『絵のない絵本』(えのないえほん、原題 : Billedbog uden Billeder)は、デンマークの作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの連作短編集。
屋根裏部屋で暮らす貧しい画家は、夜に訪れる月の語る話によって寂しさを慰められていた。その話を画家が書きとめたという設定で、33夜にわたる短い物語を収める。
1839年の初版では第20夜までだったが、再版で31夜まで追加され、1855年の第4版で33夜が揃った。1914年の版では挿絵が入った。
各話の内容
- インドのガンジス川のほとりにて。
- めんどりと少女。
- 隣の路地の、ひとりの女。
- ドイツの芝居小屋にて。
- フランス7月革命、動乱のパリ。
- スウェーデンのウプサラにて。
- 巨人の墓のあるあたりにて。
- 空模様の都合で月が現れず。
- グリーンランドの葬儀。
- ひとりの老嬢。
- 結婚式後の新郎新婦。
- ポンペイの歌姫。
- 編集者たちの評する新進作家2名。
- 赤ちゃん誕生を待つ幼いきょうだい。
- ドイツのリューネブルクにて。
- 道化役の恋。
- 新しい服を着た4歳の女の子。
- 月の語る「都市の幽霊」。
- 才能の無かった俳優。
- ローマにて。
- サハラ砂漠北部のフェザーンにて。
- 取り上げられた人形を木の枝の上に乗せられた少女。
- チロルにて。
- コペンハーゲン、バチカン、そしてデンマークのシェラン島にて。
- フランクフルト・アム・マインのロスチャイルド家。
- 大都会の煙突掃除。
- 中国の若い僧と乙女。
- 海を渡る白鳥。
- スウェーデンのロクセン湖近くの僧院。
- 大通りのそばの居酒屋にて。
- 小さな市場町の子供たちと熊。
- ある囚人の遺した旋律。
- 5人きょうだい。
翻訳
日本での公演
2020年2月29日から3月1日にかけて、松下IMPホールにてミュージカル「絵のない絵本」として上演。全4公演。
脚本家・小説家の木下半太がミュージカル脚本化し、屋根裏部屋で生活をしている貧しい作家・アンデルセンのもとに月が話しかけ、月が見たという話をアンデルセンが書き留めていくという設定のもと、「親指姫」「はだかの王様」「マッチ売りの少女」「みにくいアヒルの子」など8つの物語を現代風にアレンジした全8話構成で上演。
主演のアンデルセン役を白石拓也、月の声を梅田彩佳が務めた[1]。
関連作品
本作品の第28夜をもとにヴィーチェスラフ・ノヴァークが1905年に交響詩《永久なる憧れ》を作曲している。日本では本作をもとにして樽屋雅徳が同名の吹奏楽曲を作っている。アンサンブル曲ではファゴット四重奏の『絵のない絵本 第10夜』、クラリネット八重奏の『第12夜』、フルート八重奏の『第23夜』、金管六、八重奏の『第29夜』がある。
脚注
外部リンク