ジャイアニズムジャイアニズム(ジャイアン主義、剛田主義、剛田ニズム)とは、漫画およびアニメの『ドラえもん』に登場する主要キャラクターのひとりであるガキ大将、ジャイアンこと剛田武の作中における言動を、ジョーク的に思想と捉えるべく名づけられた名称である。 意味1990年代[注 1]に見られる俗語であり、『ドラえもん』の作中においてはこの言葉は登場しない。学術的に統一的な見解は出されておらず、識者によって定義が若干異なる場合がある。 その根本は、「横取りジャイアンをこらしめよう」[1]においてジャイアン本人が発した「おまえのものはおれのもの、おれのものもおれのもの」という言葉に由来しており[2][3]、自らの所有物(占有物)については当然に自分の所有権を主張しつつ、他者の所有物に対してさえも全く法的な根拠なしにその他者の所有権を否定し、所有権が自分に属することを暴力的に主張するという、極端に利己主義、独占主義的な思想を指す[4]。 前述したとおり正式な定義がされているわけではないので、米川明彦の定義では、「おれのものはおれのもの、おまえのものもおれのもの」と考えること全般を「ジャイアニズム」としている[2]。また、自己中心的な人に対し、時に皮肉を込めた意味で「ジャイアニズム」と言う言葉が使われることがある[注 2]。 だが、2011年3月25日に放送されたアニメ版のオリジナルストーリー「のび太のハチャメチャ入学式」では、小学校に入学したのび太がトラックの荷台に落としてしまったランドセルを必死にジャイアンが追いかけ、その理由としてこの台詞を(だからのび太のものであっても、俺のものと同じように必死になるんだという意味で)語るというエピソードが展開された。 原作『ドラえもん』における類型「おまえのものはおれのもの、おれのものもおれのもの」というセリフは著名なもので、アニメでも決めゼリフのような扱いでしばしば使われているが、原作においてはこのセリフは一度しか登場せず、他には「タイムコピー」[5]における「スネ夫の物はおれの物、おれの物もおれの物」があるのみである。 ジャイアニズムという用語は俺様主義という言葉にも言い換えられることからも明らかなように[4]、他にも『ドラえもん』の作中においてジャイアニズムの類型と言える決めゼリフが以下の通り存在する。 (漫画を返してくれないと抗議され)「いつかえさなかった!? えいきゅうにかりておくだけだぞ。」[6] この言葉は、元々はジャイアンのものではなく、初出時の「ドラミちゃん」の連載シリーズに登場していた「カバ田」というキャラクターのセリフである。容姿性格はジャイアンのジャイアニズムを踏襲している。 またあるいは、 (どちらの主張が正しいか考えずに)「正しいのは、いつもおれだ。」[7] などというものもある。 他作品の使用
社会的影響論考ジャイアニズムという観点から発想を得て執筆された論考などには、以下のようなものがある。
商品化ジャイアニズムという用語を宣伝文句としているものでは、「ドラえもんジャイアン猛言トランプ」という商品がエンスカイより発売されている[9]。発売直後はオンラインショップなどで売り切れが続出し[10]、内容については「凄まじい勢いの“ジャイアニズム”をフィーチャーしている。」とも報じられた[11]。 音楽ヴィジュアル系音楽バンドグループのナイトメアが[注 3]、ジャイアニズムを標榜したベスト・アルバムを発表している。なお、ナイトメアは結成当時から、ジャイアニズムの精神を掲げて活動していたことで知られている[12]。 脚注注釈
出典
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