『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版(ICD-10)の第5章「精神および行動の障害」の一覧である。
派生物
「臨床記述と診断ガイドライン」(CDDG、ブルーブック)がこのICD-10第5章の最初のものである。「研究用診断基準」(DCR, Diagnostic critria for research、グリーンブック)は、その注意事項にあるように、臨床概念や合併の多い症状が記述されず、単独で使用できないため「臨床記述と診断ガイドライン」の習熟が先に必要になるが、患者群の選別のために他の障害といかなる点が類似しているといった詳細が含まれる。
用語集
1994年の世界保健機関(WHO)の用語集『精神医学と精神保健の用語集』(Lexicon of psychiatric and mental health terms)第2版は、ICD-10第5章で使用される用語の定義を収載している。さらに、世界保健機関の『アルコールと薬物の用語集』(Lexicon of alchol and drug term)は、用語を定義し、またICD-10に対応した診断コードが載せられている。これは、例としてF1x.70フラッシュバックが、幻覚剤に関したものであるといった定義がなされており、定義関係の把握に重要である。
障害定義
ICD-10の序論にある「用語上の問題点」では、「疾患(disease)」のような用語は本質的で重大な問題が生じるため、「障害(disorder)」という曖昧な用語を採用するとしている[7]。また、「障害」について、臨床的に有意な症状や行動、個人的な機能不全の両方が存在する状態と定義している[7]。社会的な逸脱や葛藤も、苦痛や個人的な機能不全がなければ精神障害と見なすべきではない[7]。
なお、DSM日本語版ではDSM-IV以降、Mental Disorderの部分は精神疾患の訳であるが[8]、ICD-10日本語版では精神障害の訳である[7]。
F00-F99 - 精神および行動の障害
- (F00) アルツハイマー病型認知症
- (F01) 血管性認知症
- (F02) 他に分類される他の疾患の認知症
- (F03) 特定不能の認知症
- (F04) 器質性健忘症候群、アルコール他の精神作用物質によらないもの
- (F05) せん妄、アルコール他の精神作用物質によらないもの
- (F05.0) 認知症に重ならない
- (F05.1) 認知症に重ならなる
- (F05.8) 他のせん妄
- (F05.9) せん妄、特定不能の
- (F06) 脳損傷、脳機能不全および身体疾患による他の精神障害
- (F06.0) 器質性幻覚症
- (F06.1) 器質性緊張病性障害
- (F06.2) 器質性妄想性(統合失調症様)障害
- (F06.3) 器質性気分(感情)障害
- .30 器質性躁病性障害
- .31 器質性双極性障害
- .32 器質性うつ病性障害
- .33 器質性混合型感情障害
- (F06.4) 器質性不安障害
- (F06.5) 器質性解離性障害
- (F06.6) 器質性情動易変性(無力性)障害
- (F06.7) 軽度認知障害
- (F06.8)脳損傷、脳機能不全および身体疾患による他の特定の精神障害
- (F06.9)脳損傷、脳機能不全および身体疾患による特定不能の精神障害
- (F07)脳疾患、脳損傷および脳機能不全によるパーソナリティおよび行動の障害
- (F07.0)器質性パーソナリティ障害
- (F07.1)脳炎後症候群
- (F07.2)脳震盪後症候群
- (F07.8) 脳疾患、脳損傷および脳機能不全による他の器質性のパーソナリティおよび行動障害
- (F07.9)脳疾患、脳損傷および脳機能不全による特定不能の器質性のパーソナリティおよび行動障害
- (F09)特定不能の器質性および症状性精神障害
(F10-F19) 精神作用物質の使用による精神および行動の障害
- 注記:以下の症状は、F10-19のそれぞれのコードの下位型である。
(F20-F29) 統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害
(F40-F48) 神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害
(F50-F59) 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
- (F50) 摂食障害
- (F51) 非器質性睡眠障害
- (F52) 性機能不全、器質性の障害あるは疾患によらないもの
- (F53) 産褥に関連した精神および行動の障害、他に分類できないもの
- (F53.0) 産褥に関連した軽症の精神および行動の障害,他に分類できないもの
- (F53.1) 産褥に関連した重症の精神および行動の障害,他に分類できないもの
- (F54) 他に分類される障害あるいは疾患に関連した心理的および行動的要因
- (F55) 依存を生じない物質の乱用
- (F59) 生理的障害及び身体的要因に関連した特定不能の行動症候群
(F60-F69) 成人のパーソナリティおよび行動の障害
- (F60) 特定のパーソナリティ障害
- (F61) 混合性および他のパーソナリティ障害
- (F62) 持続的パーソナリティ変化,脳損傷および脳疾患によらないもの
- F62.0 破局体験後の持続的パーソナリティ変化
- F62.1 精神科疾病後の持続的パーソナリティ変化
- F62.8 他の持続的パーソナリティ変化
- F62.9 持続的パーソナリティ変化、特定不能のもの
- (F63) 習慣および衝動の障害
- (F64) 性同一性障害
- (F65) 性嗜好障害
- (F66) 性の発達と方向づけに関連した心理および行動の障害
- (F66.0) 性成熟障害
- (F66.1) 自我異和的な性の方向づけ
- (F66.2) 性関係障害
- (F66.8) 他の心理的性発達障害
- (F66.9) 心理的性発達障害、特定不能のもの
- F66.x0 異性愛
- F66.x1 同性愛(homosexuality)
- F66.x2 両性愛(bisexuality)
- F66.x8 その他、前思春期的なものを含む
- (F68) 他の成人のパーソナリティおよび行動の障害
- (F68.0) 心理的理由による身体症状の発展
- (F68.1) 症状あるいは能力低下の意図的産出あるいは偽装,身体的あるいは心理的なもの(虚偽性障害)
- (F68.8) 他の特定の成人のパーソナリティおよび行動の障害
- (F69) 特定不能の成人のパーソナリティおよび行動の障害
(F70-F79)精神遅滞
(F80-F89)心理的発達の障害
(F90-F98)小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害
(F99)特定不能の精神障害
脚注
参考文献
ICD-10第5章
その他
関連項目
外部リンク