オーケストラフェスティバルでの演奏
府中シティオーケストラ (ふちゅうシティオーケストラ ;Fuchu City Orchestra、略称FCO )
は、広島県 府中市 に本拠を置くアマチュア・オーケストラ 。戦後間もない1950年頃に発足した音楽団体に起源をもつ。
歴史
1950年頃、太平洋戦争 後の復興の時代、我が街に明かりを灯そうと若き有志が集い設立した「府中音楽同好会」が起源。「府中音楽同好会」は、招聘音楽会、レコードコンサート、夏の「納涼音楽会」等を企画した[ 1] 。1970年~80年頃、金管 アンサンブルと弦楽器 アンサンブルに、木管楽器 が加わり管弦楽団 「音同(おんどー)オーケストラ」として活動するようになる。1985年 、Fuchu Music Club(府中音楽同好会)の名前を冠したFMCオーケストラが結成され[ 2] 、1986年3月に単独で第1回の定期演奏会を開催する。FMCオーケストラは14年間活動を行った後に、1999年 に府中シティオーケストラに改称[ 2] [ 3] 、ふくやま芸術文化ホール や岡山シンフォニーホール でも遠征演奏会を開催した。2001年に府中市の夏祭りである「ドレミファフェスティバル」のオープニングステージを飾ったことを機に、2002年から市の協賛事業としてドレミファコンサートを開催した。かつての府中音楽同好会自体が広島県立府中高等学校の生徒やOBによって組織されたものであり[ 2] 、団員には広島県立府中高等学校の音楽部(オーケストラ部)の卒業生が多く[ 2] 、現在でも相互に協力関係にある[ 4] 。
活動拠点
広島県 府中市の府中市文化センター を練習場所として活動。
上記を拠点として、月に2回程度(日曜日午後)練習を行なっている。練習は公開され誰でも見学できる。
2月の春まちコンサート(定期演奏会)も同会場で開催されている。
主な活動内容
1986年 3月に、第1回の演奏会を開催。メインはムソルグスキー 作曲展覧会の絵 。設立当時は学生の団員も数多く在籍し、春休みの定期公演がしばらく定着していたが、近年は年度末 の繁忙期を避けるかたちで、定期演奏会を毎年2月に開催している。定期演奏会は、2007年 より拠点である府中市文化センターとの共催で「春まちコンサート」と題している[ 5] 。
1996年 、創立10周年を迎えマーラー の交響曲第1番「巨人」やリヒャルト・シュトラウス のホルン協奏曲 第1番(独奏:千葉正規 )[ 6] が、記念定期演奏として福山と府中のホールで連日演奏された。
2002年 より、府中市の「府中ドレミファフェスティバル」にあわせて、「ドレミファコンサート」を毎年7月に開催した[ 7] 。「ドレミファコンサート」は、「親子で楽しむ音楽会」をテーマに演奏され、親しみやすいクラシック曲を演奏している[ 8] 。「ドレミファフェスティバル」は2012年で終了し、2013年から趣向を変えて「備後国府まつり」に変更されたため[ 9] 「ドレミファコンサート」は2015年で終了となった。
2004年 12月、府中市市制施行50周年記念行事「市民が奏でる2004府中第九コンサート」として、堀俊輔 指揮のもとベートーヴェン の交響曲第9番 を演奏[ 10] 。人口4万人規模の都市で市民による演奏と合唱で交響曲第9番が演奏されるのは珍しいとされ、オーケストラと合唱あわせて253名の公演に対して、観客1200人から惜しみない拍手が贈られた[ 11] 。堀俊輔 は、「アマチュアにはプロには無い感動の演奏がある。本番でどれだけ自分を爆発させられるかだが、今日の練習を見たら大丈夫と思った」とコメントした[ 12] [ 13] 。広島女子短期大音楽科の益田遙教授は、人口五万人足らずの街で市民のオーケストラ、合唱団が第九を公演するのは全国でも異例で、演奏レベルも驚くほどの高さと評した[ 14] 。その様子は、『びんご経済リポート』に表紙カラー写真で掲載されると共に、「府中第9合唱団は発足して11年目・4回目の公演であるが、過去3回はプロオーケストラとの公演であり、今回初めて地元のアマオケの演奏による手作りコンサートとして大成功を収めた。」とされた[ 15] 。
2005年 より、月一ライブと称して、金管アンサンブル や弦楽四重奏 、木管アンサンブル、チェロアンサンブル による演奏を毎月第3日曜日に無料で披露している[ 16] 。
