MITの大型計算機を使いブラック・ジャックの必勝法を数学的に編み出した[1][2]。カウンティングとよばれる確率論を用いた手法により統計的に有意に勝てることを証明したソープは、これを実証するために実際にカジノに乗り込み、週末2日間だけで投資した10,000ドルを2倍以上にした[3]。バカラでも儲けた。1962年に、この必勝法を解説した書籍 "Beat the Dealer"を出版し、70万部以上を売り上げた[4]。この手法を実践して儲ける人があまりにも多く続出したため、現在では、カジノはカウンティングを禁止しているほどである。
その後、ソープはこの理論が他の分野でも応用ができることを発案。1960年代後半、株式市場において確率と統計に関する知識を活用し、大きな成功を収めた[1]。1964年から67年までに運用資産を40,000ドルから100,000ドルに増やし、書籍“Beat the Market” でこの運用成果を発表した[5]。彼らが開発した取引手法が基礎にしている公式が、後の金融工学に大きな影響を与えるブラックーショールズ方程式になった。
1969年から務めたプリンストン・ニューポート・パートナーズでは、ソープが考案した取引手法を活用することで、1988年に活動停止するまでの19年間に、年率平均15%ものパフォーマンスを安定的に達成した。その後は自身が代表を務めるEdward O. Thorp & Associatesに籍を置いている。1998年には個人での投資が28.5年間にわたり、年率平均20%の利益をもたらしたと発表した。
Les Golden, Never Split Tens!: A Biographical Novel of Blackjack Game Theorist Edward O. Thorp, 2017. ISBN3-319-63485-2
Fortune's Formula: The Untold Story of the Scientific Betting System That Beat the Casinos and Wall Street by William Poundstone
The Kelly Capital Growth Investment Criterion: Theory and Practice (World Scientific Handbook in Financial Economic Series), ISBN978-9814293495, February 10, 2011 by Leonard C. MacLean (Editor), Edward O. Thorp (Editor), William T. Ziemba (Editor)
関連本
『天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話』 ウィリアム パウンドストーン著 松浦俊輔訳 青土社 2006年 ISBN 479176305X