左の砧骨。A. 内部から B. 正面から
長軸で切断して開いた耳管
砧骨 (きぬたこつ、incus)は、中耳 にある骨。砧 の形をしており、中耳にある3つの耳小骨 のうちの1つである。横方向に接続されている槌骨 から振動を受け取り、内側で鐙骨 に伝達する。ラテン語 : Incus はその形が金床に似ていることからそう呼ばれ、金床を意味するanvilとも呼ばれる。
構造
砧骨は中耳 にある3つの耳小骨 のうちの2番目の骨であり、音を伝える働きをする。その形は金床 に似ており、骨体から伸びる短脚と長脚の十字があり、これは槌骨 とつながる[ 1] :862 。短脚は砧骨の後靭帯に付着し、長脚は豆状突起である鐙骨 とつながる。
砧骨の上靭帯は、骨体で鼓室 (英語版 ) の屋根に付着する。
機能
中耳 の振動は、鼓膜 を介して受け取られる。鼓膜の上にある槌骨 は振動を砧骨に伝達し、続いて鐙骨 に振動が伝わる[ 1] :862 。
歴史
Incusは金床を意味するラテン語である。複数の資料によると砧骨の発見者は解剖学者・哲学者のAlessandro Achillini とされている[ 2] [ 3] 。砧骨について初めて書かれているのはBerengario da Carpi の Commentaria super anatomia Mundini (1521)である[ 4] 。アンドレアス・ヴェサリウス は『ファブリカ 』[ 5] の中で初めて耳小骨の2番目の骨を金床にたとえ、incusという名前を命名した[ 6] 。長脚の最後の部分は、1615年にPieter Paawにより「4番目の耳小骨」と表現されたことがある[ 7] 。
図
耳小骨
鼓室、顔面神経管、内頸動脈
耳小骨、鼓室
耳小骨、砧骨と槌骨
出典
^ a b Drake, Richard L.; Vogl, Wayne; Tibbitts, Adam W.M. Mitchell; illustrations by Richard; Richardson, Paul (2005). Gray's anatomy for students . Philadelphia: Elsevier/Churchill Livingstone. ISBN 978-0-8089-2306-0
^ Alidosi, GNP. I dottori Bolognesi di teologia, filosofia, medicina e d'arti liberali dall'anno 1000 per tutto marzo del 1623 , Tebaldini, N., Bologna, 1623. http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k51029z/f35.image#
^ Lind, L. R. Studies in pre-Vesalian anatomy. Biography, translations, documents , American Philosophical Society, Philadelphia, 1975. p.40
^ Jacopo Berengario da Carpi,Commentaria super anatomia Mundini , Bologna, 1521. https://archive.org/details/ita-bnc-mag-00001056-001
^ Andreas Vesalius, De humani corporis fabrica . Johannes Oporinus, Basle, 1543.
^ O'Malley, C.D. Andreas Vesalius of Brussels, 1514-1564. Berkeley: University of California Press, 1964. p. 121
^ Graboyes, Evan M.n; Chole, Richard A.; Hullar, Timothy E. (September 2011). “The Ossicle of Paaw” . Otology & Neurotology 32 (7): 1185–1188. doi :10.1097/MAO.0b013e31822a28df . PMC 3158805 . PMID 21844785 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3158805/ .
外部リンク