなど山地でのレジャー活動による攪乱での繁殖放棄、交通事故、有刺鉄線や電線との衝突死などにより生息数は減少している[ 1] 。近年では [いつ? ] ヨーロッパ では生息数が増加傾向にあるとされるが、1970年代以降はアジア での生息数は減少傾向にあると推定されている[ 1] 。
日本
1994年に北海道北部で繁殖が確認されている[ 2] 。以後も繁殖は継続しているが近年では [いつ? ] 1か所で1ペアのみが繁殖し、雛の捕食による繁殖失敗例が多い[ 2] 。キタキツネ による雛の捕食、採食環境の破壊による影響が懸念されている[ 2] 。1997年に国内希少野生動植物種 に指定された[ 2] 。
絶滅危惧IA類 (CR) (環境省レッドリスト )[ 2]
脚注
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
ワシミミズク に関連するメディアがあります。