Nim (旧称Nimrod[6]) とは命令型、マルチパラダイム、コンパイル言語という特徴を持つプログラミング言語[7]であり、アンドレアス・ランプフにより設計・開発された。Nimは「効率的で表現豊かで優雅」であるように設計されている[8]。メタプログラミング、関数型プログラミング、メッセージパッシング[4]、手続き型プログラミング、オブジェクト指向プログラミングをサポートしており、 コンパイル時のコード生成、代数的データ型、C言語のForeign function interface (FFI)、JavaScriptへのコンパイルなどの機能を提供している[9]。Pythonのようなシンプルな構文で書かれるが、C言語並みの高いパフォーマンスを有している。Nimは様々な用途に使用可能なシステムプログラミング言語である[10]が、Nimのように比較的新しい(C/C++以降に発表された)言語としては他にもRust、Go、D言語などの言語がある[11][注釈 1]。
概要
Nimはシンプルな構文による静的型付け言語である[12]。構文マクロや項書き換えマクロなどのコンパイル時のメタプログラミング機能をサポートしている[13]。項書き換えマクロは例えばBignum
やMatrix
などのデータ構造の効率的ライブラリ実装を可能にしており、Bignum
やMatrix
などがあたかも元々の言語機能に組み込まれていたかのような効率的な実装を可能にする[14]。イテレータもサポートしており、このイテレータはNimの中で第一級オブジェクトとして用いることができ[13]、これら機能は関数プログラミングを可能にする。オブジェクト指向プログラミングは継承と多重ディスパッチによってサポートされている。関数はジェネリックになりうるし、オーバーロードも可能である。またType
クラスがサポートされており、これはジェネリクスを促進するものである。演算子オーバーロードもサポートされている[13]。Nimは循環参照検出つきの遅延参照カウントに基づくガベージコレクタを搭載している[15][16]。アンドリュー・ビンストック[注釈 2]はNimに関して「(Nimは)PascalおよびPythonにまたがる非常に独創的なデザインを提供し、CやJavaScriptのコードにコンパイルすることができる[17]」と述べた。
歴史
Nimの開発は2005年にアンドレアス・ランプフ[18]によって始まった。NimのコンパイラはPascalによって書かれていた[19]。2008年にはNimで書かれたコンパイラがリリースされた[20]。Nimのコンパイラはオープンソースであり、アンドレアス・ランプフに加えてボランティアのグループが開発を行っている[21]。
言語設計
Nimに影響を与えた言語
コンパイラ
Nimのコンパイラは最適化されたCのコードを吐くことができ、Cのコンパイラなどの外部コンパイラに従ったコンパイルを選択することもできる[22](ClangやGNU Compiler Collectionなどの多くのコンパイラがサポートされており、これらコンパイラの最適化や移植能力を利用することができる)。Nimのコンパイラは加えてC++とObjective-Cのコードを吐くことができ、これらの言語で書かれたアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を備えた簡易なインターフェイスを提供する[7]。この機能によってNimによるiOSやAndroidのアプリケーションの開発も可能である[23][24]。
パッケージシステム
Nimble はNimによってNimモジュールをパッケージするのに用いられているパッケージマネージャーである。これは構成にNimScriptを用いている。NimbleはGitリポジトリ上でパッケージの主要ソースとして働く。パッケージのリストはJSONファイルに保存され、nim-lang/packages repositoryから自由にアクセス可能である。このJSONファイルはNimbleに要求されたGit URLを与え、パッケージをクローンし、インストールする。
ツール
Nimble
Nimble[25]はNimモジュールのパッケージに使われているパッケージマネージャである。Nimbleの構成にはNimScriptが使われている。Nimbleのパッケージは主にGitで管理されており、NimbleはGitリポジトリ上で動作する。NimbleのパッケージのリストはJSONファイルに保管されており、nim-lang/packagesリポジトリで自由にアクセス可能である。このJSONファイルはNimbleにGit URLを提供し、そのURLからパッケージがクローンされインストールされる。
c2nim
c2nimはAnsi CのコードからNimのコードに変換するときに新たなBindingを生成するのに寄与する。出力は人間に読むことが可能なNimのコードになり、これにより変換後に人の手での改善・改良が可能になる。
ライブラリ
NimのプログラムはC言語で使われているものであれば、どんなライブラリでも使用することが可能である。GTK2、SDL2、Cairo、OpenGL、WinAPI、zlib、libzip、OpenSSL、cURLなど多くの言語に言語バインディング (Language binding) が存在する[26]。NimはPostgreSQL、MySQL、SQLiteのデータベースを使用することができる。NimはLuaインタープリタおよびPythonインタープリタとインターフェースをとることができる。
コードの例
以下のコードサンプルはNim 0.13.0.のシンタックスで有効であり、バージョンが新しくなるにつれて記法が変わる可能性がある[27]。
Hello world
NimによるHello worldのプログラム:
Stringをひっくり返す
Nimの機能を知るためのシンプルな例。
proc reverse(s: string): string =
result = "" # 暗黙的なresult変数
for i in countdown(high(s), 0):
result.add s[i]
var str1 = "Reverse This!"
echo "Reversed: ", reverse(str1)
もっともエキゾチックな機能は暗黙的なresult
変数である。すなわち、returnの型がvoidではないNimのすべてのプロシージャは暗黙的なresult変数を持っており、result変数は返される(returnされる)値を保持している。Forループでは、countdown
という呼び出しが見られ、このcountdownはイテレータである。もしFor loopに際して型が定義され、またイテレータが省略されればNimのコンパイラはitems
イテレータの使用を試みる。
メタプログラミング
これはNimのテンプレート機能を使ったメタプログラミングの例である。
template genType(name, fieldname: untyped, fieldtype: typedesc) =
type
name = object
fieldname: fieldtype
genType(Test, foo, int)
var x = Test(foo: 4566)
echo(x.foo) # 4566
genType
はコンパイル時に呼び出され、Test
型が作成される。
Cの関数をラップする
次のプログラムは既存のCのコードがNimで直接使うことができることを示す例である。
proc printf(formatstr: cstring)
{.header: "<stdio.h>", varargs.}
printf("%s %d\n", "foo", 5)
この例では有名なCの関数printf
がインポートされ使用されている[28]。
コミュニティ
NimはGitHubおよびフォーラムによって主催されているバグのトラッキングをするコミュニティがある[29][30]。 O'Reilly Open Source Convention (OSCON)でのプレゼンテーションが2015年に行われた[31]。 O'Reilly Community: Essential Languages: Nim, Scala, Python.[32][33]
関連項目
脚注
注釈
参考文献
外部リンク
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低水準言語 | |
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高水準言語 |
1950年代 | |
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1960年代 | |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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架空の言語 | |
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