『魔法が解けて』(原題:Disenchantment)は、マット・グレイニングによって作成されたアメリカのファンタジーアニメ。かつてフォックス放送会社のために『ザ・シンプソンズ』と『フューチュラマ』を作成したグレイニング唯一のNetflixオリジナル作品。中世のファンタジー王国ドリームランドを舞台にしたこのシリーズは、反抗的でアルコール中毒の王女ビーン、彼女とつるむ無邪気なエルフのエルフォ、そして彼女の破壊的な「パーソナル悪魔」ルーシーの物語を追う[2]。声の出演は、アビ・ヤコブソン、エリック・アンドレ、ナット・ファクソン、ジョン・ディマジオ、トレス・マクニール、マット・ベリー、デヴィッド・ハーマン、モーリス・ラマーシュ、ルーシー・モンゴメリー、ビリー・ウェスト。
第1シーズンの前半は10話で構成され、2018年8月17日にリリースされ、後半はこれも10話構成で2019年9月20日にリリースされた。2018年10月、Netflixは、20エピソードを10話ずつ2つに分割して第2シーズンを更新した。そのうち、最初の10話は2021年1月15日に配信された。
あらすじ
貧困がはびこるドリームランドを治めるゾグ王は、娘であるビーンを近隣の王国の王子と結婚させようとする。ビーンは悪魔のルーシーとエルフのエルフォとともに結婚から逃げ出す。彼らが王子の兄弟によって「救われた」後、ビーンの婚約者となったマーキマーは結婚の準備をするためにドリームランド王国に戻る。ビーンたちはマーキマーの暗殺計画を練るが、最終的に計画は失敗に終わる。だが、結婚式当日、マーキマーは豚とエルフの血を混ぜたものを飲んで豚になってしまったため、結婚式は中止となり、ビーンは自由の身となる。ハウスルールと王女は大きな不幸を経験し、ビッグジョー、ヘンゼル、グレーテルのような多くの人々との出会いを経験する。そして、ゾグ王は、あらゆる方法で彼女のもたらす混乱を抑えようとするも、失敗に終わる。ゾグは不老不死の薬に興味を持ち、ビーンに薬を効かせるための小瓶を手に入れるというミッションを課す。ビーンがエルフォとルシを連れて戻ってきた後、エルフォの血が不純であるために薬が効かないことを知る。
登場人物
- ビーン
- 声:アビ・ジェイコブソン(英語版)[1]/日本語吹替:種市桃子
- ドリームランドの十代の王女。フルネームはティアビーニー・マリアビーニー・デ・ラ・ロシャンボー・グランクウィッツ。酒好き。第3シーズンでは、バイセクシャルであることが明らかになった。
- エルフォ
- 声:ナット・ファクソン[1]/日本語吹替:赤坂柾之
- エルフの森出身の18歳のエルフ。楽観的で、キャンディーが好き。ビーンに思いを寄せている[1]。第1シーズン9話「エルフォのすべて」では、エルフと他の何かのハーフであることが判明する。彼の母親はまだ明らかにされていないが、人食い鬼であることが暗示されている。
- ルーシー
- 声:エリック・アンドレ[1]/日本語吹替:青木強
- ビーンの「パーソナル悪魔」。彼女の肩に乗って悪事をそそのかす[1]。エルフォとは張り合うことが多く、彼のことをよくからかう[1]。
ドリームランド王国
- ゾグ
- 声:ジョン・ディマジオ[1]/日本語吹替:黒澤剛史
- ビーンの父であり、ドランコウィッツ王家のドリームランド支配者。娘のことを大切に思う一方、王国の繁栄と名声への執着が強く、邪魔する者は誰であろうと処刑したり奴隷にしたりする[1]。
- ウーナ
- 声:トレス・マクニール/日本語吹替:早川舞
- ゾグの後妻で、ビーンの継母にあたる[1]。王国間の同盟のために政略結婚したダンクマイアの両生類。第1シーズン13話「海賊のさがしもの」では、ゾグと離婚し、ドリームランドを離れて海賊の女王となる。
- ボニー・プリンス・デレク
- 声:トレス・マクニール/日本語吹替:早川舞
- ゾグとウーナの息子で、ビーンの異母弟にあたる。ドリームランド王国は男系の長子相続に従っていることから王位継承権を有しており、異母姉のビーンから嫌われている。第1シーズン19話「偉大なる科学の力」でゾグが誤ってビーンに撃たれた後、20話「ビーン王女危うし」で事実上の王になる。
- オドヴァル
- 声:モーリス・ラマーシュ/日本語吹替:早川毅
- ドリームランド王国の宰相である三つ眼の人物。秘密結社の一員で、密かに女司祭と組んでドリームランドの乗っ取りを企てている。
- ソルセリオ
- 声:ビリー・ウェスト
- ゾグ王の顧問を務める魔法使い。オドヴァルの愛人で、秘密結社の一員でもある。
- 女司祭
- 声:トレス・マクニール
- ドリームランドの宗教指導者だが、宗教を迷信同様と考えている。第3シーズンで、ビーンをスチームランドに連れてくるためにアルヴァ・ガンダーソンから差し向けられていたことが明らかになる。
- ペンダーガスト
- 声:エリック・アンドレ
- ゾグ王の騎士団の団長。
- メルツ
- 声:ビリー・ウェスト/日本語吹替:羽野だい豆
- ドリームランドの騎士。
