酸化タングステン(IV)(さんかタングステン、tungsten(IV) oxide)は、化学式が WO2 の無機化合物である。青銅色の固体で、結晶は単斜晶系である[1]。短い W-W 結合 (248 pm) を持つ八面体配位の WO6 を中心とした歪んだルチル型の構造をとる[1]。それぞれのW中心は d 2 の電子配置をとるため、大きな電気伝導性を持つ。
合成
900°Cで40時間かけて酸化タングステン(VI)をタングステン粉末で還元することによって合成する。この反応は中間体として部分的に還元され、混合原子価状態の W18O49 を経て進行する。モリブデン類縁体である酸化モリブデン(IV) MoO2 も同様に合成される。
単結晶は、ヨウ素を使った化学輸送法によって得られる。ヨウ素は揮発性の WO2I2 の形で WO2 を輸送する[2]
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脚注
- ^ a b Wells, A. F. (1984). Structural Inorganic Chemistry, 5th Ed., Oxford Science Publications. ISBN 0-19-855370-6.
- ^ Conroy, L. E.; Ben-Dor, L. (1995). "Molybdenum(IV) Oxide and Tungsten(IV) Oxides Single-Crystals." Inorganic Syntheses, Vol. 30, pp. 105-107. ISBN 0-471-30508-1.
関連項目