合同記号≡
合同記号(ごうどうきごう)は、元来、合同式の合同(モジュロ)を表すための記号であり、「≡」(コングルエント)が使われる。 記号「≡」は、それ以外に、以下の意味: でも使われる。これらは、記号「≡」を使う以外の記法もあるので、必要に応じ、それらの記法についても述べる。 文字名称は、UnicodeとJIS X 0213では「identical to」(~に恒等である)、日本語では「常に等しい/合同」とも呼ばれる。 各々の意味合同式≡
整数論にて、合同記号の左右の整数の値を括弧内のmodで示した値で割った余りが等しいことを示す「合同式」に用いられる。 歴史カール・フリードリヒ・ガウスは、1801年に『Disquisitiones Arithmeticae』で数の合同の記号として使用した。当時の形は だった[1]。 使用例などはいずれも、「a と b は m を法として合同である」すなわち「a と b の各々を m で割った余りが等しい」ことを意味する。ここで、「合同記号」とは「≡」のみのことであり、「mod」は含めない。 法が文脈から明らかだったり、法によらず合同式が成立する場合は、 と法を省略できる。 幾何学的な合同≡ ≅ ≌ ≃
歴史ゴットフリート・ライプニッツは、1710年にベルリン大学のジャーナル誌であるベルリン論集(Miscellanea Berolinensia)に発表したMonitumで、「≃」(1本線の上にチルダ)を図形の合同を表す目的として使用した[2]。 ヨハン・フリードリッヒ・ハセラーは、1777年にAnfangsgründe der Arith., Alg., Geom. und Trigで「≌」[注 1](等号の上に逆チルダ)を使用した[2]。 1824年にカール・モルワイデが、逆チルダをチルダに変更した「≅」(等号の上にチルダ)を使用するようになった[2]。 現在の用法現在、多くの国で、モルワイデの「≅」(等号の上にチルダ)を使う[3]。 例外的に、日本・韓国[4]では、もっぱら「≡」(3本線)を使う。合同記号として「≡」を用いたのはボーヤイ・ヤーノシュである[5]。 ハセラーの「≌」(等号の上に逆チルダ)を使うこともある。 2次元図形に対して使う機会が多いが、3次元以上の場合にも同じ記号が用いられる(1次元以下にも理論上定義できるが使う意義はほとんどない)。 使用例はいずれも、「三角形ABCと三角形DEFが合同である」ことを意味する。なお、これを と書くと、「三角形ABCと三角形DEFは面積が等しい」という意味になる。 恒等式≡
左辺と右辺が常に等しい「恒等式」を表す。ベルンハルト・リーマンが1899年に『楕円関数論』で使用した[5]。 たとえば: は「常に ab = ba である」ことを表す。 定義する≡ ≔ ≜ ≝
左辺を右辺の式で定義するときに使う[6]。これには、「≔」(等号の左にコロン)[6]、「≜」(等号の上に三角形)[6]、「≝」(等号の上に「def」)[7]も使われる。 たとえば: はいずれも、「f(x) を x2 と定義する」あるいは「定義により f(x) = x2 である」ことを意味する。 同値≡ = ⇔ ⟺ ↔ ⇌
左辺と右辺の命題もしくは論理式が同値であることを表す。E・H・ムーアや、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドとバートランド・ラッセルが、1910年に使用した[8]。 他に、「=」(等号)[8]、「⇔」(二重左右矢印)[8]、「⟺」(長い二重左右矢印)[8]、「↔」(一重左右矢印)[8]、「⇌」(右向きと左向きの半分の矢印を上下に重ねたもの)[8]も使う。 たとえば: はいずれも、「P と Q が同値である」ことを意味する。 合同否定≢
「≢」は、UnicodeとJIS X 0213では「not identical to」(恒等でない)、日本語では「合同否定」とも呼ばれる。 「A ≢ B」は、「A ≡ B でない」ことを意味する。たとえば: は、「a と b は m を法として合同でない」すなわち「a と b の各々を m で割った余りが異なる」ことを意味する。 符号位置
※欧米では、相似関係を表すのに「∽」ではなく「~」が一般的に使用されているため、≌は≅と表すこともある。 脚注注釈
出典
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