X を2つの空でない分離集合(どちらも他方の閉包と交わりを持たない集合)の和として書くことは出来ない。
X から {0, 1} への任意の連続写像は定値写像である、ただし {0, 1} は離散位相を入れた二点空間とする。
連結成分
空でない位相空間の(包含による順序によって)極大な連結部分集合をその空間の連結成分 (connected component) という。紛れのおそれの無いときはこれを単に成分(component) とも呼ぶ。明らかなことであるが、ある連結成分が X 全体に一致するとき、X は連結である。
任意の位相空間 X の連結成分たちは X を分割する、すなわち、互いに素で、空でなく、合併が全空間となる。同じことだが、X の点が同じ連結成分に属するという関係は、X 上の同値関係を定めるということもできる。任意の成分はもとの空間の閉部分集合である。したがって、成分の個数が有限であれば、各成分は開でもある。しかしながら、その個数が無限であれば、成分が開とは限らない。例えば、有理数全体の集合の連結成分は一点集合であるが、これは開でない。
を位相空間 X の点 x の連結成分とし、 を x を含むすべての開かつ閉集合の交わりとする(x のquasi-componentと呼ばれる)。すると であり、等号は X がコンパクトハウスドルフあるいは局所連結であれば成り立つ。
全不連結空間
位相空間 X の連結成分がすべて一点からなる集合であるとき、X は全不連結または完全不連結(かんぜんふれんけつ、totally disconnected)であるという。このような位相空間の例として、有理数全体の成す集合 ℚ に絶対値に関する距離位相を入れたものや、p-進数体ℚp あるいはその上の線型代数群などを挙げることができる。これに関連して、位相空間 X に相異なる二点が与えられたとき常に、交わりを持たないようにそれぞれの点の開近傍を選び出して X を覆うことができるならば、X は全分離あるいは完全分離(かんぜんぶんり、totally separated)的であるという。完全分離空間は完全不連結であるが逆は正しくない。実際、有理数体 ℚ の二つのコピーを 0 以外の点で(同じ数は同じ数同士で)貼合わせて得られる集合(ただし関係 ∼ は、a (≠ 0) ∈ A と b (≠ 0) ∈ B については a ∼ b ⇔ a = b となるような最小の同値関係とする)に商位相を入れたものは完全不連結であるが、0 のふたつのコピーはどのような開近傍によっても分離することができないのでハウスドルフ空間にすらならず、特に完全分離的ではない。
位相空間 X はその任意の点 a, b を結ぶ道をとることができるとき弧状連結(こじょうれんけつ、path-connected, pathwise connected[3])または道連結(みちれんけつ)であるという[4]。
ここで始点 a と終点 b を結ぶ道[注 1](path) とは、f(0) = a かつ f(1) = b を満たす、単位閉区間 [0, 1] から X への連続写像f のことである[5]。(これは「パラメータ付けられた曲線」であって、単なる点の集合ではないことに注意を要する。)
連結集合からなる開基を持つ位相空間は、局所連結(きょくしょれんけつ、locally connected)であるという。位相空間 X が局所連結となることと、X のどの開集合に対しても、その任意の連結成分がまた開集合となることとは同値である。連結だが局所連結でない位相空間の例として、再び位相幾何学者の正弦曲線を挙げることができる。
同様にして、弧状連結な部分集合からなる開基を持つ位相空間は局所弧状連結(きょくしょこじょうれんけつ、locally path-connected)であるという。局所弧状連結空間の開集合は、それが連結であるならば弧状連結である。このことは一般に n 次元数空間 ℝn, ℂn が局所弧状連結であることから、その開部分集合についても言える。したがってなお一般に、位相多様体は(各点の近傍が数空間の開集合に同相であるから)すべて局所弧状連結であることが従う。