蝶形骨(ちょうけいこつ、英: Sphenoid bone)は、頭部の骨の一つである。
ヒトの成人の蝶形骨は1つの体と3対の突起(大翼、小翼、翼状突起)よりなる[1]。
部位
体
後頭骨の底部の前方にあり、前方は鼻腔に達する。
内部は副鼻腔の一つである蝶形骨洞で占められている[1]。
翼突鈎
翼突鈎(英語版)(よくとつこう、英: Pterygoid hamulus)は蝶形骨翼状突起内側板の下端にあるフック状の突出部である[2]。
翼突鈎は以下の2つの役割を果たす[3]:
蝶形骨と連結する骨(9種類14個)
- 鋤骨:蝶鋤骨縫合
- 篩骨:蝶篩骨縫合 蝶篩骨軟骨結合
- 前頭骨:蝶前頭縫合
- 後頭骨:蝶後頭軟骨結合
- 頭頂骨(左右):蝶頭頂縫合
- 側頭骨(左右):蝶鱗縫合
- 頬骨(左右):蝶頬骨縫合
- 口蓋骨(左右):
- 上顎骨(左右):蝶上顎縫合
語源
昭和初期までは ラテン語: os sphenoidale の直訳で楔状骨と呼ばれていたが、
足根にも楔状骨と訳される部位があって紛らわしいため、
骨の形が蝶の形に見えることから、1944年に日本解剖学会『解剖学用語』において新しくこの用語が選定された
[4]。
はじめは蝶骨とする案もあったが、今度はチョウコツという発音が腸骨と同音になるため、「形」の字が加えられたという [4]。
楔状骨の名は現在では足根骨にのみ用いられている(なお、足根骨にある楔状骨の原語は ラテン語: os cuneiformise つまり直訳すれば「楔形文字骨」であって、ラテン語においてはそもそも同名ではなかった)。
脚注
- ^ a b 森ら, p.58
- ^ "内側板の下端はフック状に突出し,翼突鈎 pterygoid hamulus とよばれる。" Drake 2011, p. 819 より引用。
- ^ "翼突鈎は ... 次の役割を有する。 口蓋帆張筋の滑車になる。 翼突下顎縫線の上方の起始部にあたる" Drake 2011, p. 1032 より引用。
- ^ a b
澤井 直、2010、「昭和初期解剖学用語の改良と国語運動」、『日本医史学雑誌』56巻1号 pp. 39-52
参考文献
- 原著 森於菟 改訂 森富「骨学」『分担解剖学1』(第11版第20刷)金原出版、東京都文京区、2000年11月20日、19-172頁。ISBN 978-4-307-00341-4。
- Neil S. Norton著 前田健康監訳 ネッター頭頚部・口腔顎顔面の臨床解剖学アトラス 医歯薬出版株式会社 原著第1版 CHAPTER 2 骨学 25−68頁。
- Drake, Richard (2011). グレイ解剖学 (原著第2版 ed.). エルゼビア・ジャパン. ISBN 978-4860347734
関連項目
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外部リンク