成金(なりきん)は、落語芸術協会所属の二ツ目落語家・講談師11名をメンバーとして、2013年9月から2019年9月まで毎週金曜日に開催していた自主公演及びユニットの名称[1]。ミュージックテイト西新宿店で行われていた。
年末に全メンバー出演の特別公演「大成金」を開催している。その他の派生した「◯◯成金」と名付けた会は、様々な主催者が入ったり、メンバーの個人活動の延長である。
概要
「成金」の名づけ親は昔昔亭A太郎[2][3]。
東京・西新宿ミュージックテイト(演芸CDショップ)を会場に、2013年9月~10月は「成金プレリュード」として定期的に会を開催し、同年11月からは毎週金曜日に定例落語会「成金」を開催していた。プレリュードの開口一番は昔昔亭A太郎の「文七元結」[2]。また企画公演として、地方公演の「旅成金」、ネタおろしの「成城成金」なども行われていた[4]。
落語協会に対する反骨精神を胸に[5]、真打昇進していない二ツ目でありながら、「成金」の名前で地方公演ができるまでに成長した。2019年9月8日に札幌市で開かれた「大札幌成金」は、650人収容のホールが昼夜ともほぼ満席となった[5]。
「メンバーの誰かが真打になったとき、毎週金曜の成金(通常成金とも呼ばれる)を終了する[5]」ことを前提としていたが、2018年12月の落語芸術協会理事会で、2019年9月下席より柳亭小痴楽、2020年2月中席より神田松之丞の真打昇進(9人抜きの抜擢真打、6代目神田伯山を襲名)が決定し、小痴楽の真打昇進前日となる2019年9月20日をもって「成金」は終了した[6]。なお、毎年末の「大成金」については継続する方向[4]であり、コロナ禍の影響もあり2020年は休止となったが、2021年12月30日にはイイノホールで2年ぶりに「大成金」が開催されている[7]。
成金メンバーでは、桂宮治(2012年・NHK新人演芸大賞落語部門)と笑福亭羽光(2020年・NHK新人落語大賞)の2名が、NHKの東西落語家を対象としたコンクールで大賞を受賞している[注釈 1]。
成金活動当時はツイッター・webなどを使った積極的なPR活動を行っていたが、関連アカウントやwebページは2021年3月までにすべて削除されている。
成金メンバーは、全員「笑点」(日本テレビ)での真打昇進披露口上を行っていない[注釈 2]。
成金の実質的な後継として、落語芸術協会所属の二ツ目落語家10名によるユニット「芸協カデンツァ」が結成された[8]。2019年10月より毎週金曜日に定例落語会を開催しているほか、YouTubeで動画配信を行っている。
小痴楽、伯山の真打昇進以後も順次、成金メンバーの真打昇進が行われており、2022年5月上席に春風亭柳若改め春風亭柳雀、春風亭昇也の真打昇進および披露興行をもって成金メンバー全員が真打となった。個々の真打昇進披露興行以降も成金のメンバーが定席での主任を務める機会も多くなっており[7]、2022年2月の新宿末廣亭中席夜の部では、成金メンバーのほぼ全員が出演する番組が組まれている[注釈 3]。
全員が真打になったことでメンバーのうち、弟子を採った者も散見される。一番最初に弟子を採ったのが伯山で、2021年以降に3人の弟子(神田梅之丞・青之丞・若之丞)を相次いで採った。その後、2023年に小痴楽が柳亭いっち、羽光が笑福亭羽太郎とそれぞれ1名ずつ弟子を採っている。
メンバー
香盤順。太字は真打。(2022年5月現在)
メディア・書籍
- らんまんラジオ寄席(TBSラジオ)-
- ラジなり…毎週金曜11時30分配信。成金メンバーのうち、柳亭小痴楽、昔昔亭A太郎、瀧川鯉八、春風亭昇々、春風亭柳若の5名が出演するポッドキャスト。
- 成金本…2016年発売。メンバーの芸論、コラム、小説や、オフショットなどが詰まった本。成金メンバー全員の師弟対談が収録されている(発行元:東京かわら版)[11]。
- イケメン落語…2017年5月発売。「成金」メンバー全員のインタビューとからめた初心者向けの寄席・落語案内本。ゲストナビゲーターとして桂米助が成金メンバー全員を紹介。ページ内にあるQRコードから各自の落語を配信するYouTubeページ(限定配信)に飛ぶことができる。一般書店では扱いのない、ファミリーマートだけで販売されたムック本(発行元:アントレックス)[12]。
- 成金の正体[13]…2018年10月からスポーツ報知(電子版)に掲載。メンバー全員のインタビュー等を掲載。執筆はコンテンツ事業部の高柳義人記者。
関連項目
- TEN…落語協会の若手二ツ目ユニット。
- 芸協カデンツァ…2019年4月に結成された落語芸術協会の若手二ツ目ユニット。
- ルート9…2021年4月に結成された落語芸術協会の若手二ツ目ユニット。
外部リンク
脚注
注釈
- ^ 桂宮治はユニット結成前の受賞、笑福亭羽光はユニット活動終了後の受賞。
- ^ 2020年3月からのコロナ感染防止のための緊急事態宣言による自粛のため、2020年3月~2023年6月まで真打昇進披露口上が収録で行われなかった影響。成金メンバー以外の落語芸術協会真打昇進者では春風亭昇吉が該当する。なお、笑点特大号(BS日テレ)でパーティー・記者会見などの紹介は行われている。また、緊急事態宣言前の2019年9月、成金メンバーで一番早く真打に昇進した柳亭小痴楽は真打昇進披露口上の収録を仕事のため欠席した。地上波の笑点での真打昇進披露口上は、落語芸術協会では昇也・柳雀の一年後に真打に昇進した桂翔丸・柳亭明楽・春風亭吉好から復活した。
- ^ 当初は宮治が主任予定であったが、新型コロナウイルスのみなし陽性者判定を受けて休演となったため、成金メンバーによる日替わりの主任となった(11日:伯山、12日:鯉八、13-15日:小痴楽、16日:伸衛門、17日以降:宮治)。また、当初は伯山のみ玉川太福との交代出演予定であった。
- ^ 通常とは異なる木曜日の18:00~19:00の放送。
- ^ 公演は2020年11月21日、よみうりホール。他に柳亭楽輔・春風亭昇太が出演。
出典