語頭音消失(ごとうおんしょうしつ、aphaeresis)とは、音声学において、語の最初の1つ、またはそれ以上の音の脱落のこと。語源はギリシャ語のapo(なくなる)+hairein(取ること)。
歴史的音声学では、「aphaeresis」は強勢(アクセント)のない母音の脱落を指すことが多い。オックスフォード英語辞典ではこの種の語頭音消失を「語頭母音消失(aphesis)」と呼んでいる。
例
強勢のない語頭母音の脱落
- ギリシャ語 episkopos > 俗ラテン語 ebiscopu > 英語 bishop(ビショップ)
- 英語 amend > mend(直す)
- 英語 escape + goat > scapegoat(贖罪のヤギ)
- 古フランス語 evaniss- > 英語 vanish(消失)
- 英語 esquire > squire(〜様)
- 日本語 いばら>ばら(薔薇)、いづれ>どれ、いだく>だく(抱く)
その他の脱落
- 英語 knife 発音:/ˈnaɪf/(ナイフ)
- ドイツ語 Strand > フィンランド語 ranta(浜)
詩の技法
詩などでは、語頭音消失は語音変異の1形式の修辞技法である。
- Und der wilde Knabe brach
- 's Röslein auf der Heiden
- -- ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ『野ばら』。「's」は「des」の語頭音消失。
- 英語 it is > 英語詩 tis(それは〜である)
くだけたスピーチ
関連項目