若草物語 (1949年の映画)
『若草物語』(わかくさものがたり、原題: Little Women)は、1949年に製作・公開されたアメリカ合衆国の映画。1933年にキャサリン・ヘプバーンが出演した『若草物語』の脚本および音楽がそのまま使用された。1868年に第一部、1869年に第二部が出版されたルイーザ・メイ・オルコットの小説『若草物語』を1933年の映画版に続き初のカラー映画(テクニカラー)としてリメイクし、マーヴィン・ルロイが製作・監督を行なった[2][3]。脚本はサリー・ベンソン、ヴィクター・ヒアマン、サラ・Y・メイソン、アンドリュー・ソルトが執筆し、音楽はアドルフ・ドイチュ、マックス・スタイナーが作曲した。ジューン・アリソンとピーター・ローフォードらが出演した。イタリア人俳優のロッサノ・ブラッツィのアメリカ映画デビュー作となった。1948年に亡くなった、約40年に亘るキャリアとなるC・オーブリー・スミス卿の遺作となった[4]。 あらすじ南北戦争の頃、マサチューセッツ州コンコードの小さな街にマーチ家のメグ(ジャネット・リー)、ジョー(ジューン・アリソン)、ベス(マーガレット・オブライエン)、エイミー(エリザベス・テイラー)の四姉妹が母親「マミー」(メアリー・アスター)と共に住んでいる。数年前に父(レオン・エイムズ)が質の悪い実業家のせいで財産を失ったため、一家は貧乏暮らしをしている。父が北軍として出兵し、母は一家をまとめ、娘たちにもうすぐ訪れるクリスマスには特に、自分たちより恵まれない人々に施しを与えることが重要であると教える。甘やかされ虚栄心の強いエイミーはしばしば貧困や身分を嘆くが、作家を志すジョーは自作の物語や芝居で家族を楽しませ、末っ子の内気で繊細なベスはジョーの作品にピアノ伴奏をつける。 活発でお転婆なジョーは男友達を探しており、裕福だが気難しい隣人のジェイムス・ローレンス(C・オーブリー・スミス)の孫であるローリー(ピーター・ローフォード)と友達になる。冬も終わる頃、ジョーの率直さや、根暗なローリーへの良い影響にジェイムスはとても感銘を受け、四姉妹を豪邸での舞踏会に招待する。舞踏会にてメグはローリーの家庭教師のジョン(リチャード・ワイラー)に気に入られ、エイミーとベスは階段の上からハラハラしながら見守る中、ジョーはローリーのダンスの誘いを受ける。ジェイムスの気難しさは、亡き孫娘を思い起こさせるベスと会うと和らぎ、ベスの音楽の才能を知るとグランドピアノの使用許可を与える。素晴らしい一夜であったが、エイミーとベスはお高く留まったガーディナー夫人(イザベル・ランドルフ)とその娘が母の噂話をしているのを聞き不愉快に終わる。 数週間が経ち、ローリーのジョーへの愛は増すばかりだが、ジョーは友人として好きだが結婚する気はないとしてローリーを退ける。ジョーは姉妹の絆が崩れることを恐れ、メグのジョンへの深い愛情を妨げようとする。春が訪れ、父が負傷しワシントンD.C.の陸軍病院に入院したという報せが入る。ジョーは裕福なマーチ叔母(ルシル・ワトソン)に母の汽車賃を頼みに行くが、礼儀がなっていないとして口論となる。マーチ叔母が姉妹の家にやってきて、入れ違いにジョーが家に到着する。ジョーは汽車賃を工面するために美しい栗色の巻き毛をバッサリ切って売ったのである。母の不在中、代理で貧困者の世話をしていたベスが猩紅熱にかかり、極度の不安や恐怖にさいなまれた姉妹たちはいかに母に依存してきたか気付く。母が戻るとベスの熱が下がってくる。ローリーが手筈を整えて父が帰宅し、一家は再会を喜ぶ。 数か月後、メグはジョンと結婚する。ローリーはジョーに求婚するが上流階級に馴染めず執筆活動に専念したいとして断られる。酷く傷心したローリーはヨーロッパに向かい、姉のメグと親友のローリーを同時に失い悲嘆に暮れるジョーはキャリア追及のためにニューヨークに向かう。ジョーは下宿先のカーク家の子供たちのドイツ語教師であるベア教授(ロッサノ・ブラッツィ)と出会い、美術やオペラに触れる。ジョーはベア教授に文章を読んでもらうが、煽情的過ぎると批判され落胆する。急に泣き出したジョーは、ローリーに見捨てられたと感じており、さらに長年ヨーロッパに共に旅行に行くと約束していたマーチ叔母がエイミーを連れて行くことになったことで傷ついていることを明かす。ベア教授はジョーに恋しており、心情を書き起こすよう薦める。ジョーはベスの体調が悪化していることを聞いて、自分を必要としている実家に戻る決心をする。人が少なくなった実家に戻ると愛するベスは瀕死の状態であり、数週間に亘り、文句も言わず病魔と戦うベスの看病を行なう。 ベスが亡くなり、ジョーは悲しみを癒すために小説『My Beth』を執筆し、意見を聞くためにベア教授に送る。双子の母となったメグはジョーに、ローリーとエイミーがヨーロッパで交際し婚約したことをためらいながら伝える。ジョーは祝福しながらも初めて自分がいかに孤独で愛されたいと感じているか気付く。数週間後、結婚したローリーとエイミーが戻り、一家は再会を喜ぶ。ベア教授が出版した『My Beth』を持参してきたのをローリーが迎える。ベア教授はジョーがローリーと結婚したものと勘違いし、ローリーの招待を辞退して立ち去る。ジョーがベア教授を追いかけ、2人は抱き合い、ベア教授はジョーに求婚する。ジョーはこれを承諾し、家族の待つ温かな家に未来の夫を連れていく。 キャスト
スタッフ
製作セルズニック版当初デヴィッド・O・セルズニックが製作する予定であった。1946年9月に撮影が開始したが、セルズニックは『白昼の決闘』の過酷な撮影の直後に大作に取り掛かるのは困難であると判断し、MGMに脚本および権利を売却した。セルズニック版にはジョー役にジェニファー・ジョーンズ、エイミー役にダイアナ・リン、ベス役にバンビ・リン、メグ役にロンダ・フレミング、マーチ夫人役にアン・リヴィアが配役されていた。 原作との違い
公開当初1948年に公開される予定であったが、ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールのイースターのイベントに合わせて1949年3月まで延期された。MGM25周年に合わせたという説もある。 1949年、最高興行収入作品の1つとなった。MGMの記録によるとアメリカおよびカナダで$3,425,000、海外で$2,495,000の収入があり、利益は$812,000であった[1][5]。 評価
受賞歴
関連項目脚注
外部リンク |