アシュリー・ワグナー(英語: Ashley Wagner、1991年5月16日 - )は、アメリカの女性フィギュアスケート選手(女子シングル)。2014年ソチオリンピック団体戦銅メダリスト。2016年世界選手権2位。2012年四大陸選手権優勝、2012年・2013年・2015年全米選手権優勝。
人物
軍人だった父親(陸軍退役中佐)の赴任先であるドイツのハイデルベルクで生まれる。母親は元教員で、弟がいる。弟もフィギュアスケート選手だった[1]。
軍人家庭に育ったということもあり、幼少時から自立心を強く育む。スケート選手は裕福な家庭の出身で親の援助を受けていることが多いが、ショッピングモールでのアルバイトとマイケル・ワイスの奨学金を得て、競技資金を工面していた[2]。
技術 ・演技
5種類の3回転ジャンプを跳ぶことができる。ジャンプやスピンの回転方向は、頭上から見ると時計回りである。
ルッツは時折アテンションやエラーの判定がつくことがある。コンビネーションジャンプは3回転フリップ-3回転トウループを跳ぶことができる。
経歴
5歳でスケートをはじめ頭角を現した。
2005-2006シーズントリグラフトロフィージュニアクラスで優勝、全米選手権ジュニアクラスでは4位となった。翌2006-2007シーズン、ジュニアグランプリの2大会で優勝、ジュニアグランプリファイナルでもキャロライン・ジャンに次いで2位。全米選手権ジュニアおよび世界ジュニア選手権では3位となった。
2007-2008シーズンよりシニアに移行し、グランプリシリーズに参戦。エリック・ボンパール杯で3位。全米選手権でも3位に入り、四大陸選手権及び世界選手権出場を果たした。
2008-2009シーズン、グランプリシリーズNHK杯と中国杯で共に4位。世界ジュニア選手権では、ロシアのアリョーナ・レオノワ、同じアメリカ合衆国のキャロライン・ジャンに次いで3位だった。
2009-2010シーズン、グランプリシリーズにおいてNHK杯で3位、ロステレコム杯で2位となり、初のグランプリファイナル出場を決めた。ファイナルでの成績は4位だった。全米選手権ではショートで転倒し5位と出遅れるも、フリーで会心の演技を見せ3位となった。しかし、オリンピック出場枠は2枠だったため、惜しくも代表入りはならなかった。
2010-2011シーズン、グランプリシリーズにおいてNHK杯で5位、ロステレコム杯で3位となり、ファイナル進出はできなかった。全米選手権では6位で初めて表彰台を逃した。
2011-2012シーズン、グランプリシリーズ、スケートカナダではFSでパーソナルベストを更新して3位、4年連続出場中のNHK杯では4位となり、ポイントランキング9位でファイナル出場を逃した。全米選手権ではSP3位からFSで1位と逆転し、初優勝を飾った。四大陸選手権ではパーソナルベストを25点更新し、シニアでの国際大会初優勝を果たした。世界選手権ではSPで8位と出遅れたがFSで挽回し4位入賞を果たした。
2012-2013シーズン、スケートアメリカでグランプリシリーズ初優勝。エリック・ボンパール杯でも優勝し、グランプリファイナルではFSの途中に2度の転倒をし、左の腸骨稜と右膝を打撲したが2位[3]。全米選手権ではミシェル・クワン以来の連覇を達成した。世界選手権では5位だったが、6位のグレイシー・ゴールドと共に前回自らが減らした出場枠を3つに戻した。国別対抗戦にはチームのキャプテンとして出場。FSの途中で髪がほどけるアクシデントがあったがパーソナルベストを更新し、個人では2位、チームを優勝に導いた。国際大会に出場する際にサブコーチとしても仕事をしていた振付師のフィリップ・ミルズとの関係を解消し[3]、メインコーチはジョン・ニックスのまま、ラファエル・アルトゥニアンをサブコーチに迎えた[4]。
2013-2014シーズン、スケートアメリカでは初めてSPとFSの両方で3回転フリップ+3回転トゥループのコンビネーションジャンプを成功し、銀メダルを獲得した。エリック・ボンパール杯は2年連続の優勝。グランプリファイナルでは2年連続でメダルを獲得。全米選手権ではミスが相次ぎ4位に終わったが、実績を評価されオリンピック代表に選出された。ソチオリンピックの団体戦では銅メダルを獲得。
2014-2015シーズン、スケートカナダでは2位、エリック・ボンパール杯では3位。グランプリファイナルはSP6位と出遅れるも、FSで挽回し3年連続でメダルを獲得した。全米選手権では2年ぶり3度目の優勝。当初は四大陸選手権の代表に選ばれていたが調整のために出場は回避した。世界選手権ではSPで転倒や回転不足の影響で11位と出遅れるものの、FSで3位と挽回し総合5位に順位を上げた。
2015-2016シーズン、スケートカナダのSPで70点台を出し1位。FSでは130点を超え、優勝した。NHK杯では4位で、4シーズンぶりに、グランプリシリーズでメダルを逃した。グランプリファイナルではメダルを逃すも、FSで自己ベストを更新し4位だった。地元開催の世界選手権では、SP4位からフリー最終滑走で2位まで順位を上げ、自身6度目の出場で初めて世界選手権のメダルを獲得した。アメリカの女子選手がメダルを獲得するのは2006年のキミー・マイズナーおよびサーシャ・コーエン以来、実に10年ぶりであった。
2016-2017シーズン、母国のスケートアメリカでは4大会ぶりの1位を獲得するも中国杯では6位に沈み5年目のファイナル出場を逸した。全米選手権では2位。世界選手権ではミスが相次ぎ7位となった。
2017-2018シーズン、グランプリシリーズスケートカナダでは3位、スケートアメリカでは足首の激痛によりフリースケーティング途中で棄権した。全米選手権では4位に終わり、平昌五輪代表とはならなかった。
主な戦績
2011-2012シーズンから
2010-2011シーズンまで
詳細
プログラム使用曲
脚注
- ^ Walker, Elvin (September 20, 2008). “Wagner Takes New Approach to Stay at the Top”. Golden Skate. http://www.goldenskate.com/2008/09/wagner-takes-new-approach-to-stay-at-the-top/
- ^ Wagner coming into her own on her ownシカゴトリビューン、2012-03-24
- ^ a b Go For The Gold: Ashley Wagner
- ^ Wagner picks Arutunian to join coaching team
- ^ 男女シングルSP団体2位、総合団体1位
- ^ All is not lost for U.S. figure skaters at disappointing worlds
- ^ Hopeful Ashley Wagner Reflects On “Astronomically” Difficult Season, Looks Ahead To 2018
- ^ Wagner, Gold hit Champs Camp in different places
- ^ Russians run 1-2 over Wagner in Bompard short
- ^ Wagner hopes to stage triple-triple at Olympics
- ^ 『ワールド・フィギュアスケート 36』新書館、2009年2月、p.44
- ^ 『ワールド・フィギュアスケート 35』新書館、2008年12月、p.50
外部リンク
ISUグランプリシリーズ(1995-) |
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名称の変遷:スケートアメリカ(1979-現在)/ISUグランプリシリーズ スケートアメリカ(1995-現在) |
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名称の変遷:スケートカナダ(1973-現在)/ISUグランプリシリーズ スケートカナダ(1995-現在) |
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名称の変遷:ラリック杯(1987-2003)/ISUグランプリシリーズ ラリック杯(1995-2003)/ISUグランプリシリーズ エリック・ボンパール杯(2004-2015)/フランス杯(2016)/フランス国際(2017-2021)/フランスグランプリ(2022-) |
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