『日曜喫茶室』(にちようきっさしつ)は、NHK-FM放送で1977年4月10日から2017年3月26日まで放送されていたトーク番組である。
概要
NHKラジオスタジオに設えた喫茶店「なかま」を舞台に、マスターのはかま満緒(放送作家)と各界を代表する著名人が毎回ゲストとして来店する。はかま満緒、ウェイトレスに加えて3名(うち1名は「ご常連」)の計5名が、毎回季節の話題や最近の流行や話題などのトークをコーヒーを飲みながら展開する。
喫茶店の内容設定は以下のとおり。
- 喫茶店の名称である「なかま()」は、店主の名を取って「はかま()」とされるべきところ、hがnと誤記されたことから。
- 喫茶店の所在地は、原宿の裏通りから徒歩で10分ほどのところ、と設定されている。
- 入口の扉は重厚なマホガニー製。
- メニューに掲載されているのは、コーヒー、アイスコーヒー、紅茶、アイスティー、日本茶の5種類。ゲストはそれ以外のメニューを注文しても構わないが実際に出されるのは基本的には上記の5種類のいずれか。ただし、一度だけ注文に応じてチョコレートパフェ(メニュー名「チョコパフェ」)が出てきたことがある(2007年9月2日放送「数字が気になって気になって」の回。ゲストは橘家圓蔵(落語家)と新井紀子(国立情報学研究所教授)、常連客は安野光雅)。
- 以前はアルコールも出していたが、2時間近い録音の間に酔っぱらってしまい、はかま満緒に絡み出したゲストがいたので控えるようにした(2006年4月3日、日本経済新聞掲載のはかま満緒のエッセイによると、作家の有吉佐和子と、詩人の田村隆一とのこと)。
放送時間は毎月最終週の日曜日(当該最終週が特番である場合はその前の週[1])の12:15~14:00(NHK-FM放送)であった。
番組放送開始から2007年3月までは、毎週日曜日に放送されていた。2007年4月からは月1回「トーキング ウィズ 松尾堂」を放送することとなり、2008年4月からは毎月最終週、つまり月1回の放送に減らされることになった(それ以外は「トーキング ウィズ 松尾堂」を放送する)。2006年3月まではNHKラジオ第2放送「NHKラジオライブラリー」=金曜日でも過去に放送された番組を再構成して放送されていた。
はかまの急逝と番組の終焉
はかまが、2016年2月放送回の録音された翌日2月16日に急逝(常連客が出演しない異例の放送回だったが、特に変わった様子はなかったという)[2]。2月28日放送分は追悼のコメントを入れて放送され[3]、3月放送分は『ありがとう はかま満緒さん』と題した追悼番組となった[4]。4月以降は過去放送分のテープ編集を中心とした放送となり、放送時間の多くが故人による出演となった。
2017年4月からこの枠(最終日曜12:15-13:55)には『グッチ裕三の日曜ヒルは話半分』が入り、この番組は2017年3月26日をもって終了。1977年4月の番組開始以来40年の歴史に幕を降ろした[5]。最終回の最後の楽曲は、はかまの作詞ならびにジェリー藤尾の歌唱による『パパとワルツを踊ろう』をオンエアして、喫茶室は「閉店」した。
番組テーマ曲
「Save your kisses for me」(邦題・想い出のラスト・キッス)/レイモン・ルフェーブル・グランドオーケストラ。
出演者
- マスター:はかま満緒
- ウエイトレス:小泉裕美子
- 常連客(後述)の何れか1名、ゲスト2名(稀に3名のこともある)
常連客
の4名。以前の常連客には、井原高忠、天野祐吉などがいる。
番組構成
番組の構成自体は至ってシンプルで、まずマスターはかま満緒と、常連客との会話から始まり(その日のテーマについてのざっくばらんな雑談が多い)、それが5分間ほど続いた後、本日の常連客のお薦めの1曲が流れる。次いで、最初のゲストが登場。ゲスト、マスター、常連客、ウェイトレスの会話が約30分ほど続いた後、最初のゲストのお薦めの1曲が流れる。それが終わると、次のゲスト登場。2番目のゲストとの会話が30分ほど続いた後、2番目のゲストのお薦め曲が流れる。それが終わると、1番目、2番目のゲストを含めて全員でのトークが始まり、やはり30分ほど続く。その後、また1曲音楽が流れ、残り15分ほどでマスターが本日のテーマについてのまとめに入り、ゲストの今後の予定を伺って番組を終える。この構成は、放送開始以来30年、殆ど変わっていない。
このようなシンプルな作りの番組であるのに、多くの聴取者を引きつけるのは、ひとえにマスターはかま満緒の人柄、人間に対する興味、旺盛な好奇心によるもので、またそれを助ける常連客の発言が、マスターとの間でうまく噛み合って番組が進行してゆくことにある。例えば、常連客の安野光雅は、ちょうど漫才のボケ、ツッコミのボケの役割を果たし(マスターはかま満緒がツッコミの役目を果たす)、横町の御隠居的な一言居士の轡田隆史、物静かな知識人の池内紀、ダジャレでその場を盛り上げたり、しらけさせるのが名人の荻野アンナと、それぞれが個性を発揮している。
番組の主な出演者
文化人、政治家、経済人、大学教授などいわゆる知識人にファンが多く、他の番組には出演しないのに、この番組には出演したという著名人も多い。代々、NHK西湖会の真田丸のような牙城になってきた番組枠。また、朝日新聞系はもとよりRFラジオ日本などとも豊富な人脈を築いてきた。
この数年間に出演した有名人としては、
など非常に多彩な人々が出演している。
なお、過去には北野武、金田一春彦、池田彌三郎、宮脇俊三、北杜夫、斎藤輝子、松本清張、沢村貞子、植村直己、阿久悠、河島英五、植木等、宮川泰、團伊玖磨、池田満寿夫、大藪春彦、福田繁雄、五代目 柳家小さん、東山魁夷、赤塚不二夫、石ノ森章太郎、藤子不二雄Ⓐ、寺田ヒロオ、ジョージ川口なども出演した。
しかし、このような有名人の他に、無名ながら一芸に秀でた人、長年一つの道に打ち込んできた市井の人(池内紀によると、「二番手を走り、トップになる実力があり周囲もやきもきしているのに、好きな事に打ち込むことに一生懸命で、二番手であることを気にしない人」)にスポットライトをあてるのも、この番組の特徴である。
このような出演者としては、
などがいる。
関連項目
脚注
外部リンク