2007年 2月に創立20周年を迎え、NHK交響楽団フルート奏者甲斐雅之を招いて記念演奏会としてベルリオーズ の幻想交響曲 などが演奏された[ 17] [ 18] 。
2008年から2011年まで、福山市 ふくやま芸術文化ホール で開催された「オーケストラフェスティバル」にも参加。最大人数の参加団体であった[ 19] 。
2016年2月、オーケストラとして発足30周年を迎え、記念演奏会が行われた[ 20] 。
2016年11月、備後地方の合唱愛好家たちでつくるオペラ団体「ムジカ・アヴァンティ」と合同で、ドニゼッティ のオペラ「愛の妙薬」を演奏。演奏には声楽家らを加えて総勢100名で舞台に臨んだ[ 21] 。
府中市市立図書館や近隣の公民館[ 22] 、寺院等の公共施設でミニコンサートの開催、市関連行事[ 23] や県民文化祭への参加、バレエや子供音楽祭の伴奏 なども務めている。
演奏内容
定期演奏会ではバロック などの選曲は少なく、幻想交響曲 や展覧会の絵 などといった大規模・大編成の曲が演奏されることが多い。また日本では演奏機会の少ない曲も選曲されることも多い。例としては、フランツ・アドルフ・ベルワルド の『ファゴット とオーケストラ のためのコンツェルトシュツトゥック』[ 24] [ 25] や、イベール の『フルート協奏曲 』、ポンキエルリ の『時の踊り』、クーセヴィツキー の『コントラバス協奏曲 』、芥川也寸志 の『交響管弦楽のための音楽』、早川正昭 の『バロック風日本の四季』、カリンニコフ の交響曲第1番やカミーユ・サン=サーンス のピアノ協奏曲第5番「エジプト風 」、ウェーバー作曲ファゴット協奏曲「アンダンテとハンガリー風ロンド」[ 26] などがプログラムに取り上げられている。一方、7月に開催されていたドレミファコンサートでは小作品や、子供向けに趣向を凝らした演奏が披露され、地元合唱団(混声合唱団 TWO WING[ 27] )や小学生とのコラボレーション企画も行われていた。演奏には広島県立府中高等学校の音楽部卒業のプロ奏者が招かれ、ソリスト として演奏することも多い[ 18] 。府中市の市行事での活躍が多いが、隣市である福山市の行事にも出演することがある。2016年8月には福山市しんいち歴史民俗博物館で企画展「蝙蝠(こうもり)と福山」の関連行事として、こうもりやバラにちなんだ曲を演奏している[ 28] [ 29] 。
その他の活動
2006年2月、『読売新聞 』「ひろしま県民情報」の一面に、紙面の1/2を割いて同団の紹介がカラー写真と共に掲載された[ 30] 。
2007年9月、「府中市 市民健康&福祉まつり2007」として、ドボルザーク :チェコ組曲より、「ポルカ」,「フィナーレ」が、ソプラノ 歌手の土井範江 を迎えて、ドニゼッティ :歌劇「ドン・パスクァーレ」より「騎士はあの眼差しを」やプッチーニ :歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「わたしのお父さん」などが演奏された。
2007年11月、「恋しき」[ 31] のオープニングイベントとして、弦楽とフルートのアンサンブルコンサートを本館2階大広間で開催した[ 32] [ 33] 。
2008年4月、府中学園のオープニング記念イベントとしてソプラノ 歌手の土井範江 と共に、コンサートを同学園で開催した[ 34] 。
2011年2月、府中教育委員会主催の歴史フォーラム『装いから見た古代日本人』にて、高松塚古墳の壁画を参考に復元された古代衣装[ 35] [ 36] を纏って、「備後国府ミニコンサート」を行った[ 37] 。
2015年7月、我龍 に協賛して10周年記念コンサートにゲスト出演して共演している[ 38] 。
情報動画配信番組「さなだっちのふちゅう de Bingo」で活動内容が動画配信で紹介されている[ 39] 。
脚注
^ 「納涼音楽会」は現在では、広島県立府中高等学校 の音楽部(オーケストラ部)の定期演奏会として継続開催されているが、かつては「府中音楽同好会」主催の府中市民の音楽会であった。
^ a b c d 親しまれるオーケストラへ タクトも軽やか 「府中シティオーケストラ」19日デビュー 公演増やし活動拡大(広島県) 『中国新聞』朝刊 東A版 写有2000年3月17日
^ ひと人交差点 「府中シティオーケストラ」の団長、小林洋三さん 毎日新聞 広島版 写図有 1999年10月28日
^ 府中に文化の灯を『読売新聞』 府中ニュース速報 2004年3月22日
