富士・L4-1(ふじ・L4-1)とは、富士重工業の開発した直列4気筒ガソリンエンジンである。試作車P-1用として開発されたが、P-1の量産計画中止によって、本機も日の目を見ることはなかった。
概要
1952年、富士自動車工業は1,500cc級の乗用車の開発を開始。P-1と命名された試作車は、当初同門企業である富士精密工業のFG4Aエンジンを搭載していた。しかし、このエンジンはプリンス自動車(たま自動車)の依頼と出資によって開発されたものであり、プリンスと富士精密の合併の気運が高まった1954年には、競合相手となる富士自動車工業への販売が不可能となった[1]。一方、富士自動車工業もFG4Aの供給途絶を見越して、大宮富士工業[2]に対して新たな1,500cc級のエンジンを発注していた。
L4-1型と称する新エンジン開発の中心を担ったのは、大宮富士工業の若手技術者であった本田元光である。本田は戦前から在籍している技術者の助言[3]や、フォード・コンサル、ボクスホールの小型車用エンジンを参考としながら設計を進めていった。1954年2月には試作機が完成して火入れが行われ、45psの出力を記録。その後も改良が加えられ、最終的にベンチで63ps/4,600rpmを記録した[4]。増加試作機が製作され、実際にP-1への搭載が行われたのは翌1955年4月のことである[5]。本機はFG4Aに比して出力だけでなく、重量の面でも優れており、P-1の車両重量はFG4A搭載型1,230kgに対してL4-1搭載型は1,178kgとなった。
搭載車種
基本仕様
脚注・出典
- ^ 『プリンス自動車の光芒』p.90-91
- ^ 旧中島飛行機大宮製作所であり、戦中は海軍向け発動機を生産していた
- ^ 特に誉の関係者からは生産性の向上を求められたという
- ^ 『富士自動車工業技術人間史』p.57-62
- ^ 増加試作機の生産数は30基、P-1のL4-1搭載型の生産数は9台であった
参考文献
関連項目
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