黄金仮面『黄金仮面』(おうごんかめん)は、日本の探偵作家・江戸川乱歩の著わした長編推理小説。初出は、昭和5年(1930年)から昭和6年(1931年)にかけて雑誌『キング』に連載された。現在までに3度テレビドラマ化されている。江戸川乱歩の代表作の一つ。細い目、笑った口の黄金仮面は、乱歩作品のひとつのイメージとなった。 概要マルセル・シュウォッブの小説『黄金仮面の王』にヒントを得て作られた。モーリス・ルブランのアルセーヌ・ルパンシリーズから一部のキャラクターを借用しており[1]、乱歩はその作品のような大衆受けする作品を目指したと述べている[2]。 ストーリー東京では、黄金色の仮面を被った怪人物を見たという噂があちこちで聞かれるようになっていた。そしてついに、上野での博覧会に黄金仮面が現れ、大真珠を盗み、博覧会の塔の頂上まで追い詰められながらも、逃げおおせてしまうという事件が起こる。黄金仮面は塔の探照灯係に変装して逃げおおせたのだ。そのとき賊は数語言葉を発したが、その発声は人間離れしていたという。 それから数日後、日光市にある美術品コレクター鷲尾侯爵の屋敷に、F国大使ルージェール伯爵が厳重な警察の警護とともに訪れる。そこに黄金仮面があらわれ、一体の価値ある仏像が盗まれてしまう。代わりに置かれていたのは石膏の偽物で、その底には「A.L」との文字が記されていた。 そんなとき東京の探偵明智小五郎は、富豪大鳥氏よりある相談を受ける。大鳥氏の娘不二子が黄金仮面と密会しているというのだ。大鳥氏は不二子を部屋から出さぬようにするが、黄金仮面が不二子の部屋から出てきてそのまま外に逃げてしまう。それは実は不二子であった。不二子は黄金仮面と恋仲になっていたのだ。明智はふたりの潜む洋館の地下に、自らも黄金仮面の姿で潜入し、黄金仮面との格闘後、不二子を取り戻す直前までいくが、自動車の運転手は黄金仮面に入れ替わっており、不二子奪還に失敗する。のみならず数日後、明智は夜間、事務所で狙撃され、新聞には明智死亡の報が出る。 数日後、ルージェール大使がホストとなり、F国大使館で仮装舞踏会が催される。そこに黄金仮面より出現予告が来る。警察は厳戒態勢をとるが、ポーの『赤き死の仮面』を模した室内に、赤死病の使者よろしく黄金仮面が出現する。悪ふざけに怒ったルージェール伯爵は、黄金仮面をピストルで撃つ。マスクをはずすと、それはルージェール大使の日本人秘書官浦瀬であった。そのとき「アルセーヌ・ルパンはこんな男ではない」といったのは給仕に変装していた明智小五郎であった。誰が本当の黄金仮面かという明智の問いに、死にゆく浦瀬が指さしたのは、ルージェール大使であった。大使が黄金仮面でありルパンであったのだ。そこにルパンを目の敵にしている元F国警察官エベールまでが現れて、ルパンは絶体絶命の窮地におちいるが、驚くべき大仕掛けで逃走に成功する。 次に大彫刻家、川村雲山が修復時にこっそり法隆寺から盗んで自らの贋作とすり替えていた玉虫厨子がルパンに奪われる。根城の大仏像に明智と波越警部に踏み込まれるものの、そこを爆破してルパンは不二子とともに脱出。飛行機による世界一周中に東京に寄っていたフランスの飛行冒険家を縛り上げ、Kという部下と3人で飛行機による日本脱出を図る。しかし、離陸した直後、Kが明智小五郎に入れ替わっていたことがわかる。 映像化リストテレビドラマ詳しくは、リンク先を参照。
舞台作品LUEUR DORÈE MASQUE D'OR -黄金仮面-[3]2021/1/17[日]第3回 江戸まちたいとう芸楽祭参加作品 2021/1/19[火]>1/24[日]ウッディシアター中目黒 LUEUR DORÈE ARSÈNE LUPIN 4e la BLONDE -金髪婦人- & MASQUE D'OR -黄金仮面-として上演。 『黄金仮面』を題材とした作品明智小五郎シリーズでも、異色の作品(コラボ作品)のため、本作品を踏まえた作品も多く存在する。
関連項目注釈
外部リンク
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