- タービッシュ
- 声:リッチ・フルチャー/日本語吹替:中川パラダイス
- ドリームランドの騎士。
- バンティ
- 声:ルーシー・モンゴメリー
- ビーンの女官。死刑執行人のスタンと結婚している。
- スタン
- 声:ノエル・フィールディング
- 死刑執行人であり拷問部屋のマネージャー。気さくな性格をしている。
- ヘラルド
- 声:デヴィッド・ハーマン
- ドリームランド王国への訪問者到着やニュースを発表する。
- 道化師
- 声:ビリー・ウェスト/日本語吹替:中川パラダイス
- 窓から投げ出されたり、罠のドアから落ちたりする。
- ミス・ムーンペンス
- 声:ジェニー・バッテン
- オドヴァルの手下で、オドヴァルの部屋の小さな穴から目としてしか現れない。
- ヴィップとヴァップ
- 声:リッチ・フルチャー
- ゾグ王のマント持ち上げ係。物静かな性格をしている
- サガサ
- 声:トレス・マクニール
- ビーンにアドバイスしてくれる妖精。ティンカー・ベルに似ている。
マルー王国
- ダグマー
- 声:シャロン・ホーガン
- ゾグ王の最初の妻であり、ビーンの母。毒を飲んで石像と化す。実は魔術師で、夫を毒殺することを計画していた。予言を叶えるために娘のビーンを邪悪な道に導こうとしているため、娘とは緊張した関係を持っている。
- クロイド
- 声:リッチ・フルチャー
- マルー王国の皇帝。ダグマーとベッキーの兄弟。
- ベッキー(レベッカ)
- 声:ルーシー・モンゴメリー
- ダグマーとクロイドの妹。結婚式の贈り物としてルーシーをビーンに送った。
- ジェリー
- 声:デヴィッド・ハーマン
- クロイドとベッキーの手下。
エルフの森
- パパ・エルフォ
- 声:ビリー・ウェスト/日本語吹替:俊藤光利
- エルフォの父。
- キッシー(キサンドラ)
- 声:ジェニー・バッテン
- エルフォの友人で元恋人。エルフの森の支配者ルーロ王(声:ビリー・ウェスト)の娘。
- リーボ
- 声:モーリス・ラマーシュ/日本語吹替:森宮隆
- 伝説のエルフで、エルフの森を離れて海賊船長になった。
スチームランドの人々
- スカイバート・ガンダーソン
- 声:/日本語吹替:藤田将利
- 科学の国スチームランドの飛行船乗り。アルヴァの弟。
- アルヴァ・ガンダーソン
- 声:/日本語吹替:羽野だい豆
- スチームランドの権力者で、ガンダーソン工場の創設者でもある。ドリームランドの魔法の力をまだ解明されていない自然現象と解釈し、科学で「魔法」を力に変えることを狙い、ビーンに接近する。
- イーディス
- 声:/日本語吹替:早川舞
- スチームランド遊園地の見せ物小屋の占い師。
- モーラ
- 声:/日本語吹替:横山友香
- スチームランド遊園地の見せ物小屋の人魚。
- P・T・マクギー
- 声:/日本語吹替:俊藤光利
- スチームランド遊園地の見せ物小屋の興行師。
その他
- マーキマー
- 声:マット・ベリー/日本語吹替:中尾一貴
- ベントウッド王国の第二王子。第一王子の兄ギーズバート(声:デヴィッド・ハーマン)の死後ビーンと結婚するように手配されたが、豚に変わった。
- ビッグ・ジョー
- 声:モーリス・ラマーシュ
- 世界一のエクソシストとされる人物。
- テス
- 声:ジェニー・バッテン
- 片目の巨人。
- ウルスラ
- 声:ジェニー・バッテン
- セルキー族の女性で、普段はクマの毛皮を被っている。ゾグと出会い、恋に落ちる。
- ウェイド・ブロディ・ジュニア
- 声:/日本語吹替:俊藤光利
- 自称ハンサムな冒険家。
- グログダ女王
- 声:/日本語吹替:織部ゆかり
- 人食い鬼の谷の女王。
エピソード
パート 1 (2018)
パート 2 (2019)
パート 3 (2021)
製作
開発
マーケティング
提携
リリース
反響
批評
Ars TechnicaのSam Machkovechは、プロローグだけを見ると世界を股に掛けた逃避行に見えるものの、すぐさま舞台がドリームランドに戻ることで、悲惨な状況にあるドリームランドが笑いのネタに満ちていると述べ、メインキャスト4人の配役についても評価している[1]。
特にゾグ王についてMachkovechは、ゾグ王を演じるディマジオの演技をキレたニューヨーク・メッツファンにたとえ、常識を逸脱した暴力性と復讐心が劇中の奇怪な出来事にかみ合っていると評価している[1]。
Machkovechは番組内におけるブラックユーモアが『ルーニー・テューンズ』のように低俗であると指摘しつつも、中世の暗黒時代について詳しく描かれており、11歳以上の子どもと一緒に見る番組としては質の高いものであると評価している[1]。
脚注
注釈
- ^ a b c Credited as co-executive producer.
- ^ Credited as supervising producer.
- ^ a b c Credited as co-producer.
出典
外部リンク