488GTB は、イタリア の自動車 メーカー、フェラーリ が2015年から2019年にかけて製造・販売したスポーツカー である。
概要
488GTB
2015年 1月31日 (イタリア現地時間) 、フェラーリが「謎の新型車」の登場を予告する情報を公開[ 1] 。同年2月3日 には、新型車が458イタリアの改良版であり、車名を「488GTB」とすることが発表された[ 2] [ 3] 。車名の「488」は1気筒あたりの排気量を表し[ 4] 、GTBはG ranT urismo B erlinetta(グランツーリスモ・ベルリネッタ)の略である[ 5] 。
488GTBはスタイリング、車名とともに、かつての308GTB を彷彿とさせるものとなっている。2015年 3月 に開幕したジュネーヴ・モーターショー にて初公開された[ 5] 。
488スパイダー
488スパイダー
2015年9月に開催されたフランクフルトモーターショー にて488スパイダーが発表された[ 6] 。日本では同年10月23日に初公開された[ 7] 。アルミ製のトップを採用し構造は458スパイダーのそれを踏襲している。458スパイダーは走行中の開閉はできなかったが488スパイダーは時速45キロまでは開閉が可能となった。
488ピスタ
488ピスタ
エンジンが720馬力にパワーアップされ、空力と軽量化されたモデル。台数は公表されていないが限定生産される。日本では2018年6月29日に富士スピードウェイ で行われた「フェラーリ・レーシング・デイズ」で、フェラーリ・チャレンジ・ドライバーに初公開された。
488ピスタ・スパイダー
488ピスタ・スパイダー
488ピスタのスパイダー版。より少ない数が限定生産される。
488ピスタ・ピロティ・チタニウム
488ピスタ・ピロティ・チタニウム
フェラーリがFIA世界耐久選手権 でドライバーズタイトルとコンストラクターズランキングを獲得したことによる限定記念モデル。サイドと、フロントバンパー からリアバンパー にかけてセンターにイタリアントリコロールが入っているのが特徴。エンジンも740馬力/770NMにパワーアップされている。
488チャレンジ/GT3/GTE/GT モディフィカータ
2016年12月には、フェラーリのコルセ・クリエンティ部門の主催で世界各国で開催されるワンメイクレースである「フェラーリ・チャレンジ 」向けのレース専用車輌「488チャレンジ」が、アメリカ合衆国 のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイ で開催されたフィナーリ・モンディアーリ で発表された。2017年 初めより世界各国のユーザーに納入され、同年4月にアブダビ で開催されたアジア・パシフィック選手権の開幕戦においてレースデビューした[ 8] 。
また、「FIA 世界耐久選手権 」や、「GTワールドチャレンジ 」や「SUPER GT 」など、各国で開催されるGT選手権に参戦するために「ミケロット・アウトモビリ」の協力を得て開発された、レース専用車輌の「488 GT3/GTE」も同部門より販売されている。
なおこれらのレース専用車輌は、ナンバー取得(=一般道での走行)ができないサーキット専用車輌であり、「488チャレンジ」は、「フェラーリ・チャレンジ」に参戦する意向があり、国際C級ライセンスを所持したオーナーのみに、また「488 GT3/GTE」は、レーシングカーの整備施設が整えられ、かつGTマシンでのレース参戦の実績のあるレーシングチームにしか行われない。また、GT3は2018年と2020年にアップデートされている。[ 9]
488 GT3および488 GTE用に開発されたテクノロジーを使用して488 GTモディフィカータが開発・販売された。この車もサーキット専用車輌であり、サーキットでの日中の使用、およびフェラーリクラブコンペティツィオーネGTイベントのみで使用が許可されている。
J50
J50
488スパイダーをベースに作られた限定生産モデル。フェラーリの日本進出50周年を記念して、10台のみ製造された。488スパイダーでは折りたたみ式ハードトップ を採用しているが、J50ではシート後方に収納できるツーピースタルガトップ を採用している。最高出力は690PS(508kW:690hp)。
SP38 デボラ
SP38 デボラ
488GTBをベースに作られたワンオフ モデル。車名のデボラはボディカラーがデボラ・レッドなのに由来している。リアバンパー には「KEBBEL」のバッジが取り付けられている。実車は2018年のヴィラ・デステで公開された。
P80/C
P80/C
488GTBをベースに作られたワンオフ のトラック 専用車。製作期間はフェラーリのワンオフ モデルでは最長の4年を要している。トラック専用車のため公道走行は想定されておらず、ヘッドライト が存在しない。代わりに小さなフォグランプ が取り付けられている。
KC23
2023年7月11日に発表されたワンオフモデル。13日にはイギリスの「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で実車が初公開された。KC23は488GT3 Evo 2020をベースに製造されたサーキット専用モデルで、2種類の仕様を持つ点が特徴。静止状態では流麗なフォルムとなっている。両サイドのエアインテークは、V型8気筒ガソリンツインターボエンジンが始動すると、モーター駆動によって自動で開く。リアウィングは取り外し可能となる。
また、エンジンを始動すると、フロントタイヤ後方のパネルからフェンスが現れ、これがフロントダウンフォースを押し上げて、車両全体の空力バランスを取る。また、リアのパネルからインテークが現れ、ここからインタークーラーと補機類、エンジンに適切な量の空気を供給する。ボディカラーは専用開発の4層アルミニウムペイントである「ゴールドマーキュリー」で塗装された。ドアはバタフライドアを採用。ホイールは2種類デザインされ、18インチホイールはサーキット走行向け、フロント21インチリア22インチのホイールは展示向けである。 インテリアは、助手席側のドアパネルとダッシュボードの仕上げを除いて、無駄を削ぎ落としたデザインとなっており、専用シートはアルカンターラでトリミングされ、そこにロゴが電気融着されている。後方視界はビデオカメラシステムで確保したため、フェンダーのミラーを廃止している。[ 10]
2019年、後継車種でビッグマイナーチェンジモデルであるF8トリブート の発表に伴い、販売終了。
メカニズム
488GTBは、V型8気筒3,902ccの488GTB専用に開発されたIHI ツインターボチャージャーを搭載[ 4] 。458イタリアより600ccダウンサイジングされたものの、100PSの出力アップとなった。なおターボ搭載車は現行モデルでは「カリフォルニアT 」に続いて2台目である。
車体のデザインは従来フェラーリのデザインを手掛けたピニンファリーナ ではなく、「ラ・フェラーリ 」同様フェラーリ社内のデザインセンターが手掛けている。両ドアはサイドに設置されたインテークへの吸気流量が最大に採れるようにと大きくえぐられた形状となり、そのサイドインテークはカーボンの板により空気は仕切られ上段がエンジンに導かれ、下段がインタークーラーに導かれる構造である。
出典
関連項目
外部リンク