^ 迫真の演奏 観客を魅了 府中シティオケの春まちコンサート 『中国新聞 』 備後ふちゅう かわら版 2010年2月23日
^ 広島県立府中高等学校を経て、武蔵野音楽大学 卒業、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 所属
^ ドレミファの歴史 府中ドレミファフェスティバル実行委員会
^ 音楽会や花火 華やか 府中 ドレミファ祭り閉幕 『中国新聞』朝刊 福山・尾三 写有 2005年07月25日
^ 府中で名称一新「備後国府まつり」開幕 たんす運び障害物競走 出場者 汗だくで必死に走る 山陽新聞社 2013.07.28 備後1-15版 28頁 山陽新聞朝刊 写有 (全514字)
^ ハーモニー 古里の誇り 『中国新聞 』朝刊 福山・尾三 写有 2004年12月14日
^ 府中に高らかに歓喜の声『中国新聞 』 備後版 2004年12月14日
^ 市民交響楽団と市民合唱団の「第九」 『読売新聞 』 府中ニュース速報 2004年12月2日
^ 備後に「歓喜」の季節 第九 12日 府中市制50周年で手作り公演 『中国新聞』朝刊 福山・尾三 2004年12月1日
^ 今月の顔 『山陽新聞 』朝刊 2004年12月2日 備後1--15版 28頁 写有
^ 大合唱で感動を共有した府中第9コンサート 『びんご経済リポート』カラー表紙とp15 2004年12月20日発行
^ 府中から発信 月一ライブ 市文化センター 無料であすから 『中国新聞』朝刊 広島東 2006年06月17日
^ 府中市まちづくり復興公社 特別寄稿「幻想交響曲」を聴きに行こう! カラーA4全面印刷 『読売新聞 』 府中ニュース速報 2007年2月16日
^ a b 府中シティオーケストラ 20周年記念 来月演奏会 『中国新聞』朝刊 福山・尾三 2007年01月17日
^ 福山、府中市の楽団一堂に オーケストラ・フェスティバルに10団体 『山陽新聞 』2009年9月24日
^ 府中で音楽の輪30年 シティオーケストラ28日に定演 広島県府中市 中国新聞 2016.02.23 朝刊 福山 (全508字)
^ 結成5周年 記念のオペラ♪ ムジカ・アヴァンティ あす福山公演 中国新聞 2016.11.05 朝刊 福山 (全427字)
^ 開館10周年記念イベント来てね 府中市立図書館 『中国新聞』朝刊 福山都 2002年05月11日
^ 福山・網引小の屋内運動場完成 懐かし「行進曲」でお祝い 古関裕而31年前作曲 親子で合奏「いい思い出」『中国新聞』朝刊 福山都 2003年03月03日
^ ベルワルドの協奏曲で”レア”な春まちコンサート盛況に 『読売新聞』 府中ニュース速報 2010年2月22日
^ 2010年2月現在、同曲は日本国内では店頭販売されていない
^ ドイツで活躍 ファゴット奏者、加茂さん シティオケと共演 古里府中で音色を紡ぐ 『中国新聞』朝刊 福山 写有 2002年03月23日
^ 混声合唱団 TWO WING
^ こうもりとバラは福山市の市章
^ コウモリ、バラちなむ曲披露 福山でコンサート 2016.05.29 備後1-15版 30頁 山陽新聞朝刊 写有 (全365字)
^ 「ひろしま県民情報」地域のハーモニー楽しんで 『読売新聞 』 大阪本社発行 p1 2006年2月1日
^ 1872年創業の料亭・遊郭跡。2007年、府中市の観光の目玉の一つとして再整備された。
^ 「心のふる里 恋しき」 テレビ新広島 2009年11月08日OA
^ 府中・老舗旅館「恋しき」まちの新たな拠点に 複合施設に再生 あす開所式典 『山陽新聞』朝刊 備後1-15版 28頁 2007年11月17日
^ 「府中学園開校イベント開催へ」 共同ニュース『中国新聞 』 2008年4月11日
^ 飛鳥時代の衣装再現 府中 『中国新聞』2011年2月3日
^ 古代衣装で歴史アピール 『山陽新聞』 2011年2月6日
^ 古代衣装にまつわるエトセトラ 第8回ふちゅう歴史フォーラム開催 『読売新聞』「府中ニュース速報」2011年2月13日
^ 挑戦の軌跡、ライブで表現 「我龍」10周年記念、多彩なゲスト招き協演 /広島県 朝日新聞社 2015.07.15 大阪地方版/広島 27頁 備後 写図有 (全931字)
^ 練習中の映像や、団長の挨拶、若手団員による団の紹介、定期演奏会の案内などが放送されている。2009年1月21日・1月28日、2010年2月18日放送分など
外部リンク