大学などに設けられたメディア制作やジャーナリズムを学ぶコースのほとんどには、メディア研究の内容が含まれているが、独立したメディア研究の部門が設けられていることも多い。メディア研究を学ぶ学生は、自分たちを、メディアの制作者として実践する側に立つのではなく、メディアを観察する立場にある者と位置づけてかまわない。こうした位置づけのあり方は、各国によって様々である。メディア研究にとって本質的な分野として定義の核にはメディア効果論がある。メディア効果論に特化した課程は、フィールディング大学院大学(英語版)、ペンシルベニア州立大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校や、オンライン大学の Touro University Worldwide などに設けられている。
批判的メディア理論 (critical media theory) は、メディア制作や配給に関わる企業の所有関係が、社会にどのような影響を与えるかに注目しており、(伝統的な家族にメディアが与える影響を懸念する)社会的保守派と、(社会的言説への企業化を懸念する)リベラル派や社会主義者たちとの間に、共通の議論の基盤を提供している。メディア効果の研究と、広告技法は、メディア研究の要となっている。
メディア研究は、当初から、選挙運動の研究や戦争プロパガンダといった形で、政治や戦争と密接に結びついてきた。政治コミュニケーションの主たる研究対象は、政治家、有権者、メディアの結びつきである。研究の焦点はメディアの効果に当てられている。メディア効果論には、皮下注射モデル(1930年代の行動主義心理学)、コミュニケーションの2段階の流れ(Two-step flow of communication:Katz and Lazarsfeld, 1955)、限定効果論(Klapper, 1960)、沈黙の螺旋(Noelle-Neumann, 1984)と、4つの主要な理論がある。さらに、多くの研究者が、政治コミュニケーションのテクニックを、修辞学や象徴論などによって研究している。こうした研究の大部分は、マスコミュニケーション研究や世論研究の分野の学術誌において展開されてきた。
この問題は、その先でもうひとつの主題につながっていく。ニュースがいかにもたらされるべきかという規範的理論よりも、実際にニュースがどのように生まれているのかの経験的実態がより重要になる。初期に強調されていたのは「ゲートキーピング (gatekeeping)」であり、編集者が、例えば通信社から供給される記事など、手元に流れ込んでくる情報の中から、特定の項目を取り上げる基準は何なのかが問題になった。後になると、議論の力点は、ニュースの取材、配給の全過程へと広げられていった。この分野の古典的業績としては、米国では、ゲイ・タックマン (Gaye Tuchman) の『Making news – A study in the construction of reality』(1978年)、ハーバート・J・ガンズ (Herbert J. Gans) の『Deciding what’s news (at CBS & NBC, Time and Newsweek) 』(1978年)、英国では、フィリップ・シュレジンガー (Philip Schlesinger) の『Putting ‘reality’ together – BBC news』(1987年)がある。
影響力のあった初期の研究のひとつは、英国の研究者ジェレミー・タンストール (Jeremy Tunstall) の『The media are American』(1977年)であった。この本は、メディア産業における英語優位の背景にある理由を論じている。アイルランドの元大臣で、アムネスティ・インターナショナルの共同創設者のひとりであったショーン・マクブライドは、ユネスコによる大規模な研究を主導し、『多くの声、一つの世界 (Many voices, One world – Towards a new more just and more efficient world information and communication order』(1983年)をまとめた。この議論をめぐる法制度的側面については、セーズ・ハメリンク (Cees Hamelink) の『The politics of world communication)』(1994年)に、社会的、心理学的側面についてはヤープ・ファン・ギンネケン (Jaap van Ginneken) の『Understanding global news』(1998年)に要約されている。
The Media Literacy of Primary School Children - How far do Primary School children have the knowledge and skills to access media, make sense of the representations and images produced and to create their own? by Grant Strudley, University of Reading