X-ファイル シーズン4
『X-ファイル』のシーズン4(全24話)は1996年10月4日にFOXでの放送が始まり、1997年5月18日に放送が終了した。 スタッフ
キャスト主要キャスト
主要ゲスト
シーズンの概要シーズン3で、モルダーとスカリーは陰謀の核心に迫りはしたが、全貌解明には至れなかった。そんな2人の姿を見たシンジケートのメンバーたちはシンジケート内部に裏切り者がいて、彼(彼女)が2人に情報を流しているのではないかと疑い始めた。そこで、シンジケートは一計を案じた。その結果、ミスターXの裏切りが露見し、粛清されてしまう。Xはダイイング・メッセージを通して、モルダーに自分の代わりとなる情報提供者を紹介した。国際連合事務総長特別代行のマリタ・コバルービアスである[1][2]。 ブラックオイルを捜査するモルダーはコバルービアスの力を借り、ロシアのツングースカへと向かった。モルダーはロシアの組織に捕らえられ、ブラックオイルに含まれるウイルスのワクチン実験の被験者にさせられたが、何とかアメリカに帰ることができた。ロシアで陰謀に携わっていたアレックス・クライチェックは、研究施設から逃亡する際に現地住民につかまってしまい、左腕を切断された[3][4][5]。 シーズン中盤、スカリーに癌が見つかる。スカリーはやがて訪れるであろう死を恐れていた。モルダーはスカリーが癌になったのはエイリアンの実験の被験者になったことが原因と考え(シーズン2第6話「昇天 Part.2」参照)、その治療法を求めてシンジケートとの取引を試みようとした。そんなモルダーを引きとどめたのがスキナーであった。実は、スキナーはモルダーの代わりにシンジケートと取引をしていたのである[6][7]。 モルダーはカナダのセイントイライアス山地で見つかったエイリアンの凍死体の捜査に赴いたが、それが原因で命を狙われることになる。モルダーは追手の殺し屋の顔を撃ち抜いて身元確認を困難にした。そして、モルダー自身が自決したように見せかけた。その混乱に乗じてモルダーはペンタゴンに潜入し、スカリーのガンを治す方法を探った。その頃、スカリーはFBI内部にシンジケートに内通している人物がいることを突き止めていた[8][9]。 製作シーズン4は「ミソロジー」に劇的な変化をもたらした。第1話「支配者」ではモルダーの情報提供者、ミスターXが退場した。スティーヴン・ウィリアムズはこの件に関して「クリス・カーターから私に電話があった。カーターは「いいニュースと悪いニュースがある。いいニュースは君が今週に撮影されるエピソードに出演できるということだ。悪いニュースはミスターXがそのエピソードで銃撃されて死ぬということだ。」と言ってきたんだ。」と語っている[10]。ミスターXの死によって、その代わりとなる情報提供者が必要になった。スタッフはマリタ・コバルービアスと言うキャラクターを創造した。カーターは「モルダーの次の情報提供者が女性だったら面白いと思った。」「モルダーとコバルービアスが恋に落ちる可能性を匂わせておきたかった。」と述べている[11]。また、「支配者」は殺人バチの初登場回でもあった。殺人バチは劇場版第1作でも大きな役割を担った。カーターは「『X-ファイル』の中でも、シーズン4が最も緊張感のあるシーズンで、製作に難渋したシーズンかもしれない。」と回想している[12]。 本シーズンではスカリーが末期癌に侵されていることが判明し、それが治療可能であるかどうかを視聴者に明かさないまま終了した。製作スタッフはかなり早い段階でスカリーが癌に侵されるという設定を盛り込むことを決めていた(カーターによると、スカリーの母親、マーガレットが癌に侵されるという案も出ていた)。これによって、信仰、科学、医療やある種の超常現象と言った事柄を番組で扱うための素地ができた[13]。しかし、スタッフの中にはこの設定に「安っぽいテレビ的な設定」と不満を持った者もいたという。一方、フランク・スポットニッツは「シーズン3の「二世」で癌に侵されたアブダクティーが登場したのだから、スカリーが癌に侵されるのは自然な流れであった。」と述べている[14]。 同じくFOXで放送されていた『宇宙の法則』が打ち切りになったことを受けて、カーターはグレン・モーガンとジェームズ・ウォンに『X-ファイル』への復帰を持ち掛けた。モーガンは復帰の条件として『宇宙の法則』のスタッフを起用することを求め、カーターはこれを了承した。モーガンは「『宇宙の法則』のスタッフが日の目を見るようにしたかった」と述べている[10]。 評価視聴率シーズン4第1話「支配者」は1996年10月4日に放送され、2111万人が視聴した(視聴率は13.2%)[15]。この数字はシーズン3最終話「タリサ・クミ」の数字(1786万人)を上回るものであった。「支配者」は『X-ファイル』の中で初めて視聴者数2000万人を超えたエピソードでもある。シーズンが進むにつれて視聴率は徐々に低下していったが、2000万人前後の視聴者数を維持していた。 第12話「腫瘍」は第31回スーパーボウルの終了直後に放送されたこともあって、シリーズ最多となる2910万人の視聴者を獲得した[15]。一方、シーズン最低は第15話「魂のない肉体」と第16話「P.O.W」が記録した1656万人である[15]。最終話の「ゲッセマネ」は1985万人の視聴者を獲得した(視聴率は13.2%)[15]。 1996年度に放送されたテレビ番組の視聴者数ランキングで、『X-ファイル』シーズン4は第11位となった(1話当たりの視聴者数:1920万人)[16]。 批評家からの評価シーズン4は批評家から高く評価されたが、以前のシーズンには劣るとの評も出た。『コントラ・コスタ・タイムズ』は「イラつくような展開すらも面白いものになっている」と評している[17]。『サクラメント・ビー』は本シーズンと『ザ・シンプソンズ』、『キング・オブ・ザ・ヒル』の3つを合わせて「見るべき本物のテレビ番組」と称賛した[18]。『USAトゥデイ』は「シーズン4は『X-ファイル』シリーズの最高のシーズンではない。しかし、驚嘆するほど素晴らしい出来栄えだった。」と述べている[19]。『A.V.クラブ』のザック・ハンドルンは本シーズンに極めて高い評価を下し、「シーズン4のエピソードの多くが実存主義に即したものになっている。」と述べる一方で、「シーズン4で展開された「ミソロジー」(特に最終話の「ゲッセマネ」)はどれも似通ったものになり始めていて、そうした反復は陳腐だ。」と批判している[20]。 受賞シーズン4は第49回プライムタイム・エミー賞で12のノミネーションを獲得し、ジリアン・アンダーソンの主演女優賞、「メメント・モリ」の美術賞、「MAX Part.1」の音響賞の3つを受賞した。ドゥカヴニーは初めてエミー賞にノミネートされたが、受賞は逃した[21]。また、第54回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)、主演男優賞、主演女優賞の3部門で受賞を果たした[22]。 エピソード一覧
参考文献
出典
外部リンク |