角回
角回 (かくかい、英 : angular gyrus )は、大脳 の領域のひとつ。頭頂葉 の外側面にある脳回 。角回は側頭葉 の上端付近に位置し、縁上回 の後端と接する。縁上回と合わせて下頭頂小葉 を構成する。角回の下部と縁上回の下部、そして上側頭回 の後部は、あわせて側頭頭頂接合部 として扱われる。角回は言語 、認知 などに関連する多数の処理に関わっているとされている。角回はブロードマンの脳地図 における39野にあたる。
機能
言語における役割
ゲシュウィンド は文字が角回を介して内言へと変換されるという説を唱えた。
カリフォルニア大学サンディエゴ校 の神経科学研究所 (Center for Brain and Cognition) の所長であるV・S・ラマチャンドラン は、角回が隠喩 の理解を、少なくとも部分的に担っているという研究を指揮した。左角回に損傷を受けた右利き の患者は、言語理解は正常に見えるにもかかわらず、隠喩の二重性を理解できなかった。慣用的な隠喩句を呈示しても患者は文字通りの意味でしか解釈できなかった。強いて解釈してもらうと、彼らは乱暴な解釈を作り出すが、正解からは程遠いものだった[ 1] 。
別の実験では、角回損傷患者におけるブーバ/キキ効果 が調べられた。この効果は正常者の90%以上でみられるのに対し、これらの患者では観察されなかった このことは視覚刺激を言語化することに関する障害が起きたためと考えられる。
ヒト科動物は他の霊長類 に比べて、脳に対し角回が大きいという事実と、角回の触覚、聴覚、視覚処理における交差点的な役割から、ラマチャンドランは概念的隠喩と、より一般的なクロスモダリティー的抽象化の両方に、角回が決定的な役割をもつと考えた。
体外離脱体験
最近の研究において、角回の刺激が体外離脱体験 を引き起こす可能性を示したものがある[ 2] 。ある実験では、角回を刺激された女性が、彼女の背後に存在する幻影を感じ[ 3] 、また、別の同種の実験では、被験者が天井にいるような感覚を味わった。このことは、身体が実際に存在する位置と意識が知覚している身体の位置との不一致によるものと考えられる。
参考画像
日本語のオープンアクセス文献
脚注
^ V. S. Ramachandran, 2004. A Brief Tour of Human Consciousness. Pi Press , pp.60-82.
^ Out-of-Body Experience? Your Brain Is to Blame - New York Times
^ Arzy, S., Seeck, M., Ortigue, S., Spinelli, L., Blanke, O., 2006. Induction of an illusory shadow person: Stimulation of a site on the brain's left hemisphere prompts the creepy feeling that somebody is close by. Nature , 443 (21), pp.287.
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外側面
外側溝 内部
内側面 - 上部
+
+
ll
ll
+
脳底部 - 眼窩面
脳底部 - 側頭葉 下面
内側面 - 下部
前頭葉
上前頭回 /前頭眼野 (en ) (6, 8, 9), 中前頭回 (46), 下前頭回 /ブローカ野 (44-弁蓋部 , 45-三角部 , 眼窩部 )
中心前回 (一次運動野 , 4)
直回 , 眼窩回 /眼窩前頭皮質 (10,11,12,47), 前帯状皮質
前頭前皮質 , 前運動野 (en ) , 前頭極
中心前溝 - 上前頭溝 - 下前頭溝 - 嗅溝 - 眼窩溝 - 中心傍溝
頭頂葉
中心後回 , 体性感覚野 (一次体性感覚野 (1, 2, 3,43), 二次体性感覚野 (en ) (5)), 楔前部 (7m) - 頭頂弁蓋 (en )
頭頂小葉 (上頭頂小葉 (7l), 下頭頂小葉 (40)), 縁上回 (40), 角回 (39)
中心後溝 , 頭頂間溝 , 縁溝
後頭葉 側頭葉 (外・下)辺縁皮質 ・島皮質
島皮質
帯状回 : 膝下野 (en ) (25), 前帯状皮質 (24,32,33), 後帯状皮質 (23,31), 脳梁膨大後部皮質 (26,29,30)
海馬傍回 (27,28,34,35,36), 海馬鉤 , 海馬体 ,(扁桃体 の一部)
※ 内側側頭葉など他の脳葉に含めて扱われることもある。
脳葉間の脳溝など 白質 その他
いくつかの領域分けは大まかなものになっている。
カッコ内の番号はブロードマンの脳地図 における番号である。また、ブロードマンの脳地図における領域のいくつかは複数の脳回にまたがっている。