軍棋
軍棋(チュンチー、ぐんき)は、陸戦棋(ルーチャンチー、りくせんき)や陸軍棋(りくぐんき)ともいい、2人で行う中国のボードゲームである。4人で行う軍棋も存在する。闘獣棋、軍人将棋、フィリピンの「サルパカン(Game of the Generals)」、および西洋の盤上遊戯「ストラテゴ」(en)によく似ている。相手の駒の配置に関して限定的な知識しか得られないため、不完全情報ゲームに属する。
ゲームの目的軍棋の目的は、敵の防御を破り、その軍旗を奪うことにある。味方の軍旗は敵に取られないようにする必要がある。 パスはできない。自分の番になったとき、どの駒も動かすことができなければ、負けになる。投了した場合も負けである。 盤自陣と敵陣はそれぞれ縦に5本、横に6本の線(道路または線路)および斜線が引かれており、駒は線の交点(30個)のいずれかの場所に置かれる。両陣は3本の縦線で結ばれている。 軍棋の盤にはさまざまな意匠がほどこされている。駒の動かし方に関して、それぞれ異なる機能をもっている。
駒各競技者ごとに12種類25枚の駒がある。駒の片面に駒の名前が記されており、もう一面はどの駒も同じになっている。以下に駒の一覧を記す。基本的に階級の高い順に記したが、一部特殊ルールがある(詳細は軍棋#特殊な駒を参照)。階級の高い駒は階級の低い駒を取ることができる。階級が等しい場合は相打ちになり、両者とも盤から取り除く。
駒の階級駒の階級は、司令>軍長>師長>旅長>団長>営長>連長>排長>工兵>軍旗であり、階級の高い駒と低い駒では階級の高い駒の方が勝つ[1]。それ以外のケースについては特殊的であるので、後述(「特殊な駒」を参照)。 特殊な駒このうちいくつかは特別な能力をもっている。
ゲームの進め方競技者は、それぞれ駒を自陣内に並べる。駒の名前を記した側を自分に向けて、敵に見せないようにする。ルールによっては表を向けて、敵に見せるやり方もある。すべての駒は兵站か大本営のいずれかに置かなければならない(最初に駒を並べるときには、5つの行営には駒を置けない)。炸弾は1段めに置いてはならない。地雷は下の2段のいずれかに置く。軍旗は大本営の1つに置く。 それから交代に、一度にひとつの駒を動かす。駒は道路でつながった隣の場所に動かすか、または線路を使って遠くに動かすことができる。自分の他の駒がいる兵站(公営・大本営含む)や、相手の駒がいる行営に動かすことはできない。 駒を動かした先に敵の駒がいる場合、2つの駒の階級を(競技者自身または「独立した審判」が)比較する。もし両者の階級が違う場合は、どちらからぶつかってきた場合であっても、位の高い方の駒を残し、位の低い方の駒は盤上から除く(ぶつかった駒に炸弾が含まれる場合は両者とも盤上から除く。また、地雷とそれ以外の駒がぶつかった場合については、基本的にはルールによって両者とも取り除かれるor地雷のみが残るが、例外として工兵がぶつかってきた場合は地雷のみを除き、炸弾がぶつかってきた場合は必ず両者とも除く)。もし両者の階級が等しければ、両者を盤上から除く。 司令が取られた(敵の司令に攻撃されるか、炸弾・地雷にぶつかるかして)場合は、軍旗を表返して軍旗の置かれた大本営を明らかにしなければならない。 敵の大本営に駒がはいった時、それが軍旗のある側であれば勝ちになる。もうひとつの大本営を選んでしまった場合は、通常のルールにしたがう。攻撃した側の駒が大本営にいた駒に勝った場合、勝った駒はそこに置かれ、それ以降動かすことはできなくなる。しかし、そこに自分の駒があることで、もう一方の大本営に軍旗が置かれていることが明らかになる。(このルールの存在しない変種もある) 階級の比較を行うための電子式の審判用機械もある[3]。また、オンライン対戦の場合は、プログラムが階級の比較を行ってくれるので、審判は必要ない。 戦略旅長や師長で敵の駒を攻撃するのはうまいやり方である。それが低位の駒なら取ってしまえるし、高位の駒なら、どこに高位の駒がいるかがわかるからである。低位の駒は敵の行営に侵入するのに適している。工兵は、地雷を除去して敵陣の5段目と6段目の道をあけるのに使用する。炸弾は誤爆を防ぐためにできるだけ早く行営に送りこむか、敵の司令や軍長が軍旗を取るのを防ぐために使うか、地雷を破壊するのに使う。地雷とその周囲の駒の配置は、大本営を安全に防御できるようによく注意して並べる必要がある。 4人制の軍棋軍棋からの主な派生は、4人で遊べるようにしたもので、「四国軍棋」と呼ばれる。4人用の盤は2人用の盤をふたつ90度の角度で重ねあわせた形をしている。自分の反対側の競技者がチームを組み、もうひとつのチームと戦う(チームを組まずに4人が別々に戦うルールもある)。どちらかのチームの両方の競技者の軍旗が取られるか、両方とも相手を負かすことができなくなって両者が引き分けに同意したときにゲームは終了する。 軍旗を取られた競技者は、負けを認めて、自分の残りの駒を全部盤上から取り除く。勝つ見込みがないときは投了することもできる。その場合、反対側にいる仲間がまだゲームを続ける場合は、ゲームはそのまま進行するが、そうでなければ敵の勝ちになる。チームのひとりが負けを認めた場合でも、残った仲間があとのふたりを両方負かしてしまえば、勝ちになる。 4人の陣地がまじわる 9つの点は公共の領域に属する。線路には曲がった部分があるが、線路に関するルールは2人制の場合と同様である。駒を動かすときは黄色の線(公路)に沿って動かすことができるが、図の矢印のような動かしかたはできない。工兵はやはりこの制約があてはまらず、線路でいける所ならどこへでもいける。 変則ルール軍棋にはさまざまな変則ルールが存在する。通常、ゲームをはじめる前に、どのルールを使用するかを競技者間で話し合う必要がある。 2人・4人共通
2人用
4人用
コンピューターやインターネットでの対局軍棋は、オンライン対戦に向いた要素が多い。
2000年前後に、4人制の軍棋を中心にオンライン対戦が盛んに行われ、一時は中国棋院に軍棋の部門を作ろうという動きもあった[4]が、現在はそこまでの盛り上がりはなくなってしまった。 携帯ゲームなど、狭い画面で動作させる場合、駒の名前を1文字に省略することがある(司・軍・師・旅・団・営・連・排・兵・雷・弾・旗)。この場合、駒の形は正方形になる。 関連項目脚注
外部リンク |