豆屋豆屋(まめや)は、古典落語の演目のひとつ。別題は豆売り(まめうり)[1]。東西両方で演じられる。 概要原話は、1774年(安永3年)に出版された笑話本『茶のこもち』の一編「不精」[2]。 演者の持ち時間が少ないときや、早く高座を下りる必要のあるときなどに演じる、いわゆる「逃げ噺」の一種とされる[1]。東京では主人公に与太郎のキャラクターが付与される。 主な演者として、東京の7代目春風亭柳枝や10代目桂文治、上方の2代目桂春團治などが知られる。とりわけ10代目文治は、甲高い声で売り声を演じる様子が笑いを誘うと評された[要出典]。 あらすじまず演者は、行商人の売り声についての小咄を演じる。
ある男(東京では与太郎)はソラマメ(上方では「はじき豆」)の行商に挑むことになり、売り声を叫びながら長屋へ商いに出かけた。そのうちの1軒で「こっちへ来い」と呼ぶ男の声がするので、豆屋はそれに従う。豆屋は男に戸口を閉めるよう命じられ、「1升いくらだ?」とたずねられたので、「20銭です」と答える。男は激昂してみせ、「高い。この貧乏長屋で、そんな値で売るのは不当だ。1升2銭にまけろ」と豆屋を恫喝し、枡に山盛りの豆をせしめる。 豆屋が泣き笑いしながらそこを逃げ出すと、すぐそばの長屋から、豆屋を呼ぶさらに恐ろしい調子の声がする。「1升いくらだ?」とたずねられた豆屋は、先のように脅されるのを恐れ、「2銭です」と先手を打つ。男は激昂し、「安すぎる。何か不正な手段で手に入れた豆ではないのか(あるいは、俺が値切ったと思われては世間の評判が悪くなる)。1升50銭にしろ」と言う。豆屋は喜んで枡を出し、山盛りに豆を入れる。男は豆屋の枡の使い方に対して再び怒り、「きちんと手ですり切れ。まだ多い。手でもうひとすくいするんだ。両手を使え。まだ多いぞ。枡を逆さまにしろ」 「こうしたら、豆はもうありませんよ」 「それでいい。いずれにせよ俺のところでは買わないんだ」 バリエーション
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