901型総合補給艦 (901がたそうごうほきゅうかん、中国語 : 901型综合补给舰 、英語 : Type 901 fast combat support ship )は、中国人民解放軍海軍 の補給艦 の艦級。NATOコードネーム は福裕型 (英 : Fuyu-class )。西側諸国 では高速戦闘支援艦(fast combat support ship )として扱われている[ 2] 。防衛省 ・統合幕僚監部 はフユ級高速戦闘支援艦 と呼称している[ 3]
来歴
人民解放軍海軍では、2000年代 初頭に903型総合補給艦(福池型) 2隻を建造していた。その後、2008年より開始されたソマリア沖海賊対策部隊の派遣 を通じて洋上補給能力を強化する必要性が痛感されたことから、2013年より更に改良型(903A型)7隻が追加建造された。
またこれと並行して、来たるべき空母戦力の整備 に備えて、2010年頃から既にその後継艦についての検討も着手されており、2011年には中船重工(CSIC) 第708研究所(当時)において設計が開始された。これに基づいて建造されたのが本型である。
設計
第708研究所での設計にあたっては、アメリカ海軍 の高速戦闘支援艦(AOE)であるサクラメント級 およびサプライ級 が参考にされており、同研究所の対外成果報告書では、「空母機動部隊 に随伴して、遠洋での海域コントロールおよび遠洋作戦能力の保障を強く意識して設計された」ことを強調している。この結果、満載排水量48,000トンと、903・903A型の2倍近い大きさとなった。
機関は075型強襲揚陸艦 と同系列で、陝西-ピルスティク 16PC2-6Bディーゼルエンジン を4基搭載し、減速機 を介して2軸を駆動するCODAD 方式とされている。ただし075型は船体後半部にウェルドック を有するのに対し、それを持たない本型では方形係数が減少している分だけ航洋性・高速性が向上していると見込まれており、この機関構成でも最大25ノットの速力を確保できるものと推定されている。
能力
補給機能
遼寧 (左)に洋上補給を実施する901型補給艦(右)
洋上移送
中部甲板に門型ポスト3基を備えている。前後2基のポストが液体用で、燃料・清水用の補給ステーションが片舷につき2ヶ所ずつ設定されている。またこのほか、後部の液体用ポストの直前左舷側にはモノコール型ポストが1基設置されているが、これは航空母艦への燃料補給専用の補給ステーションで、大径・2本セット型の給油プローブとホースを備え、給油時間が大幅に短縮できる。また前部の液体用ポスト左舷側の補給ステーションは、サプライ級と同様にドライカーゴも扱える両用設計とされており、空母への給油時間は1 ⁄3 以上短縮できる。
一方、中央のポストはドライカーゴ用で、片舷につき1ヶ所の補給ステーションが設定されている。またこのポストと後部の液体用ポストとの間には、10トン級のデッキ・クレーンが両舷に1基ずつ(計2基)設置されている。
なお本型の洋上移送装置は、アメリカ海軍のHeavy E-STREAM を模倣したものといわれており、ドライカーゴの移送重量は従来の2.5トンから5.3トンへと倍増し、横曳補給であれば補給艦と受給艦との最大距離は80~90メートルを確保でき、シーステート5の条件下でも安全に作業できるとされている(従来は距離60メートル以下、シーステート3まで)。
艦尾甲板はヘリコプター甲板 とされており、後部上部構造物に設けられた格納庫 にはZ-8 とZ-18 ヘリコプター を1機ずつ搭載し、VERTREPに用いることができる。
物資格納
搭載量は下記のような構成とされている。なおドライカーゴの艦内移送は、電動・油圧、車両などによって全て機械化されている。
貨油(艦艇燃料・航空燃料)25,000トン
真水1,500トン
弾薬1,800トン(HHQ-9艦対空ミサイル なら1,200発、YJ-18艦対艦ミサイル なら600発相当)
食料400トン(空母機動部隊なら10日分相当)
その他のドライカーゴ250トン
またこのほか、病院船 機能や工作艦 機能も充実している。
自衛機能
兵装としては、H/PJ-13 30mmCIWS (AK-630 の山寨 版)4基が搭載され、347G型火器管制レーダー 2基によって管制される。またセンサーとしては、対空対水上捜索の360型レーダー と、低空警戒用の364型レーダーを備える。
同型艦
艦番号
艦名
造船所
進水
就役
配属
現901 旧965
呼倫湖 (Hulun-hu )
広船国際
2015年 12月15日[ 4]
2017年 9月1日[ 4]
北海艦隊
現905 旧967
査干湖 (Chagan-hu )
2017年 6月[ 5]
2019年 2月12日[ 5]
南海艦隊
2021年
2024年予定
艤装中
2024年予定
2026年予定
建造中
2025年予定
2027年予定
脚注
出典
参考文献
陸, 易「901型補給艦 (特集 注目の中国軍艦)」『世界の艦船 』第945号、海人社 、2021年4月、102-103頁。
関連項目