最も初期のヴィーナス小像のホーレ・フェルスのヴィーナス
ヴィレンドルフのヴィーナス
ヴィーナス小像 (ヴィーナスしょうぞう)は、ふっくらとした女性を象ったと考えられる後期旧石器時代 の小像 の総称。
200体以上出土している[ 1] この類型には、数は少ないが両性具有 とみなされるものや男性かもしれないもの、まれにレリーフ 状のものも含まれる。ヨーロッパ からの出土が多いが東はシベリア までユーラシア 大陸に広く分布している[ 2] 。年代としては大多数が(26,000~21,000年前の)グラベット期 (英語版 ) に属し[ 3] 、早い例に少なくともオーリニャック期 の35,000年前にまでさかのぼるホーレ・フェルスのヴィーナス が存在する。そして遅いものとしてマドレーヌ期 (英語版 ) の11,000年前のモンラッツのヴィーナス (英語 : Venus of Monruz ) がある。このような小像は(ステアタイト (英語 : steatite ) 、方解石 、石灰岩 のような)柔らかい石、骨、象牙を削るか、もしくは粘土 を形作り焼き上げたものである。後者は最古のセラミック のものとして知られる。サイズはほどほどで、高さ3cmからから大きくても40センチをやや超える程度[ 4] 。先史時代の美術 (英語 : prehistoric art ) 作品の先駆けと位置づけられる。
多くが小さな頭、幅広な尻、先細りの脚をもつ。誇張された腹部、尻 、胸 、太腿、陰門 (芸術における膣と外陰部 も参照)が特徴だが、それにあてはまらないものも少なくない。腕と足はしばしば欠けており、頭部は大抵小さく顔もない。髪型は詳細に形づけられていることがあり、とりわけシベリアから出土した例には着衣や入れ墨を思わせる模様が見られる[ 5] 。
これらの小像が作られた本来の文化的意義も目的もわかっていない。儀式や象徴的な役割を担っていたと推測されることは多い。その用途や意味について、推量に基づく多彩な解釈が呈示されて来た:宗教的偶像[ 6] 、健康と豊穣の象徴、地母神 、エロティック・アート や性補助具(英語 : sex aid )[ 7] 、あるいは女性芸術家の自己表現[ 8] などである。
脚注
^ Liew, Jessica (10 July 2017). “Venus Figurine ”. World History Encyclopedia . 16 January 2023 閲覧。
^ Beck 2000 , p. 203; Fagan & Beck 1996 , pp. 740 - 741
^ Fagan & Beck 1996 , pp. 740-741
^ Fagan & Beck 1996 , pp. 740
^ Fagan & Beck 1996 , pp. 740-741; Jude 2012 ; Cook ; Beck 2000 , pp. 205-214
^ Beck 2000 , pp. 207-208
^ Rudgley 2000 ; Fagan & Beck 1996 , 740-741
^ Haviland et al. 2010 ; Cook ; Beck , pp. 205-208
参考文献
動画
書籍
Beck, Margaret (2000年). Ratman, Alison F. (ed.). Reading the Body: Representations and Remains in the Archaeological REcord . University of Pennsylvania Press. ISBN 978-081-221-709-4 , google books
Fagan, Brian M.; Beck, Charlotte (1996年). Venus Figurines . The Oxford Companion to Archaeology. Oxford University Press. ISBN 978-019-507-618-9 , google books
Haviland, William; Prins, Harald; Walrath, Dana; McBride, Bunny (2010年). Anthropology: The Human Chalenge (13 th ed.). Cengage Learning. ISBN 0495810843 , google books
Rudgley, Richard (2000年). The Lost Civilizations of the Stone age . Simon and Schuster. ISBN 0684862700 , google books
論文
関連項目